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負ケ戌共 −マケイヌドモ−

27ムツ:2013/01/03(木) 21:23:04 HOST:softbank220024115211.bbtec.net

 負ケ戌共 −マケイヌドモ− 【二十四】


 少年、改め、‘東’が壁に凭れながら道場の中を眺めていると、不意に「東っ!」と呼ばれた。
 最初は自分のことだと自覚がなかったが、何度も自分に向かって言われるので要約、我に返って其方に顔を向ける。
 そこには東の四本刀を持った清玄が静かに立っていた。血で汚れた刀を洗ってくれていたのだ。
 「…何ですか?」壁から背を離して東が訊くと、ポイッと刀を投げられた。
 「…っあ」重い刀の塊をキャッチすると、それに続いて一本の竹刀も投げられた。それもキャッチすると、何?と言いたげな顔で清玄を見つめる。
 「我々に劣らない腕を持っているからといっても、腕を磨かねば足でまといだ。しっかり稽古しろ…」
 稽古…。そんなことを言われても、稽古なんて今まで一度もしたことがない。
 「……稽古って言っても…どうやって……」
 怯えた子供のような言い方に、内心イライラしている清玄。そしてスっと稽古している者たちに人差し指を向ける。
 まるで「あんな風にしろ」と言いたげなものだ。それを察した東は少し不安気に稽古している者たちを見本する。
 「……………貴様。人間恐怖症と言っても、勝負をしている時は別なのだろう?なら早くしてこい………」
 確かに東は勝負と通常な時とでは性格が違い過ぎる。
 それは、東自身理解できていることだ。
 少し、考えたあとに東は困った顔になりながらも、皆が稽古をしている方に歩み寄っていった。


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