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天使も悪魔もカンケーないっ☆
11
:
ピーチ
:2012/09/23(日) 08:04:57 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第八話・冥界の住人(すみびと)』
「え……?」
「村、に?」
不思議そうに問う二人を交互に見ながら、彼女は頷く。
「えぇ。あなた方の仰る通り、今の冥界が少々荒れています。だから、あなた方のような違う世界に住まう方達が関わることで、少しは前のように戻ってくれると思ったんです」
それを聞いた二人は得心がいったようにあぁと呟くと、柔らかく微笑みながら。
「分かりました。………少しでも、戻るように心がけます」
「ただ……私達では力不足、と言う場合もありますが」
リュルの言葉を聞きながら、それでもライルは頷いた。
「はい。元々は、私がやるべき仕事ですから。あなた方を攻める理由などありません」
そう言って、ミューラとリュルがその場を離れた。
―――冥界。
それは、天使のように純白の翼を持つものでなく。
悪魔のように、漆黒の翼を持つものでもない。
強いて言うなら、青灰(せいかい)。
青と灰が混じったような色合いの翼を持ち、当然のように瞳の色も同じ。
悪魔族も、翼と瞳の色は同じだが。
「何か……こうやって考えると私達だけなのよね…」
ミューラの呟きに、リュルははぁ?と言いながら。
「何が?」
「羽根と瞳の色が違う種族。天使族だけでしょう?」
ミューラの言葉を聞いて、リュルは一つ頭(かぶり)を振り、そして。
「でも、私はその色好きよ?」
「え?」
「対照的な色じゃない? どっちも同じって言うよりは、私はそっちの方が新鮮だと思うな」
「……抉り出さないでよ?」
リュルの言葉の意味に納得し、そして冗談半分で言う。
「やだ、今すぐ盗りたいかも」
リュルも、ミューラが冗談だと分かっている上でそう答え。
「……でも」
羽根の色と瞳の色が違う種族は、人界を除いてももう一つある。
それが、未界に住まう生き物達。
彼らは、羽根と瞳どころか一人一のそれまでが違う。
「それに比べたら、天界はマシな方じゃない?」
「あ、そっか。だよね」
リュルの言葉を聞いていたいくつかの人影が、さっと闇に隠された。
そして、今言ったリュルの言葉でこの後とんでもない事件に巻き込まれることを、二人は知らない。
―――見つけた、見つけたぞ……!!
―――しかし、あの娘は邪魔になる…。
―――何としてでも、あの娘だけを…。
―――いや、それが上手くいかないようなら、二人とも……。
―――あぁ、その手があったか。
小さく反響した不気味な笑みが、やがては段々と小さくなっていった。
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