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恋も喧嘩も素手で勝負!!
35
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/08(日) 16:42:15 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「つーか、お前。すんげぇ俺たちに馴染んでねぇか?」
手を縦に動かしながら、仰いでいる霙に宮瀬 卓麻(みやせ たくま)は聞いた。
「だって、PTAに連絡したら返ってきた一言に反発しちまって、ちゃんと、手続きをするのが先送りになっっちまったんだよ…!!」
怒りながら霙は卓麻の問いに応えた。
「なんて言われたんだよ?」
そんな霙に与島 葉桐(よじま はぎり)は聞く。
「『すまん、忘れてた…』って…」
『そりゃ、怒るわな…』
霙の答えに全員同じリアクションの答えを発した。
36
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/08(日) 16:56:36 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「つーか、一匹〜。暑いし喉渇いたからジュース買ってきて〜」
「話の意図がわからん!大体一匹ってなんだよ!!」
ねだる霙にもまたまたシビアなあツッコミをかました。
「だって私まだお前らの名前聞いてないもん。グチグチ言う前に名前教えろよ」
今度は服をパタパタさせながら皆に言う。まぁそれもそうだったので誰も何も言わないで自己紹介を始めた。
37
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/08(日) 17:14:51 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「僕は津田 俊介。二つ名は『平手』だよ。っで、自己紹介ついでにメアドとか…」
「次言ったら平手で、その顔面往復ビンタしてやる」
このコンビも少しは受ける漫才をするものだ。
「まぁこいつはほっといて…。俺は与島 葉桐。二つ名は『冷着』だ」
葉桐も服をパタパタとさせながら自己紹介をする。
「んで俺は宮瀬 卓麻。二つ名は『足自慢』だ。言っとくが足が速いとかではないからそこらへんは分かれよ」
卓麻は注意事項込で自己紹介をする。
「…………東谷 勝玲……」
「おまんめっちゃ無愛想やん…」
ベタな大阪弁で、今度は霙の方がツッコミをした。
38
:
ピーチ
:2012/07/08(日) 17:21:14 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねこさん>>
ありゃりゃ・・・霙ちゃん凄いね〜←ある意味ww
この前思ったけどさ、名前剥がしって凄い二つ名だね〜・・・
39
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/08(日) 17:32:55 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「大体『てん』いくつ使ってんだよ。やるなら普通に自己紹介しろや」
霙は地面の上であぐらをかきながら勝玲に言う。
「ウッセーよ。『てん』使ってんのは作者自身だから俺には全く関係ねぇよ」
ここで作者(もとい私)を出すのはいただけないが、まぁそこはおいおいと…。
「っま、イイけどよ〜。…勝玲って馬鹿だろ?」
「お前喧嘩売ってんだろ」
確かにこの一言はきれる。
40
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/09(月) 18:12:36 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
ピーチさんへ
返事遅くなってしまい申し訳ありません!
あと、お話に戻りますがこの名前はそのうち変えるって設定にしてます。
いろいろ考えて恋愛系にはこの回で持ち込めると思っているので楽しみにしていてください!!
