したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

負ケ戌共 −マケイヌドモ−

12ムツ:2013/01/02(水) 16:58:22 HOST:softbank220024115211.bbtec.net

 負ケ戌共 −マケイヌドモ− 【十一】


 「……んぁ〜〜〜……――。…まぁ、あれだ…。少年。名前は?」
 少しうなだれる鋼獅郎。少年はそう問われ、どう答えるか迷ったような顔をした。
 「名前は……その…………無い……」
 ‘親はもう死にました’とでも言ったような雰囲気になる。
 再び少年が黙り込むと、鋼獅郎は「はぁー…」とため息をついた。そして、清玄と偉三郎に「こっち来い」と言わんばかりに指を曲げて呼び込む。
 「―――……いや、だから俺的には光る的な…――」
 「―――…だからこそ、これは捨てられません……―――!」
 「――いや、なら間をとって…こんなんは…――?」                                   
 『―――…どこが間取られてるんだよッ……――!?』
 三人はコソコソと話し始めている。何をしているのかわからないが、これは良いチャンスだ。
 少年は音を立てないように素早く壊れた麩の方に近寄っていく。案の定三人は輪になったままで自分には気づいていない。今なら逃げられる。
 自分の刀は今この場にはない。取られた感じで少し尺だが仕方ない。少年は自分にそう言い聞かせると、音を立てずに部屋から出て、宿の廊下を進む。
 途中、他の人の部屋も通ったが、気付かれることは無かった。
 外に出て空を見上げると、月明かりだけだその場に立ち込めていた。辺りは家のロウソクで明るいが月に勝る程ではない。
 「………………………………」
 少年が月を睨むように見つめていると、背後に変な気を感じ咄嗟に振り返った。だが。
 『バシッ!!』
 鈍い音と共に、少年は目眩を感じその場に倒れこんだ。
 そしてその場に集まってくる数人の男たち。その男たちの中心にいるのは、不気味な笑いを浮かべる村長だった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板