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天界の王子-Heavens of Prince-

5竜野 翔太 ◆026KW/ll/c:2012/12/23(日) 00:42:27 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 レナは真っ直ぐと目の前の敵を睨みつける。
 一方で、男の方は闘争心を剥き出しにした獰猛な笑みを浮かべるだけだ。彼はかなり余裕があるようで、レナが戦おうと構えているのに刀に手を伸ばそうともしない。
 男はようやく背中の刀の柄に手を伸ばし、そのまま巨大な刀を引き抜く。彼とレナの間は三〇メートルほどの距離が開いている。
 巨大な刀の切っ先をレナに向け、男は告げる。
「……あァ、一応自己紹介でもしておこうか。『死を司る人形(デスパペット)』第八部隊第一小隊隊長、ザンザだ」
 『死を司る人形(デスパペット)』。
 それがレナの言っていた賊軍の名前だ。第八部隊、ということは最低でも一から八までの部隊があるということだ。レナ一人で、どこまで耐えることが出来るのだろうか。
 彼女は左のわき腹を、顔をしかめながら押さえている。ザンザはレナのその行動の意味を察したのか、『くはっ』と笑いを漏らす。
「お前怪我してんのか。そんな状態で俺に勝てるとでも思ってんのか?」
 ザンザは担ぐように刀を肩に乗せる。
 レナはザンザの持つ巨大な刀を見つめている。痛みを訴えるわき腹に顔をしかめながら、レナは言葉を紡ぐ。
「それは、『大宝の御剣(だいほうのみつるぎ)』? そんな珍しいものをよく手に入れましたね」
「ハッ、流石だな。気付いたかよ」
 天界には『剣(つるぎ)』と呼ばれる武具が存在する。形は刀や槍、銃や弓矢などと様々で、それぞれ違う能力を持っている。何の能力も持たないただの刀のような『剣』もあるらしいが。通常は携帯しやすいように指輪やブレスレット状にして身に付けているのだが、ザンザのように武器のまま携帯しているのは珍しい。
 かくいうレナの右手首にもブレスレットが装備されている。恐らくそれが、レナの『剣』だろう。
 彼女はそのブレスレットの『剣』を解放する。ブレスレットが光に包まれ、光の形状が二本の刀に形を変える。左右一対の双刀。柄の先には鈴が付けられた紐がぶら下がっている。
 ザンザはその刀を睨みつけて、
「……あまり変わったところは見当たらねェな。珍しいモンなのか?」
 さあ、とレナは返す。
 『剣』の知名度によっては、見た目では分からなくとも名前を聞いただけで能力が分かるものもある。見た目だけで相手の『剣』の名前を言い当てたレナは、相当『剣』に詳しいようだ。
 ザンザは溜息をついて、刀の切っ先を上へと向ける。
「俺の任務は天子のガキの中にある『シャイン』を引きずり出すことだが、邪魔が入っちゃしょうがねェ。とことん相手してやんぜ、消し炭になるまでよォ!!」
 ザンザの巨大な刀の刀身が光に包まれる。
 レナは双刀を前に構えて、相手の攻撃に備えようとしていた。


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