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Love the square

154ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/09/19(水) 09:24:20 HOST:EM117-55-68-43.emobile.ad.jp


 ふわふわと揺らぐ気持ちに戸惑いの色を見せていた健人の表情を思い浮かべ、わたしは寂しげに笑った。
 またあんな表情されたらどうしようって、ずきりと胸が痛んだ。


「……信じなきゃ」


 健人のこと。
 わたしが信じなきゃ、裏切られちゃう。

 精一杯愛して、精一杯気持ちを伝えて、



 精一杯、幸せにする。



 幸せにするなんて、ふつう男の人が言うものなのかもしれないけど。
 わたしは、自分も健人も、周りの人も。


 これ以上ないくらいに、幸せになってほしい。



 そう、心でつぶやいてベットの上で目を閉じた。


     ×


「おはよ」


 奈々ちゃんと翔には悪いけど、今日の朝だけふたりで登校することにした。
 これからどうするか、ちゃんと話し合うために。


「眠そうだね、健人」
「ん、朝弱いから」
「なんか可愛い」
「莉乃には負けるけどね」


 朝からバカップルだなあなんて思う。
 そしてわたしは、バカップルな雰囲気を壊さないようにできるだけ控えめにつぶやいた。


「やっぱり、朝はバラバラでいこう?」


 今まで通りバラバラでいくか、ふたりで行くか。
 昨日ふたりで少し話したのだけど、結論にたどりつくまで時間がかかりそうだったから後回しにしたんだ。


「奈々ちゃんも翔も、何があってもやっぱり三人の時間は大切にしたいって思うんじゃないかな」
「……そうかな」
「わたし前、奈々ちゃんと翔に聞いたんだ」


 健人が寂しそうな顔をしたのに気づき、微笑んで言った。


「どうして毎朝三人でしか行かないの?って。そしたらね、朝は三人で行くって決めてるからって、楽しそうに笑ってた」


 やっぱり三人の中にわたしは入れないのかもって、自信をなくした瞬間。
 三人には揺るぎない絆があるんだって実感して、ちょっと羨ましく感じた瞬間。

 それを思い浮かべるとやっぱり胸がずきりと痛むものがあって表情をゆがめてしまった。


 その瞬間、唇に柔らかいものが触れた。
 たった一瞬だったものの、健人がキスしてきたことがだんだんと明確にわかってゆく。


「け、けんと……?」
「二人は大切だけど、一番は莉乃だからそんな寂しそうな顔すんなよ」


 やっぱり今日の健人はなんだか可愛い。
 かっこいいのもあるけど、拗ねたりぼーっとしたりしてるところはどうしてもかっこいいとはいえないかも。


「今日、緊張するね」
「傷つかないよな……」
「や、傷つきはするでしょ」
「…………」


 奈々ちゃんと翔のことを思い浮かべながら不安そうにつぶやいた。
 でもきっと、あの二人のことだから。


「花ちゃんにも協力してもらわなきゃなあ……」
「言わなくても協力してくれるっしょ」
「……そうだね」


 いつか、幸せそうに笑ってるんだろうな。



「奈々ちゃんが健人を好きで、翔はわたしを好きでいてくれてるのはわかるけど……」






「やっぱり奈々ちゃんには、翔がお似合いだもん」



     ‐


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