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Love the square
122
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/09/08(土) 14:51:46 HOST:EM117-55-68-13.emobile.ad.jp
ふわりとカーテンが膨らんだ。
隠し購買と呼ばれる音楽室のもうすっかり色あせてしまったカーテンを見つめた直後、わたしは思わずもう一度聞き直した。
「転校生?」
「そうなの! それでね、大人しそうな顔してるくせに真っ先に健人のところに行って道案内してって言い出して!」
怒っているのか焦っているのか、興奮状態の奈々ちゃんがそう言った。
隣には奈々ちゃんの友達の花ちゃんもいて、わたしは二人に聞いた。
「その子の名前ってなに?」
興奮状態の奈々ちゃんはあいからず騒いだままだったから、花ちゃんが微笑みながら答えた。
「たしか、黒瀬優花(くろせ ゆうか)って名前だったような……」
健人の案内なら、いつか此処に来るのではないか。
わたしはそう考えたあと、ポツリとつぶやいた。
「変なことにならなきゃいいけど……」
「え? 莉乃さんなんか言った?」
奈々ちゃんは上手く聞き取れなかったと言わんばかりの表情をして聞いてきたが、このことは言わなかったことにしよう。
「なんでもないよ」
「そっか」
音楽の先生おすすめのチョココロネをぱくっと食べたあと、わたしはまたカーテンへと目を移した。
風がふいてチラチラと窓の奥が見えるのだが、きっと今は雨が降っている。
外は暗くて、ゴロゴロと雷が鳴る音も聞こえてきた。
「……雷かあ」
そうつぶやいた途端に、音楽室のドアが開いた。
「健人!」
奈々ちゃんが嬉しそうに立ち上がる。
そこには健人ともう一人、女の子の姿があった。
きっとさっき言ってた優花ちゃんだろう。
「ねえ、まだ案内終わんないの?」
奈々ちゃんが優花ちゃんをわかりやすく敵視しながらそう聞くと、健人が苦笑して答える前に、優花ちゃんが鈴のような声でポツリと言った。
「健人はわたしのものだから、あなたには渡さないわ」
思わず、体が動いていた。
立ち上がって、わたしは言う。
「健人はものじゃないよ」
優花ちゃんの視線がこちらへ向く。
とても綺麗で――怖い。
「そんなこと言うんなら証明してあげるわ」
わたしと奈々ちゃんと花ちゃん、健人までもが不思議な表情をした。
その瞬間、優花ちゃんが健人にキスする。
不意打ちのキスで健人もよけれなかったのか、とても動揺していた。
「このつづきもやっていいのよ? それが嫌だったら健人はわたしのもとだって認めなさい」
くすっと笑う優花ちゃん。
なんだかとてもおかしなことになりそうな予感がしたわたしは、頷くことも否定することもできなかった。
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