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God Mother 短編小説

1とおりすがりの弟:2005/09/06(火) 17:15:11 ID:TU2cKO1w

僕の名は弘樹(ひろき)。
僕は、母と二人暮らしでいる。
そう、僕の家は母子家庭なんだ。
父がいない分贅沢な暮らしはできない。
母が何とかパートで食っていけるぐらいだ。
遊ぶお金もあるわけがない。しかし、毎日が
たのしかった。母といると心が安らいで自然と
笑顔がでた。母の仕事が休みだと良く二人で
川原へ母の手作り弁当を持って遊びに行った。
これが僕の楽しみでもあった。その川原で
拾ったボールと母の仕事先でもらったグローブで
母とキャッチボールするのもぼくのたのしみでも
あった。母の投げる球は重くそして速かった。
手を痛がっている僕を見て、「大丈夫?」と、笑顔で心配してくれた母。
しかし、数日後、その元気な母が仕事場で倒れた。

2とおりすがりの弟:2005/09/06(火) 17:15:32 ID:TU2cKO1w
急な事であった。救急車で運ばれ、そのまま
手術室へ入った。僕はこの現実が信じられないで
いた。この前まで元気があふれていた母が・・・。
もう目は涙でいっぱいだった。そこに手術を終えた
医者が僕の所にきた。僕は涙をぽろぽろながし、
「母は大丈夫ですよね!?」
医者の首を縦には振らなかった。
「もう長くは無いでしょう。もっても3日です」
その医者の言葉に僕は、立っていられませんでした。

3とおりすがりの弟:2005/09/06(火) 17:15:43 ID:TU2cKO1w
あと3日でなにをしてあげよう?
そう考えているうちに夜があけ朝になっていました。
僕は、「母のしたい事をさせてあげよう。」
そう思い、母の所に行き、母の寿命と母がなにをしたいか聞きました。すると、母は
「弘樹とキャッチボールがしたい。川原に行きたい。」と前の母とは比べ物にならないほど力のない
声で言った。
僕はその願いをかなえてあげることにした。

4とおりすがりの弟:2005/09/06(火) 17:16:26 ID:TU2cKO1w
次の日、家の近くのいつもの川原にいった。
母は朝からいつもより豪華な弁当を作って、
はりきっていた。そして川原に着くなり、キャッチボールをはじめた。しかし、母から投げるボールは
力がなく、かなり遅い球だった。僕はもう泣きそうだった。母の力のないボールに母の辛さが痛いほど心に
伝わってきた。キャッチボールは母の体調を考えて、
少しやって終わりにした。そして、母が作った弁当を
食べた。いつもの母の味がした。この味がもう味わえないのかと思うと、また涙が流れてきた。
すると母が「キャッチボール、力がなくてごめんね」
この言葉に僕は涙が止まらなかった。泣きながら僕はその言葉を噛み締めた・・・
・・・その翌日、母は亡くなった。
僕は、母としたキャッチボールは忘れない。
そのときのボールはまだ残っている・・・


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