41
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/09(月) 18:39:03 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「いや、別に。一匹狼に喧嘩売ってもひまじゃん。大体お前の名前って剥がしずらいし」
シレッと言う霙。勝玲は心のどこかで「よっしゃ…!」と思いながらグッとこぶしを握る。
「あっ!。今フト思ったんだけど!もし二つ名が卓麻みたいなのだったらどうするの?剥がしようないじゃん」
俊介はハッと我に返ったような顔になって霙に聞く。
「そういう場合は拳を使わせて勝たせる!」
キリッとまじめな顔で言ったが、皆は言葉の意味が理解できなかった。
「つまり、なんだ〜…。お前は拳で勝たせるために、わざと負けるってか?」
嘘を聞くような気分で卓麻は霙に聞いた。
「あぁ。その方法しかないじゃないか」
馬鹿だ。さっき自分で勝玲に「勝玲って馬鹿だろ」とか言っておきながら…。皆は同じ思いを胸に抱く。
「アホくさ…」
勝玲はソッポを向きながらそう呟いた。
42
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/09(月) 19:10:04 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「あぁ゛…。てめぇこそ喧嘩売ってんだろ。なんなら買ってやるぞ…!?」
「上等だぁ。女に負ける様な俺に見えるか…?!」
霙の言葉に勝玲は低い声で答える。
(挑発に乗ってんのはどっちなんだ…)
(一匹狼も足自慢だけじゃ暇か…)
(やっぱり人の喧嘩って面白い)
それを見て卓麻、葉桐、俊介の3人は同時に考えた。
「十分見える!はっきり見える!私にはお前が最弱に見える!!」
自信満々に言い張る霙。
「女がいきがってんじゃねぇよ!喧嘩買ってやるからこっち来いや!」
勝玲は怒りながら霙と顔をくっつける。
「上等だぁ〜。何処へだろうと言ってやろうじゃねぇか!」
バチバチと火花を散らしながら二人は喧嘩を始めようとしていた。
43
:
ピーチ
:2012/07/09(月) 20:08:42 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ネコさん>>
おわっ!一匹狼君凄い・・・←なぜに二つ名w
最弱って・・・霙ちゃんもはっきりゆーねーw
44
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/09(月) 20:37:25 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
ピーチさんへ
霙は口が悪いっていう設定は、その方が恋愛の方に行ったあとでどこかしっくりくる!気がしたのでそういう感じにしてみました。
ほんと私自身もはやく恋ばなっぽくしたいと思ってるんですよ。なので早く話を進めようと思ってます。
45
:
ピーチ
:2012/07/09(月) 20:50:14 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ネコさん>>
あーねw なるほどーww
・・・あたしあんまり恋ばなは興味ないなぁ、そこまで←ごめんね・・・
46
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/10(火) 17:50:47 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
ピーチさんへ
まぁ恋ばなに興味無くても喧嘩話の方がメインでもあるので、いろんな角度から読んでくれると嬉しいです。
あと、次からはもうタメ口でよろしくです!
47
:
ピーチ
:2012/07/10(火) 18:27:00 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ネコさん>>
あー、なーるほど!喧嘩の話は結構好きww
うん!フツーにタメで!
48
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/10(火) 18:45:14 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
―――そして場所は変わり泉河第1男子高校の屋上。
「逃げんなら今だぜ雫沢!」
屋上のど真ん中で腕組をしながら勝玲は叫ぶ。
「それはこっちのセリフだ!私に喧嘩を売った事を謝んのは今だぜ一匹!!」
勝玲から2mほど離れたところで霙も叫ぶ。まるで戦国時代の戦い前に名前を言うかのように。
「おんもしろくなってきた〜!!」
そんな光景を見ていた俊介は屋上のすみで笑いながら呟いた。
「でたよ。俊介のドS顔。…だが、俺もこの喧嘩は見ていて損じゃねぇな…」
俊介の横で屋上の網がねに寄りかかっている葉桐も呟くように言った。
「っさ、どっちが勝利を掴むか…」
あくまでクールな顔立ちで卓麻も呟く。
『ヒュオォォォォォォォー…』
そしてタイミング良く大きな風が吹く。
49
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/10(火) 18:51:12 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
ピーチへ
喧嘩の話は私も好きだよ!だけど自分で書くのが一番好き!(下手だが…)
でもピーチに読んでもらってるから少し自信湧いてきたんだ!
これからも応援とかコメントよろしく!!
50
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/10(火) 19:50:23 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
『バッ!』
『ダッ!』
二人は同時に前に走って行った。
『バゴッ!』
『ボゴッ!』
そして二人同時に相手の頬に硬い拳を投げつける。
「うお…痛そう…」
自分がやられている訳でもないのに卓麻は片目をふさいで言う。
51
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/10(火) 20:30:34 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
相手が自分の拳を喰らえば、自分も喰らう。よけられる隙があってもよけない。弱い殴りは絶対しない。まるで男同士の喧嘩だ。
勝玲は勝玲で相手が女だということに気付いていないかのようだ。逆に楽しんでいるかのように、笑っている。
霙の方も楽しんでいるように口角を上げている。
「お前、女の割にいい拳じゃねぇか……!!」
笑いながら勝玲は霙を褒める。
「あんがとよ…!だがお前は二つ名の割に大した拳じゃねぇな…!」
笑いながら霙は勝玲にケチをつける。
52
:
なめ
:2012/07/10(火) 21:35:11 HOST:115-39-93-225.mie1.commufa.jp
どうもです!
読ませていただきました!
とても、おもしろかったです!
