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天界の王子-Heavens of Prince-
39
:
竜野 翔太
◆026KW/ll/c
:2013/03/02(土) 12:41:41 HOST:p4092-ipbfp3303osakakita.osaka.ocn.ne.jp
刀を何度か交わせ、カテリーナは魁斗と距離を取る。
距離を取っても魁斗には優れた脚力がある。数メートル離れられても、そんなもの一瞬ともいえる時間で縮められるのだ。それを何度も繰り返しながら、魁斗は思う。
――相手は一体何を考えているのか、と。
距離を取るのも二、三回程度で意味が無いと気付くだろう。回数を数えるのももどかしくなるくらい繰り返しているので、相手もいい加減気付くはずだ。なのに何故相手は距離を取り続けるのか、魁斗には相手の意図が読めなかった。
一方のカテリーナは笑みを浮かべたまま、立っている。まるで、自分から踏み込む気はないというように。
魁斗はもう一度強く踏み込み、カテリーナの懐へと飛び込む。刀の届く範囲まで近づき、魁斗は刀を横薙ぎに振るう。しかし、この攻撃もカテリーナの刀に防がれる。
魁斗は顔をしかめて、
「どういうつもりだ」
「何が?」
とぼけるような口調で言うカテリーナに、魁斗はふざけんな、と睨みつけながら言い放つ。
尚もカテリーナの表情には笑みが浮かんでいた。
ぎりぎり、と鈍く刀同士が軋む音が鳴る。
「さっきから攻撃しようとしねぇじゃねぇか! お前、戦う気があんのか」
「あるよ。だから『剣(つるぎ)』を持ってるし、君の前に立ってるし、何より考えて戦ってる。何も考えずに突っ込んだり攻撃だけするのは、戦いじゃないよ?」
その言葉に、魁斗の力が僅かに緩んだ。
その隙を見逃さず、カテリーナは魁斗の刀を払う。後方によろめく、魁斗へと攻撃を放つため、カテリーナは二つの切っ先を備えた刀を空へと向けた。
すると青かった空が、急に分厚い雲に覆われ、灰色へと変色していった。
「なっ……!?」
天候が変わるという超常現象、それを目の当たりに魁斗は驚愕していた。
一方で、鉄筋の上を移り変わりながらザンザと戦っていたレナも、空を見上げこの変化に驚いていた。
レナははっとした表情で、下にいるカテリーナへと視線を向けると、
「それは『雷叫(らいきょう)』!? どうしてその『剣(つるぎ)』を貴女が?」
「……さっすが天子の養育係。博識だねぇ」
カテリーナもレナ以上に、『剣(つるぎ)』には詳しい。
中には自分で使わず保管してあるものもあり、『死を司る人形(デスパペット)』メンバーの三分の一くらいの人間は、彼女から『剣(つるぎ)』をもらっている。そういうことから、カテリーナは『剣の才女(つるぎのさいじょ)』とまで呼ばれている。ちなみにザンザも彼女からもらった『剣(つるぎ)』を使用している。
肩で刀を担ぐようにしたザンザが呆れたように空を見上げ、
「オイオイ、ガキ相手に本気になったのか」
「まっさか。そんなワケないじゃん。ただ――」
暗い雲から雷が落ち、それがカテリーナの刀に直撃する。
しかし雷は刀を破壊することも、カテリーナを傷つけることもなく、彼女の持つ刀に留まり続けている。強力な電撃を纏った刀は、眩い光と激しい音を発している。
カテリーナが攻撃する態勢に入りながら、
「ちょっと天子くんに、いたーい目に遭ってもらうだけだよ」
カテリーナが刀を振りかぶる。
しかし、魁斗の位置まではカテリーナの斬撃は届かない。魁斗は何をしようとしているんだ、という表情でカテリーナを見つめていると、鉄筋の上のレナが叫ぶ。
「カイト様、避けてください!! 『雷叫(らいきょう)』は、刀に電撃を帯びさせて放つ刀ですッ!!」
「……ッ!?」
レナの声が届くが、僅かに対応が遅れた魁斗には逃げ切れない。たとえ、脚力がいかに高くてもだ。
「遅いよ、天子くん」
カテリーナが雷の斬撃を飛ばす。
魁斗が刀を交差させて斬撃を防ごうと試みるが、それも失敗に終わる。
雷の斬撃はまっすぐ魁斗に向かって飛んでいき、大きな爆煙と爆音を鳴らした。
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