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Love the square

161ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/10/08(月) 14:05:55 HOST:EM117-55-68-59.emobile.ad.jp



 夏が過ぎ、屋上の風も冷たくなってきた。
 制服は夏服から冬服への移行期間にうつり、すっかり夏の様子が見れなくなったころ。


「なあ莉乃、今度めぐと里咲も誘って六人で遊ばない?」


 普段からそれなりに話しかけてくれる三人の男子が遊ばないかと誘ってくれた。
 今まで健人や翔以外の男子と遊ぶということがあまりなかったから戸惑いはしたけど、彼氏からみてこういうのはどうなんだろう。
 わたしが悩んでいると、里咲がちょうどいいタイミングでやってきてくれた。


「なになにー?」
「今度莉乃とめぐと里咲と俺らの六人で遊ばねー?って話してたとこ」
「全然いいよー! でも莉乃は彼氏いるんだからそこらへん考えてよね」


 雰囲気を崩さないようにふざけた様子でそういうめぐに優しさを感じた。


 健人はなにも思わないかな。
 わたしの考えすぎかもしれないし、少しくらいいいよね。


 わたしは何があっても健人が大好きだもん。


 こうしてめぐと里咲と渓人(けいと)、敦志(あつし)、空(そら)との遊び計画が立てられていったのであった。


     ×


「莉乃、メアド教えて」


 渓人が茶色に染めた髪をふわふわさせて携帯を片手に傍に寄ってきた。
 愛想が良くて人懐っこい渓人は里咲と良いコンビで、二人でよく仲良さそうにしゃべっている。
 本人たちはただの友達だって言ってるんだけど、それでもなんだか渓人と二人でしゃべるのには気が引けた。


「うん、赤外線でいい、よね?」


 緊張っていうか、戸惑いのあまりとぎれとぎれになってしまった言葉。
 渓人はいつもの調子で笑いながら頷いた。


 そういえば渓人って、雰囲気が翔と似てるかも。
 健人は三人の中だったら空に似てるかな、黒髪なところとか。
 敦志は一番チャラチャラしてて赤い髪の毛で、苦手なタイプかと思ったらそれなりに気さくでいい人だ。


「空と敦志にも教えといていい?」
「うん、いいよー」
「んじゃ、帰り気をつけてな!」


 そう手を振りながら帰っていく渓人にあたしも軽く手を振った。
 そしてそこに様子をうかがっていたのかめぐと里咲がわざとらしくたまたま通りかかった感を出して近寄ってきた。


「二人してなんなのその演技」


 冷たいつっこみをいれてあげると、里咲とめぐはぎくっとしたようにつぶやいた。


「だって、メアド交換してたから」
「渓人も楽しそうだったし、莉乃のこと好きなのかなあって」


 何をいっているんだこの二人は。


「め、メアドくらい友達同士でもあるし大体渓人には里咲がいるじゃんかっ」
「あたしだってまだ渓人とメアド交換してないもん!」


 わたしが勢いまかせにそう言った瞬間、里咲がうつむきながら怒鳴るような調子で言った。
 よくよく見たら、俯く里咲の頬は赤くなっている。


「あたしだって……渓人のメアド知りたかった」
「里咲はやっぱり渓人のことが好きなの……?」


 おそるおそるそう聞くと、里咲ははずかしさまぎれに頷いた。
 これはめぐも初耳だったみたいで、驚いた表情を浮かべている。


「じゃあメアド――」
「だからって莉乃から渓人のメアドを聞き出すようなずるい手はつかわないよ」


 里咲は頬を赤らめたままふふっと微笑んだ。


「あたしだって自分から聞いてやる!」


 恋に輝く里咲の姿はとても可愛くて純粋だった。
 めぐも楽しそうに微笑む。


「あたし、応援するよー!」
「わたしも、なにかできることあったらいつでも言ってね!」


 里咲はもう一度、嬉しそうに微笑んでわたしたちにぎゅっと抱きついた。


「ありがとふたりともー!」


 恋っていいな。
 あらためて、そう思った。


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