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天界の王子-Heavens of Prince-
21
:
竜野 翔太
◆026KW/ll/c
:2013/01/25(金) 23:13:53 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
ハクアは刀状の『剣(つるぎ)』を持ちながら、五人の敵の攻撃を紙一重でかわしている。その光景に魁斗は思わず小さな歓声を上げた。今のこの状況だけでもハクアの実力が高いことが分かる。
ぎりぎりのところでかわしているにも関わらず、ハクアの表情には余裕が見えていた。今のこの状態も彼女にとってはただの遊びの範囲なのかもしれない。逆に焦り始めているのは襲い掛かってきた敵の方だと思える。その様子を見る限り、相手はそれほど実力が高くないのだろう。
五人の敵は再び少し距離を開けてハクアを囲むような陣形になる。
思ったより楽しめてないのか、ハクアは呆れたように溜息をついて、
「あのさぁー、もうちょっと真面目に出来ないワケ? 退屈なんですけどぉー?」
相手を挑発するような言葉だ。
その言葉に一人が動こうとするが、隣にいた男がその動きを牽制するように腕を前に出した。
動きを制され男は乗り出しそうな身体に制御をかける。
一人の動きを牽制した、恐らく五人のリーダーであろう男はハクアに告げる。
「中々の腕をお持ちのようだ」
声から推測するに三十代くらいの低い男性の声だ。低いながらも優しい印象を与え、話し方も丁寧なものだった。
男の言葉にハクアは『そりゃどーも』と軽く返事をする。
男はそれならば、というような口調で続ける。
「何故本気で戦わぬのですか? 我々は、あなたが本気を出すまでの相手ではないと?」
「……」
ハクアは黙る。
何て答えたらいいか分からないような表情だ。正直に言うべきか、謙遜するべきか。魁斗のハクアに対する第一印象としては感想などはずばっと言うような気がしたが、相手が傷つくようなことは逡巡するようだ。それも相手によるようだが。
彼女は敵には一応敬意を払う人物であるようだ。
中々答えないハクアに男は質問を変える。
「……一対一であれば、本気を出してくれますかな?」
「そっちの方が無理な話よ」
対してハクアは即答した。
一切の逡巡も躊躇いも迷いもなく。一言で言い放った。
「あなた達五人でこのざまでしょ? 四人減ったら尚更本気出せないわよ。そもそも、五人で本気出すかどうか迷っている相手に、そんな質問するかい、フツー?」
優しげな印象のあった紫色の瞳が冷徹なものへと変わり、男を睨みつける。
男は小さく息を吐いて、
「では仕方ないですな」
諦めるのか、とハクアが安堵した瞬間、
「使いたくなかった方法を講じるしかないようだ」
突如ハクアの頭上から一人の男が刀を持って襲い掛かる。五人と同じような服装の男だ。
ハクアが頭上に気を向けた瞬間、彼女を囲っていた五人が一気に襲い掛かる。
上を防げば五つの刀がハクアの身体を貫き、周りに気を配ればハクアの頭部に刀が深々と突き刺されるだろう。
どちらを防いでも彼女を待つのは死。男は最後まで正々堂々戦おうとしていた。が、ハクアの自身の力を過信したせいで、正々堂々は失われ、彼女の命が失われることになった。
魁斗が彼女の名前を叫ぶ中、二人だけが危機的状況を危機とも思っていなかった。そう、ハクアとレナだけが。
むしろこの『危機』を、『嬉々』として楽しんでいるのだ。
六人の刀が一斉にハクアを襲う。そんな中、ハクアは呟いた。
「だから言ったのよ。最初から正々堂々六人でやってれば、私の本気の片鱗を見れてたんだから」
ハクアの刀が風に包まれる。刀を台風の目として、一本の刀を真ん中とした渦巻きが刀全体に纏わる。渦を巻く風が消えると姿を現したのは刀ではなく、ハクアが魁斗と出会った時跨っていた薙刀状の武器。
先ほどの刀は何処にいったのだろうか。
「ハクアの『剣』は少し変わっているんですよ」
レナが口を開いた。
彼女は自分の家族を自慢するような口調で、
「ハクアの『剣』は刀から薙刀に変わる二段変形の『剣』。その名を―――」
ハクアが襲い掛かる六人を強力な風を巻き起こし吹き飛ばす。
彼女の『剣』は巨大な風を巻き起こす。だからこそ、彼女は一対一より、すかっと纏めて吹き飛ばせる多対一を望むのだ。
彼女は薙刀をくるくると回し、六人全員を倒したのを確認するとその薙刀をピアスに戻す。
彼女の『剣』の名前は―――『帝(みかど)』。
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