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天界の王子-Heavens of Prince-

12竜野 翔太 ◆026KW/ll/c:2013/01/05(土) 21:54:23 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 魁斗は目の前に建っている建物に驚いて固まっていた。
 今日の放課後、魁斗はレナの家に行くことになっていた。特にたいした用事はなく、彼女がちゃんと住むところを確保しているかが不安だったのだ。
 そのため、厳密には『彼女の家に行く』ではなく『彼女の家を見に行く』はずだったのだが。
 魁斗はレナの住むところを見て絶句していた。
 二度目だが、彼はレナの住むところを見に来たのだ。
 またいつ『死を司る人形(デスパペット)』の連中が攻めてくるか分からない。彼女は守る気満々だから自分の家の近くなんだろうな、と魁斗は考えていた。
 魁斗はようやく口を開くことが出来た。
「……レナ、確認取っていいか?」
「? どうぞ」
 首を傾げるレナだが、魁斗の言葉に頷く。何故確認を取られるか分かっていないような言い方だ。
 魁斗は目の前の建物を見ながら、
「お前、自分の住むところに連れて来たんだよな?」
「はい」
「俺はさ、お前が俺を守る気満々だから、多少家が近くても、毎朝迎えに来るのを待ち受ける覚悟は出来ていた」
「はい」
「……その覚悟を、お前は見事に裏切ってくれたな……?」
「はい?」
 レナの返事に疑問系が混じる。魁斗はレナを横目で見やる。
 相変わらずレナは首を傾げてこちらを見つめている。普段が美人であるせいか、そういう仕草をされると結構可愛く見えてしまう。だが、今はそんなことを気にしている暇ではない。
 魁斗は目の前の建物を指差して、レナに叫ぶように問いかける。
「何でお前の住むところが、俺の家なんだよっ!?」
 そう。ここは切原魁斗の家であった。玄関にも、『切原』という表札がある。
 レナがここに住むのはどう考えても可笑しい。というか、自分で住むところを確保出来てすらいないじゃないか。
 レナは胸元に手を当てて、
「当然です。私はカイト様を守るためにやって参りました……その私が! カイト様のお側にいるのは至極当然のことです!」
「そうかもしれないけどな、せめて隣の家だろ。何で俺の家の一員になろうとしてんだよ。母さんに説明する俺の身にもなってくれよ」
 心配ありません、とレナは魁斗に告げる。
 彼女は親指を突き立てて、
「お母様から了解を得ています!」
「はぁっ!?」
 うちの母親はなんてことしてんだ、と魁斗は頭を抱える。あの優しくて天然な母のことだから『良かったぁ。今日から賑やかになるわねぇ、ふふ』みたいなことを言ったのだろう。
 とりあえずここで唸っていてもどうにもならない。
 とりあえず、魁斗は家に入ることにした。
 レナも彼に続き、ドアをくぐった。


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