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鈴扇霊 二つ目の物語

20ピーチ:2013/07/15(月) 11:05:27 HOST:em49-252-96-248.pool.e-mobile.ne.jp







「天音お姉ちゃん居る!?」
「わ、ちょっ引っ張るな……うわっ!?」
 神社らしい建物に一目散にかけていく彼女に引っ張られて、俺が体勢を崩した。
 そして。
「……飛鳥井?」
「へ?」
 今の、声は。
「何でお前が居んの!?」
「いやそれこっちの台詞なんだけど」
 肩よりも長い髪一括りにした天神が、着物を着てさっきの鈴を持っていた。
「ま、さか……行くところって、ここ?」
「あー…うん、まぁ」
 曖昧な返事をして苦笑気味に笑い、天神が何かを言おうとした直後。
「何やってるの?」
 唐突に聞こえた、少女らしい声。
 無意識に俺を引っ張ってきた少女―――一葉、ちゃんを見る。彼女が嬉しそうに瞳を躍らせた。
「天音お姉ちゃん!」
「あら、いらっしゃい。一葉ちゃん」
 そう言って微笑んだ少女が、天神を見て冴え冴えと言い放った。
「遅い。いつまで待たせるのよ」
「いや、ごめんって……来る途中で、雑鬼相手にしちゃってさ」
 苦笑気味に笑う天神。
 ………いや待て。これどっからどー見てもこっちの方が上だよな? 何で天神が謝んの?
「で、一葉ちゃんはどうしたの?」
「この人、怪我しちゃったみたいなんです。だから…」
「分かったわ。……来てください」
 深藍の着物の背を流れる漆黒の髪が僅かに揺れた。その直後、彼女の左手が異様に光った。
「汝、光の導(しるべ)の赴くままに進め。その光の先に在るものを、汝が手で得たれよと」
 少女の髪が大きく唸る。
「汝が光を導となし、その路を進みたまえ」
 ごぉっと突風が吹き荒れ、その中心に居た少女の目が開かれた。
 黒曜の瞳が異様な光を宿す。
「………はい、これで終わり」
 そう言って、彼女が俺の腕を離した。
「たぶん、もう大丈夫です。何か違和感があったら言ってください」
「…あ、うん……」
 呆然としながら、自分の腕を軽く押さえてみる。
 ―――痛みが、ない……?


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