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竜野 翔太
◆026KW/ll/c
:2012/12/16(日) 19:50:36 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
3
「おっはよー、霊介……ってどうしたの!?」
「何か死地から命からがら生き延びた人みたいに疲れ切ってるな。何かあったのか」
翌日の朝、学校の校門の前で話している夏海涼花と刀坂明日香へと、澤木霊介は疲れきった表情と足取りで歩み寄る。
彼はあまり寝てないのか、目は薄っすらとしか開けられておらず、眩しい日差しに照らされ続けたせいか、余計に弱っているような感じがある。
明日香は心当たりがあるのか、昨日の放課後に彼を連れ回したのがそんなに悪いことだったのか、と自責の念に駆られている。
涼花は霊介を心配そうに見つめて、
「どうしたの、霊介? 昨日の夜あんま眠れなかったとか?」
「……あながち、間違いではないかな……」
涼花の言葉に霊介が返す。
彼の言葉に自責の念に駆られていた明日香が顔を上げる。二人からはその理由を聞かれはしなかった。あまり聞かれても困ることなので、霊介としてはそっちの方が助かるのだ。
澤木霊介は、昨日の夜を思い出す。
昨日の夜、人乃宮凪が『繰々師(くくりし)』だと判明し、その証拠も見せてもらった。そのこと自体は別に疲れてもいないし、寝不足の理由にもなっていない。都市伝説の少女に会った、ということは明日香には黙っておく。しつこく問い質される気がしてならないからだ。
問題は夕飯の後だ。
「えー!! 凪ちゃん、おにーちゃんの部屋で寝るの!?」
風呂から上がり、いつもはツインテールにしている髪を下ろした亜澄が驚愕の声で叫ぶ。髪を下ろすと雰囲気が変わるが、見慣れている霊介はそんなに違和感はない。髪を下ろした彼女は、清純そうな大人しい女の子に見えなくもないが、先ほどの大声で雰囲気も台無しだ。
凪は霊介の服の裾をしっかりと持っており、この意見は変えないという決意を目に宿している。
しかし、自分と同い年くらいの女の子を、兄の部屋で一緒に寝かせるのはどうも安心できないらしく、
「だ、だだだ……ダメだよ!」
「何で?」
「何でって……」
亜澄は黙り込んでしまう。
単に危機感を覚えたから、という理由では納得してはくれないだろうと思ったらしい。
しかし、亜澄は必死に言い訳を探し、
「そ、そりゃ、年頃の男子と女子が一緒の部屋で夜を越すっていうのは、どうかと思うよ? それにおにーちゃんはケダモノだし、凪ちゃんに何かあったらどうするの!?」
ケダモノ、という言葉に引っかかりを覚える霊介だったが、ここは口を閉ざしておく。
彼としても、凪と一緒の部屋にいるのは少し気まずい。いっそのこと、亜澄の説得で凪を納得させるkとおにしたのだ。それで自分がどんなことを言われてもだ。彼女の言葉を否定したら、凪は『一緒でも大丈夫』と思ってしまうだろう。
「大丈夫だよ?」
凪は亜澄の言葉を否定するように、小首を傾げた。
え、と目を丸くする亜澄に凪が言う。
「霊介はそんなにやらしい人間じゃないよ。ベッドの下にそういう本があるっていう定番を覆していたし。だからきっと大丈夫だよ。一緒でも」
「……な……あぅ……」
亜澄はもう言い返せなくなってしまった。
実のところ、亜澄は霊介が嫌いではない、むしろ好きだ。だからこそ、彼を必要以上に貶せない。貶したくない。
これはもうダメか、と霊介が嘆息する。納得してくれたのかな、と思い笑みを浮かべる凪。
亜澄は震えながら俯いて、
「……分かった……」
ただし、と彼女は言葉を続けた。
次の言葉は、霊介を戦慄させるものだった。
「わ、私も……今日はおにーちゃんの部屋で寝るっ!!」
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