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鈴扇霊 二つ目の物語

26ピーチ:2013/07/22(月) 06:30:44 HOST:em1-114-73-120.pool.e-mobile.ne.jp
―――記憶―――






 ぴく、と唐突に少女が顔を上げた。
「? 神代、どうした?」
 担任が問う。
「……いえ」
 僅かに感じた異様な気はすぐに失せた。問題はないはずだ。
 だが。
「…すみません。何でもありません」
 胸の内に溜まる焦燥を誤魔化すように、少女は薄く微笑んだ。






「天音ー! 一緒帰ろー!」
「ごめん今日ちょっと急いでるの」
「へっ?」
 言いながらすっと友人の真横を素通りし、そのまま帰路につく。
「天音」
 ふと声が聞こえた。正面を見れば、幼馴染二人の姿。
「………嫌な予感が、するの」
 少女―――天音の言葉に、二人の表情が険しくなった。
「お父さんたちの霊気が、消えたの……何かあったとしか…」
 腰の辺りまで伸びた長く艶のある髪が不安げに揺れる。明らかに動揺していた。
「…俺たちも行こうか?」
 天神柊一の問いに、天音が首を横に振る。
「一人で行く。……行けないほど、子供じゃないわよ」
 小学生と言うのは明らかに子供扱いされるのだが。
 短い制服のスカートを翻し、少女が家へと向かった。
 ―――そこに、悲劇が待ち受けているとも知らずに。


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