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天界の王子-Heavens of Prince-

24竜野 翔太 ◆026KW/ll/c:2013/02/02(土) 01:03:28 HOST:p4092-ipbfp3303osakakita.osaka.ocn.ne.jp

「カイト様ー!」
 魁斗とレナは大きなデパートの服屋に来ていた。
 なんでも、レナはあまり普段着が無いらしく今も魁斗の母、由魅の服を着ている。だが、レナと彼女ではサイズが合わないらしく、レナの普段着と下着を買いに来ていた。もっとも、下着コーナーまで魁斗はいかないだろうが。
 レナは二着のワンピースを魁斗に見せながら、彼の顔をじっと見つめている。どっちが似合うか決めてほしいらしい。
 それくらい普通に言ってほしい、と思う魁斗だったが、レナの持っている二着を見比べる。
 少し悩み、魁斗は結論を口に出そうとする。
「やっぱ無難に水色の方が――」
 そこで、魁斗は躊躇った。
 こういう時、女性は大抵男性の選んだ逆の方を好む傾向がある。
 彼女が持っている白のワンピースと水色のワンピース。魁斗は水色の方が似合うと思うが、女性の目線では白なのだろうか。いやいや、やっぱり自分の意見が述べた方がいいのでは?
 あれこれと悩む魁斗を不思議そうに見つめるレナ。
 彼女は先ほど、出かかった魁斗の言葉を聞き逃していなかった。
「……カイト様は、水色の方が私に似合うと思いますか?」
 この反応はやはり逆だったか、と思い魁斗は、
「い、いや待てレナ! やっぱり逆の方が――」
「ですよねー! 実は私も、どちらかというと水色の方がいいと思っていたんですよー!」
 レナは相当嬉しそうな様子で水色のワンピースをレジへと持っていった。
 小学生の子供が、初めて親におもちゃを買ってもらったような、それと同じくらいはしゃいでいた。
 よくよく考えてみれば、魁斗のことをいっつも考えているような彼女が、魁斗と選んだ逆の方を選ぶのは少ないんじゃないだろうか? もし、彼女が白を気に入っていたら両方買っていると思う。
 会計を済ませたレナが満面の笑みを浮かべながら、袋を抱えて戻ってくる。袋の大きさとふくらみから見て、買ったのはワンピースだけじゃないようだ。
「さあ、カイト様。次は下着売り場に行きましょう! お次もどんな下着がいいか選んでください!」
「ふざけんな! 出かける前に俺はそっちには行かないって行ったろ! お金渡すから買って来い! 俺はトイレにでも行っとくから、買い終わったらメールでもしてくれ」
 言いながら魁斗は三千円を渡して、軽く手を振りながらその場を去っていく。
 取り残されたレナは少し寂しそうな表情をして、
「……もう、カイト様ったら……」
 下着売り場へと足を進めていった。
 
 一方で、お手洗いの方へと来ていた魁斗。
 男子トイレか女子トイレかちゃんと確認したうえで、男子の方へ入ろうとした途端、横の女子トイレの方から見慣れた人物が出てきた。
 肩より少し長い茶髪に、黄色のカチューシャ。魁斗のクラスメートである沢野叶絵だ。
 二人は目が合うと、お互い驚いたように大きく目を開いた。
「……サワ?」
「……カイトくん」
 魁斗は驚いていたが、叶絵はそうでもないようだった。
 魁斗は知る由も無いが、叶絵は魁斗とレナが二人でいるのを目撃している。
 だが、このデパートにいるとは思ってもいなかったので、そこについては僅かに驚いているようだった。
 目を合わせて固まる二人。
 見詰め合うような状況になってしまい、二人は僅かに顔を赤くして目を背ける。
「……よう、サワ。偶然だな」
「……うん。ホント、偶然だね……」
 目を逸らしたまま、二人はそんな言葉を交わした。


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