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不死鳥
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日陰
:2013/03/09(土) 12:59:00 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
第一話 全ての元凶
桃色の桜が空を舞う季節―春……。
数百人の新入生を迎えた緑ノ葉高校も、校庭に咲き誇る桜の葉が綺麗に空を舞っている。
「――ねぇねぇ、日野(ヒノ)くぅん!」
緑ノ葉高校のとある昼下がり。
女子生徒の声が、一人の少年の名を呼んだ。
「……どうしたの、浅野」
「今から皆でお昼食べるんだけど、日野くんもどう? 良かったら一緒に食べない?」
紫色の風呂敷で包まれた弁当箱と思われる物を両手に持って、浅野と言われた少女は言った。これは所謂お昼のお誘いというものだろう。
日野、と呼ばれた少年は「別に良いけど、オレ昼飯売店だから……」と学校配布の制服のポケットに手を入れながら呟いた。傍から見れば無愛想な少年なのだが、今時の子はこういう性格が女子から好まれるらしく……。
「っじゃ、ワタシも一緒に行くね! 日野くん売店で何買うの?」
と、心からの笑みを浮かべた。
日野雅(ヒノ ミヤビ)。今年で高校二年生に進級した、赤髪を持った少年だ。性格はそれこそ無愛想で、無口な少年だが、それがイイという女子生徒が数多(あまた)の数で、こうやって昼のお誘いはほとんど毎日だ。
女子生徒と日野の二人が学校の売店に来ると、売店が何やら人で混雑していた。いつもは然程人が居ないのだが、今日に限ってはコレデモカと言うほど人で溢れ返っていた。
「どうしたんだろ?」女子生徒が弁当を片手で持って日野に「ちょっと待っててね」と言って人ごみに近づいていく。
人ごみの後ろにいた一人の女子生徒に話しかけるのが日野には見えた。
そして、少しの間日野が待っていると女子生徒が嬉しそうに笑いながら戻ってきた。
「どうしたの?」
「それが! すっごく格好良い人が売店でバイトしてるんだって! ちょっと私見てくるから待ってて?」
別に良いよ。と短い返事をすると、女子生徒は人ごみの方に走っていった。女子というものは「格好良い」やら「イケメン」やらの響きに弱いのだと、改めて思った日野だった。
しかし、それほどのイケメンなら見てみたいものだ。という考えもあった。別に深い訳はない。女子生徒を、それもつい先ほどまで自分と仲良さ気に話していたものを一瞬にして目の向きを変えさせるその「イケメン」を見てみたくなった。
「――はいはい、ちゃんと一列に並んでくださぁーい」
妙に気力のない声が日野の耳に入った。その言葉に、人で混雑していた売店の前が、人の少し歪な列になる。
そして日野は見た。
人ごみが晴れ、売店の中が視界に入ると同時に銀に光る何かが見えた。
――銀色に輝く髪。漆黒を思わせる瞳――
見るからに美形というヤツだろう。決して日野に引けを取らない顔立ち。ドラマに一度出演したことがあるといっても通じるような顔の少年。
間違えても日野は男好きではない。だが、日野は銀髪の少年を見て思った。
――やっべ……。殺してぇ……。
少年に向けられた日野の感情は殺意という狂人なものだった――。
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