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負ケ戌共 −マケイヌドモ−

11ムツ:2013/01/02(水) 16:29:15 HOST:softbank220024115211.bbtec.net

 負ケ戌共 −マケイヌドモ− 【十】


 被害者第二号が出たところで、まだ被害の受けていない偉三郎がそれなりの距離をとって少年と話し始めた。
 「テメェ、なんで村長次期候補なんて殺したんだよ…。…つか、そんな恐怖症抱えてるてめぇがどうやって殺したんだよ……」
 偉三郎が少しムキになりながら問いかけた。屈辱とも言える名をつけられたことを動機として、殺めたのか。それとも他の理由があるのか。そもそも、さっきまでなんの不信も抱かず自分たちと刀を交わしていたのはなぜか。この変化はなんなのか。偉三郎はそれが気がかりで仕方なかった。
 少年は『人間恐怖症』(偉三郎命名)のことには特に答えず、次期村長候補の者のことだけ話そうとした。だが、帰ってきた言葉は…――
 「村長次期候補?…一体誰だそいつは……」
 だった。
 それを聞いた偉三郎はつい「あ?」と聞き返してしまった。なんせその物言いでは、まるで…
 「まさかだが…。てめぇ、村長次期候補を殺してねぇってんじゃ…」
 そう言っているようなものだからだ。
 意味がわからないような顔をしているが、少年は眉をハの字にしてコクンと一度頷く。
 「ちょっと、待て…。それじゃァ、俺らは…」
 「無駄足だったってこったな…」
 偉三郎の言葉に付け加えるように、背後で鋼獅郎が口を開いた。
 「では、村長を含め村人全員は、勘違いをしていたと…そういう事でしょうか……」
 頭をさすりながら清玄が言うと「そうかもなぁ〜」と鋼獅郎は言い放った。
 深くため息を落とす三人を前にして、少年は一人、何の事か分からず頭をひねらすことしか出来なかった。


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