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竜野 翔太
◆026KW/ll/c
:2012/12/08(土) 13:29:31 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
3
四時間目の授業も終え、学校はようやく昼休みに突入だ。大勢の学生が待ちわびた時間だろう。教室にいた生徒の半数程度が我先にと教室を飛び出し、食堂へと駆け出していく。そのため、教室は誰がどの席を使おうが構わない状態だ。
涼花と明日香は霊介の前と右側の机を霊介の机にくっつける。この三人のいつもどおりの昼休みの光景だ。
二人ともお弁当を持参している。涼花は父、母と三人暮らしなので弁当は母が作っている。一方の明日香は一人暮らしらしく、弁当はいつも早起きをして作っているようだ。
机の上に弁当箱を広げている二人が、未だ昼ごはんを用意していない霊介に視線を向ける。
「どーしたの、霊介? まさかお腹でも痛いとか?」
向かい側に座っている涼花が珍しそうな顔で聞いてきた。いつもなら霊介だけは自分の席に座っているため、いち早く弁当箱を広げているのだが、今日は広げていないので、珍しがられたのだろう。
明日香は嘆息し、頬杖をつきながら問いかける。
「腹痛じゃなさそうだな。お前まさか……」
そう、霊介は鞄の中を見て気がついたのだ。
弁当を忘れたことに。
それを悟った女子二人は呆れたように溜息をつく。教科書や宿題を忘れることはあっても、弁当を忘れるとは、といったような溜息だ。霊介は思い切り肩を落としてしまっている。朝の全力ダッシュが響いたのか、空腹は限界を達していた。
「亜澄ちゃんの愛情弁当を忘れるとは。兄失格だな」
明日香の言葉が霊介を貫く。
しかし、霊介は諦めてはいない。この学校には食堂がある。食堂に行けば何かしら買うことは出来るだろう。そう思い鞄の中から財布を―――。ポケットの中から財布を―――。
財布すら持ってきていなかった。
「万事休すだな」
机に顔を突っ伏した霊介を見て悟ったのか、明日香が冷淡に告げる。確か財布の中身は千円程度あったはずだ。
霊介は泣きそうな顔で明日香を見ると、
「なあ、刀坂。明日お金は返すから、今日だけ貸してくんね?」
泣き出しそうな友人を見かねたのか、嘆息しながら明日香はポケットの中から財布を―――。自分の席に行き、鞄の中から財布を―――。
引きつった表情を浮かべながら、明日香は席に戻ってくる。そして、
「すまん。今日私も忘れた」
ガーン、という効果音が頭からのしかかってきたような衝撃を霊介は感じた気がした。こうなったら頼みの綱は涼花しかいない。最近金欠気味だ、と言っていたが二百円くらいはあるだろう。そう思い霊介は涼花に、
「夏海。明日返すから今日お金貸し―――」
「今五十円しかないけど、それでもいいなら貸すよー」
じゃあ要らねぇよ、と霊介は叫んでしまう。まさか本当にお金が無いと思わなかった。五十円では食堂で何も買えない。
これじゃ本当にどうしようもない。涼花と明日香も『仕方ないから分けてやろう』的な表情をしている。その時、
「おーい、澤木ー」
クラスの男子がドアのところで霊介を呼ぶ。
霊介がそちらに視線を移すと、その男子は、
「妹さんが来てるぞ」
はい? と目を丸くする霊介。驚いたのは涼花と明日香もだ。
その男子が横に避けながら教室に入ってきたのは黒髪ツインテールの妹、澤木亜澄だ。
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