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天界の王子-Heavens of Prince-

18竜野 翔太 ◆026KW/ll/c:2013/01/13(日) 15:49:09 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 現在切原魁斗は一人である。
 彼は今下校途中なのだが、本来ならばレナか叶絵がいるはずだ。だが、レナは転校して来たため先生に呼び出されており、叶絵は図書館で借りたい本があるらしく、今日は珍しく一人で帰っているところだ。
 一人でいても襲われる気配は無い。だからこそ、自分が狙われている実感がないのだ。
 魁斗は疲れたように嘆息して、
「なんつーか、あれだな。相変わらず今までと変わらない生活してるなー、俺」
 伸びをしながらそんなことを呟く魁斗。
 と、そんな彼へと頭上から声を掛けられた。
「ふーん。君が天子の少年かあ」
 楽しそうな口調な声だ。女性の声で、年は魁斗より年上に思える、レナと同年代くらいの女性の声のようだ。
 魁斗が上を見上げると、魔法使いが箒にまたがるのと同じように、薙刀の上に腰をかけた女性が空に浮かんでいた。
 綺麗な顔立ちの女性だ。太ももくらいまである綺麗な黒髪に、優しそうなイメージを与える紫色の瞳。背は魁斗より少し低そうだが、女性としては高い方だろう。
 女性は流れるような動作で地面に降り立つと、薙刀状の武器をピアスに戻した。どうやらさっきのは彼女の『剣(つるぎ)』らしい。
 黒髪の少女は魁斗の目の前までやってくると、うーんと呟きながら魁斗の顔をじっと見つめる。
 女性に顔を近づけられ、僅かに顔を赤らめる魁斗。女性はしばらくするとにっと笑みを浮かべて。
「君が天子の少年よね? ふーん、年下って聞いてたからどんなのかと思ってたけど……ちょっと可愛いじゃない」
 女性の言葉に動揺する魁斗。
 魁斗は数歩後ろに下がって、女性を睨みつける。
「誰だアンタ!? まさか『死を司る人形(デスパペット)』か……?」
 魁斗の言葉に女性は吹き出したように笑い出す。
「ぷっ、あははははははは! 違う違う! 私をあんな賊軍と一緒にしないでよ」
「じゃあ誰だよ……」
「なんと答えるべきかな。女神? 天使? はたまた妖精さん?」
「いや、名前でいいじゃん」
 なんとなく面倒になってきたのか、魁斗は冷めた態度で応対する。
 黒髪の女性は楽しそうに笑いながら、
「まあ私の正体なんてすぐに分かるよ。ほーら、丁度よく来たしね」
 言いながら女性は魁斗の後ろを指差した。
 彼女が差した先にいたのは、銀髪を風に靡かせながらこちらへ向かってきているレナだった。


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