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負ケ戌共 −マケイヌドモ−

6ムツ:2013/01/02(水) 12:52:12 HOST:softbank220024115211.bbtec.net

 負ケ戌共 −マケイヌドモ− 【五】


 目の前にいるのは今にも崩れそうな神社に背をあずけている細い体の少年。
 白く長い綺麗な髪を雑な結び方で三つ編みにしているその少年は虚ろとも云える瞳で三人を睨んでいる。片目は長い前髪で隠されているせいで、よく見えない。
 「……………………」
 「……テメェが‘負け戌’…って、呼ばれてる逸れ者かぁ……?……俺は、影祓い屋って言う何でも屋の若頭を」
 「何しに来たの…………」
 鋼獅郎の話を遮り少年はつぶやいた。赤く濁り返っている瞳が静かに三人を捉える。
 「………お兄さんたちは何をしに来たの……」
 少年は三人から目を離さない。まるで押しつぶされそうな悪寒が三人を重く包み込む。
 「…テメェを殺傷しに来た…。悪いが死ぬ前に捕まってくれねぇか……」
 優しい口調でそういうものの、鋼獅郎は確実に刀を鞘の中から取り出していた。
 「若…油断はしないで下さいね。あんな子供と言え、刀を四本も所持しているのですよ……」
 清玄が冷静に言うが、その手にも鞘から取り出された刀が握られていた。
 「良いじゃん清玄…。卑怯だけど俺たちは三人、あっちは一人…。少なくとも負けはしないっしょ……?」
 呑気な口調で偉三郎が言うと、それに怒ったように清玄が「不抜けたことを抜かすなぁっ!!」と少しムキになりながら怒鳴った。
 「……刀を抜けや、‘負け戌’野郎………」
 挑発半分で鋼獅郎が笑いながら言うと、少年は静かに立ち上がり刀を二本づつ腰の白い紐に差し掛ける。
 ――……来い……
 「‘負け戌’野郎」


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