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coin―裏と表の世界―

12辰魅:2012/12/26(水) 14:03:10 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
〝coin―裏と表の世界― 第一話 十〟


 津川の住んでいるマンションから喫茶店までは徒歩十分程のところになった。
 「カラン、カランッ」喫茶店について、ドアを開けると、ドアに付けられていたベルが鳴る。
 店内にそれほどの客はおらず、目に付く客は店の奥に座る高校生くらいの青年二名だけだった。三人はそれに目もくれず、「いらっしゃいませ」と愛想笑いを浮かべて言った定員に近付き津川のことを聞く。
 「――…今日の8時頃…ですか?」
 女性定員は頭をひねらせる。今日のこととは言え、時間は大分経っている。大きな行動でもお越していない限り覚えていないだろう。
 女性定員は深澤から差し出された、津川の写真を渋い顔で見つめる。だが、一向に返事がない。
 「この人来てたかなぁ〜…?……すいません、よく覚えてません…」
 小さく頭を下げる女性定員を、深澤は「そうですか」と言いながら見つめる。
 「…っあ!……あのちょっと待ってて下さいっ!」
 何かを思い出した様子で女性定員は店の奥に走っていく。そしてすぐに定員は背の高い黒髪の男性を連れてきた。
 「桜田(サクラダ)さん……。この人今日見ました…?」
 女性定員の連れてきた男は驚きながらも、女性から差し出された津川の写真を見る。
 「……!あっ…あぁ!!覚えてる、覚えてる!!」
 「本当ですかっ?!」
 男性定員の言い分に木下は噛み付くように聞き返した。「……えぇ…」
 定員の言い分には一緒に来た女性に一回怒鳴ったらしく、それが迷惑でよく覚えていたらしい。
 「一体俺の何が悪いんだ!……って、物凄い剣幕で怒鳴ってたのでよく覚えてます…。それに、電話か何かでちょくちょく店から出てたので、食い逃げじゃないのかとも思ったほどですから……」
 ふむふむと頷く3人。アリバイは確かだ。
 「…ご協力ありがとうがざいました……。また何かあったらお伺いすることがあるかもしれませんが、その時はよろしくお願いします…」
 深澤がそう言った時、店の1時を知らせるチャイムが鳴った。壁に飾られている鳩時計から鳩が出てくるところも、定員を含める5人はきちんと見た。
 「………ま…まぁ、何だぁ……。飯でも食っていくか…?」
 苦笑いを浮かべながら木下が言うと、定員たちも苦笑して「お好きなお席へどうぞ」と聞き込み刑事たちを歓迎した。


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