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負ケ戌共 −マケイヌドモ−

17ムツ:2013/01/03(木) 13:20:29 HOST:softbank220024115211.bbtec.net

 負ケ戌共 −マケイヌドモ− 【十六】


 『僕に触るな、近寄るなぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!!?』
 「どワァああァああアアアアアアアアあアァァァぁ?!!!」
 朝日が部屋に立ち込める中、偉三郎の悲劇的な声がその場に響いた。
 それに重なり麩が破れる音もあった。
 「………ィッタァ――……。巫山戯んなよテメェ!!この俺様が折角看病してやるってんのに!?」
 「そんなの頼んでない!そもそも、お兄さんたちに看病される筋合いも無いっ!」
 少年は偉三郎と距離を取りながら怒鳴り合っていた。人間恐怖症は治っていないらしい。
 「いい加減にしないか、貴様。なまくらで大飯食らいで使い物にならない、その偉三郎が折角、看病をしてくれているのだぞ…。家でもコンぐらい積極的だったら困らぬものを………ッチ……」
 「おい、コラテメェ!ッチってなんだよ?!聞こえてんだよ!むしろ聞こえて下さいみたいな声で、ッチ、とか言うなよ!悲しくなるから言うなよ!?」
 廊下で腕を組みながら清玄が少年を咎めると、その言葉に偉三郎は反発した。
 「大体、僕は何でお兄さんたちに看病されなきゃいけないんだ!?僕は看病してくれなんてコレポッチも頼んでないっ!!」
 怒鳴り声を響かせる少年を呆れ返った見つめる偉三郎と清玄はあまりに無力だった。
 すると、少年の頭に白い包帯の塊が飛んできた。「イテッ…」そう言いながら少年は落ちかけた包帯を両手でキャッチして、包帯が投げられた方に目をやった。
 そこには首の裏に手をおいて大欠伸をしている鋼獅郎が眠たそうに立っていた。


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