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4竜野 翔太 ◆026KW/ll/c:2013/02/16(土) 23:17:09 HOST:p4092-ipbfp3303osakakita.osaka.ocn.ne.jp

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 学校の校門前には、霊介の見慣れた顔が二人いた。
 茶髪の髪を横で一つに結っている少女と、紫がかった黒髪を後ろで一つに纏めている少女だ。
 茶髪が夏海涼花(なつみすずか)、黒髪が刀坂明日香(とうさかあすか)だ。
 二人とは中学からの付き合いである。涼花は宿題を忘れがちな霊介に宿題を写させてあげることが多い。また可愛らしい容姿のため男子からの人気も高い。中学二年生のバレンタインデーに逆チョコを大量にもらったという逸話まである。
 刀坂明日香はクールで知的な印象だが、実はかなりの噂好きという女子らしい一面も持っている。しかし、その一面はあまり知られておらず、何処となく格好のいい面が目立つため女子生徒から人気がある。なお、彼女はいつもギターケースを背負っているが、仲には日本刀が入っているらしい。
 高校に入ってからは、霊介が来るのを二人が校門前で待って、三人で教室に向かうのが恒例となっている。
「お、霊介来たよ」
「今日は珍しく疲れてないな。いいことでもあったか?」
 二人が何気なく聞いてくる。
 普段どんな顔してんだよ、と口の中で呟く霊介。三人が校舎へと向かおうとしたところで、
「今来たところか、お前たち?」
 不意に後ろから聞き覚えのある可愛らしい声を掛けられた。
 気品が漂うドレス姿に背中まで伸びた黒い髪。大きめな瞳と小柄な体躯が特徴的な人物。霊介たちのクラス担任である萩原歌蝶(はぎわらかちょう)。担当教科は現代文で生徒からは親しみを込めて蝶ちゃんと呼ばれている。本人はそれを快く思っていないようだが。
 授業を教える者とは思えない服装だとは、とても思えない、と霊介はいつものように思う。
 歌蝶はそんな霊介を指差して、
「時に澤木。君はきちんと漢字の宿題をやってきたか?」
 ぎくり、と霊介の顔が引きつる。
 歌蝶はにやり、と不適な笑みを浮かべると、
「せめて授業が始まるまでに仕上げるんだな。一時間目だし、今日小テストを行うから。まあ……やってないならそれなりの覚悟をしておくようにな」
 霊介は泣きそうな顔になりながら、涼花に訊ねる。
「……宿題のプリントってどれくらい?」
「三十問ある漢字をそれぞれ五回ずつ写す。まあ、私は三十分くらいかかったかなー」
 霊介は携帯電話を開いて現在の時刻を確認する。現在は八時二十分。一時間目開始は八時四十五分。頑張れば行ける。
 霊介の考えが伝わったのか、涼花と明日香はお互い顔を見合わせて溜息をつく。霊介が走り出すと同時に二人も一緒に走り出した。こうなったら教室に駆け込んで一秒でも早く宿題を仕上げるしかない。
 目的が決まった彼は、とても速かった。


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