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鈴扇霊 二つ目の物語
17
:
ピーチ
:2013/07/14(日) 07:21:53 HOST:em114-51-10-247.pool.e-mobile.ne.jp
「行くところ……?」
「うん、ちょっとね」
言いながら、天神がどこか遠い目をして。
「……ただ、強制じゃないから。行きたくなければそれでいいから。俺は別に、無理強いはしないよ?」
…なに言ってんだこいつ。
「お前なに言ってんの?」
「うん、何でもない」
「明らかに文脈繋がってねぇ!?」
……まさかじゃなくてももしかしなくても。
―――こいつ、絶対天然だ…!
「あ、飛鳥井? どうしたの?」
いきなり頭抱えてうずくまった俺を心配してか、天神の困ったような声が聞こえる。
「…いや別に。うんそうだよな。きっと心のどこかで予想はしてたんだよ俺」
「は?」
「とにかく、行くとこあるんだろ? さっさと行って来いよ」
俺は帰る、と天神に背を向けて、俺は来た道を戻って行った。
「……っそだろ…」
突然目の前に現れた、たぶん水妖(すいよう)の大群。
ひとつ言っておく俺は異能者だでもそれとこれとはまったく話が別物。
―――ニンゲン……イタ…
にぃと嗤ってじりじりと距離を詰めるそいつらと距離を置こうと、無意識に後退る。。
足だけで後ろに下がっていると、何かが触れた。
「え……?」
俺は、踏んだそれを見て。
「は……?」
なんで?
俺が踏んだもの。それは。
木刀、だった。
「……なんかこれさぁ、巧く出来過ぎてねぇ?」
とはいえ、このまま攻防なく負う追われるってだけもごめんだ。
落ちていた木刀を拾い上げ、両手で持って構えて。
―――ニンゲン……霊力ノ高イ者…
いきなり飛びかかってきた水妖たちに、俺は迷わず剣を叩きつけた。
その勢いを殺さないままに、遠心力を利用して他の水妖たちを風で祓う。
終わった、と思った。でも―――
「っ……んだよ、こいつら…!?」
湧いて出てくる害虫みたいに、こいつらは底をつかず出てくる。
「なんで…」
思いはしたが、考えている暇はない。とにかくそのまま、薙ぎ払うことしかできない。
「―――っ、は……」
そろそろ、呼吸が整わなくなってきた。
それだけじゃない。今まで散々使った腕だって、そろそろ限界を迎える。
いや、たぶん限界はとうの昔に超えてたんだ。
それを無理矢理使ったから、今動かないだけで。
―――ニンゲン……喰ッテシマエ………
―――肉ノ一欠片モ残サズ…
水妖たちが、笑いながらこっちへ向かってくる。
最後の抵抗になのかは自分でも分からない。でも、確かに腕が僅かに動いた。
ただ、疲れ切った腕はそう簡単には上がってくれなくて。
「…………っ」
とにかく、もう逃げようと思った、瞬間。
りん―――。
唐突に響いた、鈴の音。
「え?」
「迷い無く御魂を捨てた者。……貴様らに、人間を喰う資格はない」
さっきまでは愛らしかったことを容易に想像させる声が一段低くなった。
そして。
「八百万(やおよろず)の神々よ。神々しき陽の光を放ち、悪を殺したまえ」
少女が唱えた直後、辺りが一瞬暗くなり、そのまま眩しい白に輝き出す。
水妖たちが慌てて逃げようとした。でも、白い光に捕縛された妖たちが簡単に抜け出せるわけがない。
完全に全てが終わってから。
「大丈夫ですか!?」
どこか慌てたような声が聞こえ、淡い桜色の着物の裾が翻った。
「あ…、確か……」
「一葉です。柊一の妹の」
あぁ、だから見たことあったんだ。
「怪我していませんか? もししてたら……」
「いや、大丈夫だよ」
そう言って手を振りかけて―――ずきっとした痛みに顔を歪めた。
「やっぱり…!」
そう言って怒ったように頬を膨らませた少女―――一葉、ちゃんが、無理のない程度に俺の手を引っ張る。
「来てください! 一葉じゃできないけど、天音お姉ちゃんなら治せますから!」
結局、彼女に引きずられてその“天音”と言う人のところへいく羽目になった。
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