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天使も悪魔もカンケーないっ☆

18ピーチ:2012/09/29(土) 01:25:20 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第十四話・発見』

 全く。
 そう思ったのが、つい先程。
 このエンジェル―――ミューラを完全に封じ込んだ時に、そう思った。
「普通なら、他人より自分優先するだろ……」
 そう。
 リバードは、彼女の性格に対して苛立っていたのだ。
「申し訳ありません、リバード様」
「……? 何だ?」
 さて今から早速この娘を取り込もうかと思った直後にこれだ。
 どうやら、自分はこういった運に恵まれていないと考えた方が良さそうだと、半ば本気で考えるリバードである。
「冥界の連中が、報酬を持って来たと言っていますが……」
「報酬?」
「えぇ。彼(か)の地で数少ない、秘宝とも取れる真珠だそうです」
 それを聞き、リバードがしばし考えてから。
「とりあえず、それだけ受け取っておけ」
「承知致しました」
 外に向かって行ったと思われる足音が完全に聞こえなくなるまで、彼はミューラに手を出さない。
「まさか、手始めに聖天使の娘が来るとはな……」
 この娘さえ取り込めば、後は居ても居なくても変わらない。
「…いや、待てよ………少なくとも、後三人は居るか…」
 残忍に歪められた表情が闇に浮かび上がり、これ以上ない程不気味に映し出された。
「まぁとにかく……」
 そう呟いたと同時に、ミューラの身体がふわりと浮き上がる。
 そして、それを満足そうに眺めながら、己の許へと引き寄せ。
「せいぜい、天使族に生まれたことを、後悔するんだな…」
 そう言って、彼女の身の内に眠る能力(ちから)だけを抜き出そうとした刹那。
「え?」
 突然、今まで彼の思うままに動いていたミューラの身体が、くるりと回転する。
「な……っ!?」
「勝手なことやってるんじゃないわよ!!」
 怒りもろともそう叫んだ少女は、後ろに居た男にミューラを預ける。
「ミューラをお願いします。私は、あの男を潰してきますから」
「え? あ、はい……」
「……あれぇ?ひょっとして、悪魔族のリュルちゃんかな?」
 軽い口調で問うリバードに対し、リュルは厳かな口調で。
「だったら、何?」
 そう、問い返す。
「へぇ……天使(エンジェル)と悪魔(デビル)を一気に取り込めるなんてね…これはさすがに、あの聖天使に感謝しないとなぁ…」
「悪いけど、私はあんたの餌になるために来たわけじゃないわ」
 強い口調で言い放ち、そして次にこう言った。
「私の親友を取り戻しに来たの」


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