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Love the square

164ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/10/08(月) 17:26:41 HOST:EM117-55-68-11.emobile.ad.jp



「ん、まあそれだけ」
「そっか……じゃあ、また明日」


 これ以上渓人といるともっと混乱してしまうと思い、わたしは早々とコンビニを立ち去った。

 わたしは、里咲に悲しんでほしくない。
 でも嘘を言って里咲を喜ばせたいとも思わない。
 めぐに相談するのもひとつの手かもしれないけど、里咲より先にめぐに話すっていうのも気が引けた。


「どうしよ……」


 そうつぶやいた瞬間、一瞬だけ視界が暗くなった。
 だれかにぶつかってしまったようだ。


「す、すみません!」
「莉乃?」


 ぺこりと頭をさげて謝ると、聞きなれた声が聞こえてきた。


「空!」
「俺だけじゃなく敦志もいるけどな」
「ご、ごめん敦志。気づかなかった」


 ところでどうしてこんな学校の近くに出現するのだろうかと不思議に思っていると、空は笑いながら答えた。


「渓人が莉乃と会うっていうから、何か仕出かさないか気になって」
「仕出かすって……純粋な友達同士の関係だしまさかそんなことあるわけないよ」


 わたしの言葉に、敦志が楽しそうに反応した。


「え、もしかして莉乃気づいてないの?」
「気づくってなにに? ていうか顔近いよっ」


 疑問だらけだ。
 ていうかわたしをこれ以上混乱させないでほしかった。

 でももう手遅れで、立ちながら話すのもあれだし公園に行こうかという空の提案で半ば強制的に話を聞くことになった。


「――で、本当に莉乃は何もわかんないわけ?」


 敦志が追い込むようにそう聞くと、わたしはおおきくぶんぶんと首を縦に振った。


「敦志が何の話をしようとしてるのかもわかんないよ」
「……前から思ってたけど、莉乃ってめぐに負けないくらい鈍感だよなー」
「そんなことないもん」
「いや、めぐも顔負けだな!」


 いやいや違うし。
 そして何で今めぐが出てくるのだろう。


「敦志ってめぐのこと好きなの?」
「な、なぜそれを!」
「ま、まさか本当だったりするの?」


 黙り込む敦志。
 拗ねた犬みたいでちょっと可愛い。


「でもめぐ彼氏いるよ?」
「は? マジで?」


 落ち込ませてしまっただろうか。
 敦志は驚いてから顔が見えないくらいに俯いてしまった。

 代わりに空がわたしと話をする。


「莉乃、お前本当に気づいてないんだよな?」
「う、うん……」


 もしかして、だけど。


「渓人の好きな人の話、とか?」
「なんだ、わかんじゃん」
「それってだれ?」


 空は言いづらそうに戸惑ったあと、わたしに訊いた。


「知りたいのか?」
「……知りたいわけではないけど、知ってたほうがいいことなら」


 曖昧なわたしの返事に空は悩んだあと、真剣な目で言った。


「俺が教えたこと、渓人には秘密な」


 ふっと笑ったあと、耳元でこそっと囁いた。
 “莉乃”って。


「……わ、たし?」
「ああ」


 それ以外、空は何も言わなかった。
 そんな空にわたしは訊く。


「里咲の気持ちって、知ってるよね?」
「ああ、渓人から話は聞いてるよ」
「渓人は里咲のこと、好きじゃないの?」


 わたしは渓人と里咲がお似合いだと思ってたのに。
 わたしに健人がいるのも渓人は知ってるはずなのに。


「里咲、中学のころ渓人に告白されたんだよ
「そうなの?」
「ああ。でもそのとき里咲は渓人のこと好きじゃなくて振ったんだ」


 そんなことがあったってことでさえ知らなかった。
 なんでわたし、ちゃんと話聞いてあげれなかったんだろう。


「渓人は今ふつうに里咲と話してるけど、本当は辛かったんだ。そして今更好きだと思われたことを――」




「――――恨んでる」



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