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負ケ戌共 −マケイヌドモ−

15ムツ:2013/01/02(水) 19:09:06 HOST:softbank220024115211.bbtec.net

 負ケ戌共 −マケイヌドモ− 【十四】


 男たちが自分に近付き刀を降り下ろそうとする。
 少年は殺されるという恐怖よりも、自分に濡れ衣を着せようとしている村長への恨みよりも、違う感情が心を左右していた。
 「………僕に……―――」
 少年は顔を踞せて、囁くように呟いた。
 「近付くなぁぁぁぁぁぁアアアアぁアアアアああぁ!!!!?」
 『ガギゴンッ!!!』
 少年の叫びと鋼が引きちぎられる音が一瞬重なった。力尽くで手足の枷を壊した少年はグンと力尽くで立ち上がり、村長を睨んだ。
 それと同時に『ドグシャッ!!!』という麩を破る音も聞こえ、皆もそっちに目をやった。そこには刀を四本抱えている鋼獅郎と、その横で刀を構えている清玄、偉三郎が麩を蹴りで破っている光景が見えた。
 「…受け取れ!糞牙鬼ィ!!」
 鋼獅郎はそう叫んで布で一つにまとまった刀の束を少年向かって投げ放った。少年はそれを受け取ると直ぐ様、鞘から一本刀を引き抜き構える。
 「き、貴様はっ…!!?」
 「村長さんよぉ〜…。俺たち影祓い屋を冤罪の立板にするたぁ物凄いことヤってくれるじゃねェか……」
 「………我々、影祓い屋は悪善問わずなんでも致しましょう…。ですが……」
 「他人に濡れ衣を着せるってのは依頼になかったからなぁ……」
 狭いその一室で、男たちと少年、影祓い屋の持つ刀が月明りで光る。
 『テメェにゃ、村民の前で謝罪していただきマース…』
 三人は不気味な笑顔で言うと、刀を構え直した。


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