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天界の王子-Heavens of Prince-
40
:
竜野 翔太
◆026KW/ll/c
:2013/03/08(金) 22:09:35 HOST:p4092-ipbfp3303osakakita.osaka.ocn.ne.jp
爆煙に包まれる場所を見ながら、カテリーナは退屈そうに嘆息した。
自分の相棒――ザンザをまぐれであるとはいえ退かせたものだから、彼女自身も切原魁斗という人物に興味を持っていたのだ。
だが結果はこれだ。
何のことはない、ただの普通の少年だった。『剣(つるぎ)』の能力を理解せず、油断したが故に攻撃をくらい、十五年という短い命を散らすこととなってしまった。こんなつまらない少年に興味を持っていたのかと思うと、自分で自分が恥ずかしくなってくる。
彼女は背を向けながらふと思った。
――少年の『剣(つるぎ)』の能力は何だったのだろう、と。
自分が知らないのだから大して珍しいものではないのかもしれない。ザンザも形状は詳しく憶えていなかったし、自分もこの目で見て、見覚えがなかったとすると、そんなにレアなものではなかったのかもしれない。
まあ今死んだのだから、それも気にする必要は無いか。そう思いながら、カテリーナが『剣(つるぎ)』を元のアクセサリーに戻そうとしたところで、
「カテリーナッ! 奴はまだ終わってねェぞ!」
ザンザの叫び声で、ばっと後ろを振り返った。
晴れつつある爆煙の中に、少年の影が視界に飛び込んでくる。二本の刀を持った、黒髪の少年だ。彼の刀には、先ほどまでなかった、眩いほどの光が纏っている。
カテリーナは、驚愕を露にしながら大きく目を見開いている。
「……うっそ……。『雷叫(らいきょう)』の一撃をくらって、平気だなんて……」
魁斗は煙の中で、獰猛に笑ってみせる。
身体は決して無事ではない。口の端から血を流しているし、あちこちに火傷がある。とても無事とはいえない状況だが、彼はカテリーナの攻撃を防いでみせた。
レナは魁斗の無事を確認すると、目尻に涙を浮かべてしまう。
「……カイト様……」
「……続けようぜ、カテリーナ・アルサント」
カテリーナは笑う。
愉しそうに、口の端を吊り上げて笑みを浮かべてみせた。
「いいじゃん、いいじゃん、そうこなくっちゃ! そうじゃないと、全然面白くもないもんね!」
レナは隙を見せるザンザに斬りかかる。
それに咄嗟に気付いたザンザが身体を反らして、なんとか攻撃をかわした。体勢を立て直し、レナを睨みつけながら、
「随分と卑怯なマネをするじゃねェか。俺はお前が戦う状態まで待とうと思ってたのによォ」
レナは刀を前に構えながら、
「随分と余裕のあることをするんですね。その驕りが、敗因にならないように気をつけてください」
切っ先をザンザに向ける。
ザンザは引き裂かれた笑みを浮かべて、刀を振りかぶる。
「デカイ口叩くじゃねェか、養育係! その言葉、あとで後悔させてやるよ!」
言いながら、ザンザは突っ込んでいく。
それにレナも応じ、ザンザに向かって突っ込んでいく。
二人の刀が、大きな音を立てながらぶつかり合う。
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