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天界の王子-Heavens of Prince-

33竜野 翔太 ◆026KW/ll/c:2013/02/08(金) 20:29:47 HOST:p4092-ipbfp3303osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 魁斗とレナが電話をしている頃、同じく敵の襲来に気付いたハクアは薙刀状の『剣(つるぎ)』である『帝(みかど)』に乗って、敵の下へと飛んでいた。
 今回も前回と同じように敵を退けられるか分からない。むしろ、二回目こそ注意するべきだろう。
 魁斗のスペックも、使用した『剣(つるぎ)』も大体情報はつかまれていると考えるのが妥当だ。何もしないで再び来る方が可笑しい。
 だからこそ、魁斗のサポートをするためにハクアは敵へと向かっていた。
 地上にいる人達が奇異の目を向けてくるが構ったことではない。いちいち気にしていた方が面倒なことになりそうだ。
 そこで、ハクアは背後の視線に気付く。
 攻撃の機会を狙っている、にしては殺気も敵意も感じない。単に尾行しているだけのようだ。
 しかし、相手にせず攻撃されても厄介だった。ハクアは近くの建物の上に着地し、背後を振り返る。
「出て来なさいよ。そんなバレバレな視線送って、私が気付かないとでも思った?」
 溜息が聞こえた。
 ハクアの声に返事するかのような溜息の後に、尾行していた人物は姿を現す。
 向こうの建物の上にある看板の陰から姿を現したのは、白スーツの男だった。白いスーツに白いマント、髪は肩まで伸びていた。目つきは舌なめずりでもしているような不快感を感じさせる目つきで、笑みを浮かべている。
 男の登場にハクアは薙刀を構える。
 しかし、男は両手を頭の位置まで上げる。銃を突きつけられた人質のような状態である。
 戦意がない、と主張するような行動を示されてもハクアは構えを解かない。その代わり肩の力を抜いた。
 戦う気がない相手に、ハクアは問いかける。
「……アンタ誰? 私を尾行しようなんていい度胸じゃない」
 ハクアの質問に、男は笑みを浮かべたまま答える。
「尾行するつもりはなかったんですよ。ただ、私は貴女を監視してましてね。貴女が動くもんだから、こっちも動かざるを得なかったというわけで」
 ついてきてたなら尾行よ、とハクアは言って、
「何のために監視してたの? 隙あらば襲おうとでも思った? それとも、交際の申し込みかしら」
「どちらでもありませんよ。ただ、貴女に邪魔されると面倒なことになるので」
 邪魔? とハクアは眉をひそめる。
 男は笑みを浮かべたまま、ハクアの疑問に答えるように言葉を続けた。
「今敵が来ていることにお気づきでしょう? この戦いを邪魔してほしくないんですよ。これは彼らの大事な戦いですから」
「要するに、戦いが終わるまで私は見ず知らずのアンタと仲良くお喋りでもしてろっての?」
「ただするのも退屈でしょう?」
 男の笑みが、何かを企んでいるようなものに変わる。
「貴女に一つ提案があります」
 提案? とハクアは鼻で笑う。
 どうせくだらないものだろう、と思ったハクアに、男が出した提案はこうだった。
「『死を司る人形(デスパペット)』に入ってください。そしたら、切原魁斗とレナ・エルミントの身の安全を保護しましょう」


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