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Love the square

174ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/10/11(木) 12:54:25 HOST:EM117-55-68-179.emobile.ad.jp



 あのあと健人に家まで送ってもらって、わたしはちゃんと決心した。
 渓人に告白の返事をしてちゃんと向き合おうって。
 里咲にも渓人とあったことを全部話そうって。


 とりあえず渓人かな。
 そう思って、わたしは渓人に電話してみた。


『もしもし……莉乃?』
「うん、さっきはごめんね」
『や、いいんだけどさ……あれだな、俺莉乃の彼氏に相当嫌われてんな』
「……健人は、簡単に人を嫌うような人じゃないよ」


 小さな声でもごもごといった。
 弱気ではあったけど、渓人をこれ以上傷つけたくないと考えるとどうしても強気になれない。


「それでね、告白の返事なんだけど」
『……わかりきってるけどな』
「わたし、渓人のことは好きだよ。友達として」


 あくまで友達として。
 でも友達にだって、恋人にはない良さがあるんだからそれもまた特別だよね。


「渓人は大事な友達だよ」
『そっか、ありがとな』
「あとね……もうひとつお願いがあるんだけど」
『んー?』


 渓人と健人が重なった。
 なんだかんだいって、二人ってとっても似てるんじゃないだろうか。


「里咲と向き合ってあげて」
『……莉乃はさー、本当友達思いだよな』
「ちがっ、そうしなきゃわたしの気がすまないっていうか……二人が向き合うことでわたしが満足するから、ただの自己満足っていうか」
『まあいいよ、空たちから聞いたんだろ? 俺の過去』
「うん……ごめんね」
『や、莉乃にはいずれ話そうと思ってたし』


 こんなにわたしを大切に思ってくれる人がいて、幸せだなあ。


『今から里咲と会ってちゃんと話そうと思う』
「付き合う、の?」
『や、俺こう見えて結構一途だからさ。莉乃が振り向くの待つか、とにかく今は里咲とは付き合わないよ』
「そっか」


 それが、よく考えてだした渓人の結論ならわたしは間違っていないと思う。
 電話越しの彼に、精一杯の笑顔で言った。


「がんばってきてね!」
『おう!』



 電話が切れた瞬間――
 無性に、健人に会いたくなった。
 ついさっきまで一緒にいたのに、変なの。

 そう思って、わたしは家を出て路地裏に向かった。



     ×


 薄暗くてよく見えないけど、路地裏にふたりくらい人がいるのがわかった。
 なんかこわいなあとか思いながらおそるおそる近づく。


「あの」


 思わず声をかけると、ふたりのうちの一人が大きな声で言った。


「あ、莉乃さんやっときた!」


 ん?
 なんかすごい聞きなれた声だな。


「え、奈々ちゃん? 翔も!」


 視界がはっきりしてきてよく見てみると、猫とじゃれあう奈々ちゃんと翔がいた。
 ふたりはむすっと拗ねた様子を見せて言う。


「健人先帰っちゃうから、事情聴取しようと思って莉乃さんのこと待ってたんだよー」
「この猫おっきくなったなー」


 事情聴取ってなんだよう。
 まあいいや、と思いさっきまでのことを全部話した。



「――やっぱ健人って王子様みたいだよね」
「幼馴染の奈々ちゃんまで王子様って思えるなんて相当だよね」


 わたしたちの発言に翔はあまり楽しくなさそうにつぶやいた。


「俺だって中学のころはモテモテで王子様だったもん」
「ああ、翔のモテっぷりはすごかったけど今は完全健人にとられたよね」
「だよなあ! でも健人は憎めないやつなんだよ」


 翔と奈々ちゃんのやりとりに思わずくすっと笑ってしまった。



「翔も健人もかっこいいと思うけどなー」



 奈々ちゃんがつぶやくようにそういうと、翔はぽっと頬を赤らめた。



「え、あ、まじ? え?」


 あせる翔。
 おもしろいなって思う。



「翔、奈々ちゃんにかっこいいって言われて照れてるんでしょ」



 わたしがそういうと、なぜか奈々ちゃんまで頬を赤くさせてしまった。


「お、俺は奈々も莉乃も可愛いと思うぜ!」



 翔必死だなあ。
 きっとこのふたりはいつか付き合うんだろうな。




「待ち遠しいかも」



 ぽつりとつぶやいた言葉は、ふたりには聞こえていなかったようだ。


     -


 青春ですなあ。←


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