したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

天界の王子-Heavens of Prince-

19竜野 翔太 ◆026KW/ll/c:2013/01/13(日) 22:25:00 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

「レナ!?」
 魁斗の声に気付いたのか、こちらに向かってきているレナは少し嬉しそうに表情を綻ばせながらこちらへと駆け寄ってくる。
 自分を待ってくれていた、と思っているようで、魁斗と一緒にいる黒髪の女性には気付いていない。
 レナは嬉しそうにしながらも、その感情を抑え込むようにして質問を口にする。
「か、カイト様? こんなところで何を……? もしかして……」
 ちらっとレナが魁斗を見遣(みや)る。
 どうやら『お前を待ってたんだよ』と言ってほしいらしい。さっきの言葉の続きは恐らく、私を待っていたんですか、という感じの言葉だろう。
 変な期待をしてしまっているレナに、魁斗は溜息をついて素直に言葉を述べようとすると、
「えーとだな、実は……」
「実は通りすがりならぬ、飛びすがりの私に一目惚れして、今まさに告白する最中だったのよ!」
「はあ?」
 いきなり口を挟んできた女性。そこで、レナはようやく女性の存在に気がついたようだ。
 魁斗はレナに変な誤解をさせぬように、黒髪の女性を咎めた。
「何言ってんだよ、アンタは!? 大体、飛びすがりってなんだ!?」
「飛びすがりについては言う前に言ったじゃん。通りすがりならぬ飛びすがりって」
 女性の言葉を聞いてレナはわなわなしている。
 相手の嘘を信じ込んでしまっているのか、何をしていいか分からないままその場で震えながら立ち尽くしている。
 黒髪の女性はそんなレナを楽しそうに見つめてから、
「さあ天子くん。愛の言葉の続きを聞かせて……。私を……どうしてくれるの?」
 黒髪の女性は魁斗の首を後ろに手を回し、彼に顔を近づけながらそんなことを言い始める。ここまで積極的なスキンシップをされてはどこまでが本気かさっぱり分からない。
 無防備な魁斗に女性が顔を近づけていき、二人の唇が重なろうという瞬間、
 急に女性の横合いから刀の一閃が飛んでくる。咄嗟に女性は後ろに飛び退き、その攻撃をかわした。攻撃をしたのは他の誰でもない、レナだった。彼女は顔を赤くしながら息を切らしており、黒髪の女性を睨みつけている。
「あ、あなたは……一体何をしているんですかっ!?」
 レナが上擦った声で問いかける。女性は肩をすかして、
「分かった、流石に私も度が過ぎたわ。いいからアンタはとっとと『剣(つるぎ)』をしまいなさい。感情が高ぶるとすぐに『剣』を出すそのクセ、直した方がいいわよ」
 レナは言われたとおりに『剣(つるぎ)』を指輪に戻す。天界に戻って取りに帰ったものだろうか。
 しかし、この女性がレナの知り合いであることは確かだ。二人の会話には初対面さがなく、女性に関してはレナのクセも知っているようだったし。
 魁斗はレナの耳元で問いかけた、
「なあ、あの人誰なんだ? お前の知り合いみたいだけど……」
「……知り合い、ですか……。そうですね、本当は親友と呼べる唯一の存在なんですけど」
 へ、と魁斗が目を丸くする。
 黒髪の靡かせる女性を見ながらレナは、
「彼女はハクア。ハクア・グランデ。天界での私の親友で、『天嵐の姫君(てんらんのひめぎみ)』という異名がついているかなりの実力者です」
「ぶー、その名前好きじゃないんだけどなー」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板