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coin―裏と表の世界―

6辰魅:2012/12/25(火) 12:02:14 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
〝coin―裏と表の世界― 第一話 四〟


 『………………』
 深澤は作り笑顔で、楓眞は無表情で倒れたドアの方に目を向ける。
 そこには二人の人物が立っていた。その一人は茶色の長い髪を一つに結び上げた綺麗な顔立ちの少女。もう一人は茶色い短髪を持った眼鏡をかけた少年。
 二人とも大学生かそこらへんだろう。背が高く、整った顔立ちをしていて、さぞかしモテた青春時代を贈っていた事が考えられる。何より今でもモテているだろう。
 少女は怖いほど云い笑顔を顔面に浮かべて、深澤、楓眞両二名に右足の裏を見せつけている。少年の方は呆れた顔つきで白い天井を見つめる。
 「……アノ、ドチラ様デッ?」深澤が部屋に入ってくる少女に訊く。少女は一言「その馬鹿のお姉ちゃんです」と頬笑みながら言っただけで、それ以外の無縁な言葉は挟まなかった。
 「…………あの……。本気でどちら様ぁぁ………!!!?」
 少女――楓眞の姉と言い張る少女から顔を背け、楓眞と向き合う。
 「……イヤ…。だから…。僕の姉の――」楓眞は姉という少女に虚ろな目を見せた。
 「風香(フウカ)ですっ!そして、双子の弟の――」楓眞の姉――風香は少年の方に手のひらを向ける。「――武神 風間(タケガミ カザマ)でぇ〜す」【ドンドンッ! パフパフゥ〜ッ!】少年――風香の双子の弟は右手で華麗に弄り回していたスマホから変な効果音を出す。
 「………あのって言う事で、帰って良いですか…?僕本当に何にもしてないんで…」
 ガタっと小さな音を立てて、楓眞は立ち上がる。ドアを一蹴りで倒すほどの狂人的な脚力を持つ少女に驚いていた深澤は、帰ろうとする楓眞を咎めようともせず、驚きつつ部屋の隅っこの椅子に座った女性を見る。そして困った顔を見せたあとで、「これからお店行ってみようか?」と呟いた。


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