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鈴扇霊 二つ目の物語

30ピーチ:2013/07/25(木) 21:29:04 HOST:em1-114-139-120.pool.e-mobile.ne.jp







「じ、じゃああたしも北宮狙う!」
 来年のことなのに随分と意気込み出したあおりに、天音が苦笑する。
「別に、柊たちが絶対受かるわけじゃないと思うけど」
 彼らとて、受験日に体調を崩して落ちる可能性もなくはないのだ。
「私は二人が行く高校ならどこでもいいし」
 仕事がしやすいからね、と言う少女に、あおりが呆然と。
「……自分が行きたい高校、ないの?」
「特に。今の学力じゃ北宮は無理だろうけど」
「あんたで行けなかったら誰もいけない!」
 悲鳴じみた声で宣言したあおりに、天音が問うた。
「私より成績いいひとなんて、山ほどいるわよ?」
「怖い! このひと怖いっ!」
 ふたりの歩きながらの会話に、昇と柊一が揃って苦笑した。






「そう言えばさ」
 朝、教室についた柊一の耳に、クラスメイトの声が聞こえた。
「お前ら、付属校行かないんだって?」
 わざわざ私立の付属中学に通っているくせに、そのままではなく県内一の高校を受験しようと言っていると噂になっているらしかった。
「あぁ、うん。幼馴染とそっちに行こうかって言っててさ」
「はぁ?」
 柊一が苦笑を零す。確かに、わざわざ幼馴染と同じ高校に行く約束などするわけがないだろう。
「まぁ、俺らは俺らの考えがあるってことさ」
「そろそろ、本格的に考えていかないとねぇ……」
 呟いた柊一の言葉に、昇が頷く。
「北宮っつったら推薦もあんまり通んねぇみたいだしな」
「あら、二人なら通れるんじゃない?」
「へ?」
 唐突に聞こえた声に、二人が振り返った。
「み、三岡?」
「なんなら、願書出してみれば? 成績優秀で運動神経抜群。生活態度もいいし、友だちも多い。ちょっと欠席があったのを除けば通ると思うわよ」
 彼女の言葉に二人が顔を見合わせる。そして、どちらからともなく笑みを浮かべた。
「出してみる?」
「そっちの方が、楽かもな」
 結果、楽かどうかだけで願書を出す結論に至った。


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