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coin―裏と表の世界―

4名無しさん:2012/12/23(日) 22:30:42 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
〝coin―裏と表の世界― 第一話 弐〟


 面倒になった結果、警察行こっかはないだろう…。
 言われた本人はまるで聞き耳も立てていない様子でその言い分に従い、店のそばにあるその町の警察署へと連れて行った。
 楓眞はその間ずっとウォークマンとメダルを握りしめていた。
 警察署に着くと、少々ばかり楓眞は待たされた。白い壁に凭れながらウォークマンを弄る姿は今時の若者にはピッタリのものだ。
 「――君ぃ。…ちょっとこの部屋入って……」
 楓眞の前にある部屋のドアが開き若い刑事のような男が首だけを出してきた。それに合わせて小太り店長もその部屋から出ていく。少しばかりウォークマンを眺めていた楓眞だったが、部屋から出てきた刑事に肩をぽんぽんと叩かれて我に返ったような顔で部屋に入っていった。
 部屋の真ん中には銀色の机にパイプ椅子、部屋の隅には少し小さめの机とその机に前にある椅子に座る若い女性がいた。
 楓眞は若い刑事に進められるように奥の椅子に座る。
 「…っで。何で万引きなんてしたのかな…?」
 先ほどの男と同じ問が放たれた。しかし刑事にそう言われようとも全く微動だにしない楓眞。
 「聞こえていないのかな……?」刑事は顔に浮かべられていた笑を「?」のものに変えて楓眞のウォークマンに向けられた視線を遮るように手を振った。すると気付いたように楓眞は虚ろな目を少し見開いて、耳からイヤホンを抜き「はい…?」と低い声で聞き返した。
 (…ぁあ〜。コリャ聞こえてなかったっていう口か……)
 若い刑事、深澤 正樹(フカザワ マサキ)は頬杖をして思った。
 「…っで、何で万引きしたの?」
 本命に戻ると楓眞の口から「万引き…?」とまさかの聞き返しの言葉が返ってきた。


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