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Love the square

17ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/08/18(土) 19:46:47 HOST:EM117-55-68-147.emobile.ad.jp


「ねえ健人くん」
「ん?」
「わたしたち、なんでキスしたんだろうね」
「ああ……」


 両思いはまだ遠いってわけなのだろうか。
 莉乃自体、ときめいてはくれたっぽいけれど好きという感情ではないらしい。
 まあ、俺は元々長期戦でいくつもりだったからいいんだけどさ。


「にゃあ」


 突然きこえた、可愛らしい猫の声。
 そういえば、と思って俺が振り向くと、莉乃は急にあわてながらミルクを取り出した。


「わ、わすれてたっ」
「莉乃ってなんだかんだいってドジだよな」
「もうっ、健人くんだってわすれてたじゃんっ」
「そりゃそうだけどさ」


 なんだか、今日でかなり莉乃に近づけたような気がする。
 メアドも勢いできけたら……と思ったが、今日の俺にはこれで精一杯のようだ。


「なあ莉乃ー」
「なあに?」
「明日もさ、ここ来るよな?」
「うん、来ない日はないよきっと」


 ふふっと笑う莉乃。
 俺はちょっと気になったことをきいてみた。


「莉乃ってさ、彼氏とかいるの?」
「いないよ、できたこともないし」
「え、でもモテるでしょ」
「告白されたことはある、けど……モテないよ」
「うそだ」


 莉乃が表情を曇らせて、ちいさな声で「他の人にモテてもうれしくないもん」とつぶやいたのがわかった。


「好きな人いるの?」
「うん……でも、その人はわたしのこと好きじゃなくて、可愛い彼女もいて」


 やっぱり俺の片思いか。
 覚悟してたけど、辛いなあ。


「健人くんは?」
「いるよ、好きな人」
「どんな人っ?」


 莉乃が興味を持ったのが、意外と食いついてきた。
 俺の目の前にいる人なんですけど、と思いながら莉乃のことをベタ褒めしてみる。


「優しくて、透きとおった目をしてて、近づくとふわっと甘い香りがしてモテモテで、でも好きな人がいる子」
「……なんか、すごい完璧な人だね」
「ああ、そうかもな」


 莉乃が自分のことを完璧だと褒め出したから面白くて、俺はプッと笑いながら頷いた。
 不思議そうに莉乃が首を傾げたが、知らないふりをする。


「……お互い恋が実るといいね」


 莉乃のつぶやきに、俺はそんなの無理だと思った。
 もし、俺の恋が実ってしまったら莉乃は俺のことを好きになってくれたのだろうけど、今思っている人との恋は実らなかったことになる。
 莉乃の恋が実ったとしたら、俺の恋は実らずに終わってしまうんだ。


「――ああ、そうだな」


 俺は少し間をあけてから、フッとちいさく笑って頷いた。


 恋が実りますように、か――そんなの無謀なお願いだな。
 莉乃には幸せになってほしい。
 けど俺は莉乃の好きなやつ以上に莉乃を幸せにできる自信がない。
 泣かせてしまうかもしれない。
 

 ――俺には、莉乃を幸せにしてやるなんて言える勇気がない。


     ‐


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