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Love the square

53ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/08/22(水) 20:19:28 HOST:EM117-55-68-172.emobile.ad.jp


「じゃあ奈々、また明日」
「うん、またねー!」


 奈々と別れを告げた直後、携帯がバイブ音を鳴らして光った。
 翔の携帯から電話だ。


「もしもし、翔? お前何で今日一緒に帰れな――」
『健人くん』


 一緒に帰れなかったことについて少し聞いてみようかと思ったのだが、電話越しに聞こえてきた声は明らかに翔の声じゃなかった。
 女の人の――莉乃の、声。


「……どうして莉乃が?」
『少し話したいことがあって……路地裏まで来てくれる?』
「ん、わかった。そこに翔いる?」
『うん、でも翔はもう帰るから』
「そっか、じゃあ路地裏で」


 電話を切ると、俺は走って路地裏へ戻った。
 奈々が知ったら怒るだろうけど、莉乃の誘いを断るわけにもいかない。


 なんか優柔不断だな、俺。


     ×


「……莉乃」


 路地裏で待つこと数分、走ってきたのか息を切らした様子の莉乃が路地裏へついた。
 俺はとっさに名前を呼んだが、莉乃は何も言わずにそっと俺に近づいて――


「っ?」


 莉乃の唇を、俺のそれに重ねてきた。
 突然のことで身動きがとれなかったけれど、莉乃の瞳には涙がたまっていたような気がする。


「わたし……翔にちゃんと振られてきた」


 そっか、と俺は小さく相槌を打った。


「翔ね、わたしのこと振っても優しくしてくれて――さっきまでずっと話してて、八時に間に合わなくて……ごめんね」
「や、大丈夫」
「一人で待ってたの……?」


 莉乃が申し訳なさそうに俺を上目遣いで見つめてきた。
 その真っ直ぐな瞳に一人でいたなんて軽々しく嘘を吐くことなんてできなくて、正直に今までのことを言う。


「……奈々が莉乃に会いたいって言って、二人で待ってたよ」
「奈々ちゃんって……翔の好きな人、だよね?」
「ん、そうだよ」


 奈々は翔の好きな人だから、俺がとっちゃいけない。
 俺は莉乃が好きで、今もちゃんと好きで――こんなゆらゆらした気持ちでいちゃいけないんだ。
 そう自分に言い聞かせて、俺は莉乃を見つめた。


「……翔と仲直りできてよかったね」
「振られちゃったけど、前より全然仲良くなった気がして嬉しい。でもね……」


 莉乃が話をつづけた。


「なんか、健人くんが他の女の子と一緒にいるともやもやした気持ちになるの」


 それってまさか。
 いやまさかね、少し気がこっちに向いてるとか思わず期待しちゃったけどそんなわけないよな。

 ……それに俺自身、奈々が他の男と一緒にいるともやってすることもあるしな。


「そっか」
「……あの、健人くんって……」


 恥ずかしそうな雰囲気を見せながら、莉乃が言った。



「わたしのこと、好きなの?」


     ‐


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