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天界の王子-Heavens of Prince-
7
:
竜野 翔太
◆026KW/ll/c
:2012/12/23(日) 23:13:22 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
ザンザは目の前の光景に戦慄していた。
彼は自慢ではないが、八部隊でもかなりの実力者だ。そんな自分の攻撃がただの素人に防がれた。いくら天子でも、ザンザはその光景に驚かずにはいられなかった。無意識に彼は刀の柄を強く握り締めていた。プライドを傷つけられた、というわけではないが、単に自分の攻撃が防がれたことに腹を立てていたのだ。
しかし、それでも彼は勝利を確信していた。
刀が防がれたのはまぐれだ。こっちもトドメの攻撃だから、少し手加減していたのかもしれない。相手は戦いの素人だ。恐らく光の斬撃もかわせないだろうし、刀の扱いだって素人だろう。そんな相手に自分が負けるはずがない。ザンザはそう思っていた。
魁斗は二本の刀を構えながら、ザンザを睨みつけていた。そんな彼に、レナが声を掛ける。
「……あの、カイト様……」
「言っとくけど、文句は言わせねーからな。俺のためにお前が死んでいいはずがねーんだ。怪我人はそこで大人しくしてろ」
レナは少し嬉しそうに表情を綻ばせながら頷く。
今彼女の前に立つのは、自分が世話をしていた幼い少年ではない。自分を守ろうと立ち上がってくれた、成長した少年だ。
二人のやり取りを見て、ザンザが吹き出したように笑う。
「ハッ! 随分と余裕じゃねェか、天子さんよォ。まァ、怪我のマイナスがねェ分楽しめそうだが、それでも素人だ。それで勝てるほど、世の中は甘くねェぞ!」
ザンザがすかさず光の斬撃を放つ。だが、ザンザはどんな相手にも手加減はしない。彼はそのまま魁斗に突っ込んでいく。
魁斗はザンザが思ったとおり、運良くかわした感じだった。ザンザの接近に気付いているが、もうその時にはザンザの刀の攻撃範囲に入っていた。終わりだ、と言わんばかりにザンザが巨大な刀を横薙ぎに振るう。
が、
魁斗が後ろへ身体を退き、彼の攻撃をかわす。
「なァッ!?」
光の斬撃がかわされるのは想像の範囲内だった。だからかわされても驚きはしなかった。だが、この二撃目の攻撃をかわされるとは思わなかった。挙句、魁斗から反撃される。ザンザは急いで刀を戻し、その攻撃を防ぐ。
彼は後ろへ飛びのき、恨めしそうに魁斗を睨みつける。
魁斗は素人のような構えで二本の刀を構えている。
「嘘だろ……ッ? どっちもかわされた? 野郎、ただ脚力が強いだけじゃねェのか?」
呟くようなザンザの愚痴は魁斗の耳には届いていない。
ザンザは再び、渾身の攻撃を与えるべく、刀に光を纏い突っ込む。
雄たけびと共に刀を振り下ろす。しかし、
ガァン!! という大きな金属音を立ててその攻撃も魁斗の二本の刀に防がれた。
「……ッ!」
今度こそザンザに大きな隙が出来た。
魁斗はそれを見逃さず、刀の柄を強く握り締め、目の前のザンザを睨みつける。
ザンザは恐怖に声を、震わせながら叫ぶ。
「……んだよ、お前は……! 一体何だってんだよ、お前はァァァァ!!」
「切原魁斗。ただの、天子だよッ!!」
魁斗が思い切り刀を振り下ろす。ザンザには逃げられたが、とりあえずこの場を収束させることには成功した。あと、レナを守ることも。
魁斗はレナの下へと駆け寄り、心配そうな顔で体調を聞いてくる。レナもその剣幕に押され苦笑いしながら『大丈夫です』と答える。
ホッと胸を撫で下ろす魁斗を、レナは僅かに頬を染めながら見つめ、
―――成長なされたのですね、カイト様。
嬉しさに、表情を綻ばせた。
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