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天使も悪魔もカンケーないっ☆

5ピーチ:2012/09/17(月) 15:02:00 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第二話・天羽 未央』

 とある空間でふわりと浮かび上がった人影が、一瞬だけ映し出された。
 「―――よ……っと」
 鈴のような声を響かせ、しかし何の苦もなく着地する。
 「お帰りなさいませ。ミューラ様」
 ミューラ、と呼ばれたその人影は、声の主の方を向いてから答えた。
 「ただいま、エル。でも……今の私は、ミューラではありませんよ?」
 口元に人差し指を当て、くすりと笑う彼女に、エル、と呼ばれた人影が慌てて訂正する。
 「も、申し訳ございません! み、未央様!」
 「ううん、気にしないで。でも、次からは気をつけてくださいね?」
 「は、はいっ!」
 ―――未央。
 その名前、どこかで聞いた憶えはないか。
 「それはそうと、みゅ……未央様。聖天使様がお待ちになっております」
 「えぇ。すぐに行きますと伝えて置いてくれます?」
 「直ちに」
 そう言ってから、エルが彼女の元を去っていく。
 それと同時に。
 「―――はぁ」
 盛大なため息が、漏れた。
 「お嬢様、どうなさいました?」
 「もしや、ご気分が優れないとか?」
 「あら、それは大変!」
 …………しまった。
 後悔した後で、未央が慌てて答える。
 「そ、そんなことないの!気にしないで、みんな!」
 未央の言葉を聞いて、彼女のすぐ傍に在った人影が、一斉に散り始める。
 ミューラ。
 それが、それこそが天羽 未央の本当の名であり、本当の姿である。
 しかし、その実態は人間ではない。
 「じゃあ、行ってきますか……」
 そう呟いたと同時。
 未央―――ミューラの背から、真っ白で大きな羽根が生え出した。
 そして、その羽根を羽ばたかせながら、上へ上へと昇っていく。
 着いた、場所は。
 「―――ただいま戻りました。お父様」


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