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ムーン☾クロニカルズ
60
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彗斗
:2013/07/14(日) 03:46:25 HOST:opt-115-30-141-24.client.pikara.ne.jp
第十四乃欠片 人喰い棘薔薇の怪 〜そして聖職者は怪物を弄ぶ〜
逃げられない結末は、案外何処にでも潜んでいる物だ。実際にこの蒼髪の青年、ある事を見落としていた。
―――意思を有する植物は、彼の能力だけでは飽きていたのだ。
「デッドラインがどちらに傾くか……。さぁ……全てが崩壊するか、留まるか……決めようじゃないか。」
誰とも知れず呟かれた言の葉を合図にある事態へと事が運ばれていく……。それは彼にとって至って簡単な結末――崩壊と言う名の結末を齎す(もたらす)事だけだ。
「アイリーン、エイリーク。彼女を抹殺だ。行け。」
椅子に座った絶対的な威圧を放つ少年は、聞き覚えのある人間二人の名を呼んだ。人形としか思えない動きをする人間を他所に、彼は激しく湧き上がる感情を窓の外にぶつけていた。
――憤怒、憎悪、怨恨、後悔……
様々な感情が、竜巻の如く錯綜する胸中を想像した。その後少年は、ニヤリと胸元を押さえつけ窓枠に近づき、自信を映し出す窓を拳で打ち砕いた。その一撃で、自分の数十倍の大きさもあるステンドグラスが崩れたのだ。
(可笑しいものだね……大切な物なんか全部紙屑の様に捨ててきた筈なのに……)
「フフッ……アッハハハハハハハ!!!」
少年は、暗雲が月の光を隠す闇の中で、左目を左手で押さえ、気が違ったかのように大笑いした。そして一頻り笑った後、押さえていた左目のみから涙が溢れてきた……。
(神がこの世界にいるなら……あの修道女か……?)
少年は涙の出ない右目を左手で触り、泣いていない事を確認した。そしてその時、ある事を突発的に思い出す。
『貴方達を私は待っていました……。心の中でのみ、渦巻く憎悪の旋風。それを……具現化させ、私と共に歩み出しませんか? ある意味での話ですが、貴方はこの申し出を受ける権利があります。」
(そうだ……すべては彼女の……為に!!)
何かを強く決意した時、忌々しげに天に昇っている月を撃ち落さん眼力で睨み付ける少年の顔が見えた。燻っているかのように濁った紺碧の髪、そして月を睨み付ける目は、何もかもを飲み込み、無に帰すほどの危険な黒い色をしていた。
(世迷言など、今更吐いて入れる訳が無い! 決めたからには最後までやり通す!)
彼――リウシス=ネオスは憎しみ一つを心に携え、険しすぎる面持ちで、最後に一言だけ呟いた。
「さぁ、そろそろ舞台の幕開けだ……!!」
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