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竜野 翔太
◆026KW/ll/c
:2012/12/15(土) 21:41:22 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
8
霊介達が向かったのは大きなスーパーマーケット。
澤木家がよく利用するスーパーだ。食材や日用品が幅広く揃えられている。主に利用するのは妹の亜澄である。彼女は澤木家の家事をしているので、夕飯の買い出しは勿論、翌日の朝・昼の弁当用の食材、はたまた歯磨き粉や洗剤、シャンプーまでも買い揃えている。霊介がいたって健康なのは亜澄がバランスのいい献立を考えているからだ。
彼女は勢いよく買い物カートにかごを載せて、お目当ての場所目指して突っ走っていく。
彼女の後姿を見ながら、霊介と凪は固まっていた。
ぶっちゃけると、亜澄のあのテンションは相当面倒だ。兄の霊介でさえも対処できない。落ち着かせることが出来ない。
彼女のテンションについていけていない凪は、大きなウサギのぬいぐるみを抱えながら戸惑っている。
霊介はあからさまに肩をすくめて、嘆息する。
「悪いな。アイツ、客が来るとああなんだ。悪いわけじゃないんだけど、有無を言わさずああなるからな」
疲れきったような口調で、霊介は言う。
凪はそんな霊介の横顔を眺めくすっと笑う。霊介が彼女へと視線を向けると、彼女は優しい笑みを浮かべたまま、
「でも、楽しそう」
そうか、と凪の言葉に霊介はきょとんとする。
霊介は精肉コーナーで二つの肉を見比べている亜澄を眺める。
どうやらメニューは鍋らしい。彼女は真剣な目つきで二つを交互に見ている。『こっちのが安い。でも、このお肉の方がおいしいし』などと言っているような気がする。
同じように亜澄を見ていた凪が、霊介の腕を引っ張って亜澄の所へと向かう。
「本当に妹が大好きな目をしてる。大切なものを労わるような目。あなたは、妹が好き?」
霊介の方を見ながら彼女が問いかける。
霊介は考える時間三秒。答えをすぐに出した。
「ああ」
好きだよ、と。
だが、言葉は外に出なかった。しっかりと言葉では聞けなかった凪だが、にっこりと微笑むと、
「だよね」
そこで凪は思い出したように足を止め、霊介の方を見る。
霊介が首を傾げていると、彼女は小さな口を動かして質問を紡ぐ。
「名前は?」
「―――は?」
名前だよ、と口を尖らせながら凪が二度目の問いかけをしてきた。
いきなりで理解できなかっただけで、ようやく質問の意図を理解した霊介は彼女を見据えながら言う。
「霊介だよ。澤木霊介。アイツは妹の亜澄。普通に良い奴だよ」
「そう」
凪は楽しそうに笑いながら、
「よろしくね、霊介」
霊介は彼女の笑みにドキッとしてしまう。
笑顔を見ることには慣れていたはずだ。
だが、目の前に現れた彼女の笑みだけは別物に感じられた。
まるで、天使のような微笑だった。
その後、白菜を持っていった霊介は亜澄と口論になっていた。
一玉にするか二玉にするか。どうでもいい議論だった。
結局、凪の提案により二人の間を取った一玉半で議論は終結した。
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