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Love the square
112
:
ねここ
◆WuiwlRRul.
:2012/09/07(金) 20:11:39 HOST:EM117-55-68-16.emobile.ad.jp
「莉乃」
翔がこそっとわたしの隣に来て、耳元で囁いた。
「そろそろ帰んなきゃいけない時間だからさ、俺が奈々を引き止めてるから観覧車行ってこいよ」
「え、いいのっ?」
翔の提案に思わず大きな声を出すと、健人も奈々ちゃんもこっちを見てきたけどあわててわたしは翔のほうを向く。
「楽しんでこいよ」
「ありがと翔!」
微笑んで翔にお礼を言うと、翔はさりげなく奈々ちゃんと自販機のほうへと進んでいった。
わたしはちらっと健人を見て、それを追おうとしているところを止める。
「あの、観覧車……今じゃだめ、かな?」
おそるおそる、そう聞く。
すると健人は微笑んでゆっくり頷いた。
手をつないだまま観覧車へ向かうわたしたちはきっと周りからはカップルって思われてるんだろうけど。
……本当にそうなればよかったんだけどなあ。
×
観覧車の個室の中での距離はあまりにも近すぎて、少し恥ずかしくなってきてしまったのがわかる。
それでもわたしは、健人に伝えたいことを全部伝えるって決めたから。
「わたし、翔に告白されたんだ」
そう言ったときの健人は、少し動揺しているように見えた。
わたしは話をつづける。
「すごく、優しくしてくれて……このまま翔のことを好きになれるかなって思った」
翔はわたしのことを思ってくれて、愛してくれて。
そういえば、路地裏で会っていたころの健人もそんな感じだったような気がする。
「でもね、やっぱりわたし、健人が好きなんだなって……健人のこと、忘れられなくて」
涙があふれてきた。
それはふいてもふいてもあふれてきて、止まらないものだった。
わたしはそのまま、話つづける。
「だからやっぱり……健人と奈々ちゃんがいっしょにいるところを見るのは辛いよ」
どうしても、嫌だった。
奈々ちゃんが健人と笑い合っているところ。
前みたいにキスして独占したいって思ったけど、もうそんなことできるわけなかった。
――だから、これが最後。
「嫌だったら拒絶していいよ」
微笑んで、戸惑う健人に顔を近づける。
わたしと健人の唇が重なるのと、観覧車がてっぺんに行ったのが同時だった。
そしてキスをしてから気づく。
こんなことしても、健人の気持ちは変わらないって。
奈々ちゃんが、傷つくだけだって。
「莉乃……」
わたしの名前を呼ぶ健人の言葉を聞きたくなくて。
わたしは俯いて泣きながら言った。
「言わないで」
我侭だけど。
本当に、最後にするから。
「何も言わないで……わたし、もう嫌だよ」
我侭を言う自分が。
後悔ばかりする自分が。
――健人を好きになってしまった自分が。
「俺はさ、正直迷ってたんだ」
健人がわたしの頭をよしよしと撫でながら言った。
「莉乃が好きなのか、奈々が好きなのかわからなくなって」
そっか、健人もたくさん悩んだんだ。
わたしだけじゃ、ないんだ。
「それで悩んでるころに会ったのが奈々でさ、だから奈々に気持ちが揺れたのかも」
そんなこと言っちゃだめだよ。
わたしまた、健人のこと好きになっちゃう。
そう心でつぶやいても、言葉にはできなかった。
「俺、今も迷ってるよ」
「え……」
迷っちゃだめだよ。
わたしに気持ちが揺れたら、奈々ちゃんが悲しむ。
「でもこれ以上気持ちを変えたら失礼だと思うんだ」
真剣な健人の瞳。
「奈々にも、莉乃にも」
わたしは、どうすることもできなかった。
そんなことないって言いたい。
けど、言えないんだ。
そのまま観覧車は終わってしまい、恋が実るというキスをしたにも関わらずわたしたちの仲はちぐはぐしていた。
‐
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