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Love the square

13ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/08/18(土) 19:23:13 HOST:EM117-55-68-147.emobile.ad.jp


 ――莉乃、さん。
 透きとおった茶色い瞳に、瞳と同色の背中まで伸びたストレートヘア。
 髪が揺れるたびふわっと香る甘い香りも、思わず頬を赤らめてしまうような可愛らしい笑顔も。
 彼女の優しさにも何もかもに惚れてしまった。

 俺は自宅に戻るなりものすごく叫びたいような気持ちになって、携帯をぎゅっと握りしめるのであった。

     ×

「おはよう健人」
「はよー健人っ!」


 すっかり機嫌の良くなった奈々と翔。
 俺はやれやれと呆れたフリをみせながらも、実は莉乃さんのことで頭がいっぱいになっていた。
 それを察したのであろう翔がニヤニヤしながら俺のことを肘でつついてくる。


「好きな人と何か進展あったのかよー」
「なっ、なんでわかるんだよ」
「いやあ? 幼馴染の様子くらいすぐわかるよ」


 なんか、そんな自信満々に言われるとむかつくな。


「ねえ……健人の好きな人ってだれ?」


 奈々が、表情を曇らせて言った。
 俺はその奈々の暗い表情に、何も言えなくなってしまう。


「健人の馬鹿! なんであたしにも教えてくんないのよ!」


 バシンとスクールバックで腕を叩かれた。
 そして泣きながら走り去ってしまう奈々の背中をじっとみつめることしか、俺にはできなかった。


「……奈々、どうしたんだろ」


 俺がポツリとつぶやくと、翔は呆れたようにため息をつきながら言った。


「お前本当モテるのに鈍感だよなあ」
「はあ? 何の話だよ」
「だから、奈々もきっとお前のことが――あ、おはよう未月さん」


 話の途中で、後ろから花がやってきたのを察した翔がコロッと女子専用王子様スマイル(命名翔)をうかべた。


「おはよう健人くん、翔くんも」
「はよ、花」
「え、ちょっと健人お前好きな人がいるという分際で未月さんのことを馴れ馴れしく花呼びしてんのか」
「いやお前彼女いるよな? なのになんださっきの笑顔」
「あれはビジネス用であって」
「なんだよそれ」


 花が苦笑するのがわかる。
 てか、花や女子に対してビジネス用スマイルとか失礼だろ。


「ていうか今日、奈々ちゃんいないの?」


 花が痛いところをついてきた。
 俺はハハ……と苦笑しながら言う。


「や、俺がなんかしちゃったみたいで」
「え〜、なになに?」
「好きな人誰ってきかれて、思わず黙り込んじゃったら先行っちゃってさ」


 考えれば考えるほどわからなくなる。


「俺、なんかしたかな」
「……もしかして健人くんって鈍感?」
「え? や、それはないと思うけど」
「え、でも鈍感じゃなかったら普通何で奈々ちゃんが行っちゃったかわかるよ」


 鈍感? この俺が?
 俺は少しポカンとした表情を浮かべてから、昔のことを思い出した。


 ケンカして、笑いあって――時には本気で心配しあった俺たち幼馴染の仲。
 「隠し事はなしだよ」って微笑む奈々の姿。
 俺はそのときそんな女子みたいなこと面倒臭いって思ったけど、奈々は本気だったんだ。
 奈々や翔も、いつも俺に本気でぶつかってきてくれて。
 俺だって、真剣に向き合ってぶつからなきゃいけないんじゃないのか。


「……ちょっと俺、先行ってるわ」
「おう! がんばれ健人!」
「がんばって、健人くん」


 翔と花に背中を押され、俺はほのぼのと学校へ登校する生徒が歩く道を駆け抜けた。

     ‐


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