良ければなんですか、またなめの作品も見てくださったら嬉しいです!
リミットです!
よろしくお願いします。
53
:
ピーチ
:2012/07/10(火) 22:10:31 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ネコさん>>
すごっ!マジやばい・・・
あたしが書いてるのなんかとは違うよねやっぱ、上手な人ってww
54
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/12(木) 17:19:56 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
なめさんへ
コメントありがとうございます!
絶対なめさんのお話読ませていただきます!!
ピーチへ
ほんといっつもコメントありがとう!
これからも頑張っていくから、応援よろしく!!
55
:
ピーチ
:2012/07/12(木) 17:42:16 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ネコ>>
↑何か省略したw
うんっ!だって面白いもん!
是非頑張って!!
56
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/12(木) 17:46:55 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「言ってくれるじゃねぇかクソ野郎…!」
硬い拳を霙の頬にぶつけながら勝玲は言う。
「言うに決まってんだろ…!女ですから…!!」
霙も硬い拳を勝玲の腹にぶつける。
「二人どっちもガード無しのぶつかり合い!どんどん面白くなってきたーー!!」
俊介は両手をグーにしてブンブンと縦に動かす。
「さて、どっちが勝つ……!!?」
腕組をして見ていた葉桐は何かに気付いて言葉を続けなかった。
57
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/12(木) 17:49:20 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
ピーチへ
了解しました!
絶対完結まで持っていくからね〜!
58
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/12(木) 18:18:03 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
『ボォォゴン!!』
二人が同時に拳を相手の頬に当てた音が響く。
「………っお、ホントにやってるよ…」
ゆらゆらと体勢を直す二人を余所に屋上のドア部分から少し高い男の声が聞こえた。
「誰だぁ……?」
霙は腕で口から出る血を拭いながらドアを見て呟く。そこには金髪の男と数人の男たちが居た。
「『手組』お前何しに来た…」
勝玲は怒りながら低い声で言う。
『手組』は泉河第1高校の中で自分を中心にして仲間をつくる2年生の尾田 満(おだ みつる)だ。
59
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/12(木) 18:30:52 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「何しにって、決まってんだろ?…」
尾田はニッと笑いながら手を腰に当てる。
「お前らを潰しにだよ…」
尾田の後ろに居た者達が全員手にバッドを握る。
「……たく…」
「めんどくせぇ…」
二人は息ピッタリに愚痴を放つ。
「あぁ、もう!面白い喧嘩に間ぁさしちゃって!!」
俊介は頬を膨らませながら二人の方に歩いて行く。
「止めとけ、津田。これはあの二人の喧嘩だ。見物人の俺らが今手ぇ出したら、あいつに良い事なんか在るか?」
そんな俊介を卓麻は止める。
60
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/12(木) 18:47:38 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「おい、雫沢。お前は下がれ。ここは俺一人でやる」
勝玲は霙の前に出ながら言う。っが、
「や―なこった。」
即拒否。
「……あ゛…」
勝玲は低音の声で聞きかえす。
「誰がお前の言う事聞くかよ。てめぇは何様だ。一人で何でも背負うヒーロ気取りのカッコつけボーイかよ」
逆に前に出ながら霙ははっきりと言う。
「それは喧嘩続行の言葉とみなしていいのか、雫沢?」
目の下に黒い影を作りながら勝玲は霙を見て言った。
「……一人で何でも出来るって思ってんなっつってんだよ…」
霙はイヤイヤな顔をしてそう呟いた。勝玲は目を大きくして、それ以上何も言わなかった。
61
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/12(木) 19:02:37 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「……ん〜、あ゛。分かったよ!だが俺がやる相手を奪うんじゃねぇぞ!」
勝玲は頭をかきむしる。
「男はクールじゃないと…」
顔を後ろに向けながらそう呟く。
「行くぞ、おめぇら!!!」
尾田は後ろの者達に叫び散らしながら言い、二人に向かって走って言った。
「行くぜ、雫沢…」
スルリと霙の前に身を乗り出し勝玲は拳を構える。
「だからお前は何様何だって聞いてんだよ」
不敵に笑いながら霙も拳を構えた。
62
:
ネコ・ヌコタン(=‘ב=)
:2012/07/12(木) 19:43:01 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
―――「うひゃ〜。すごいね。さっきの喧嘩より面白くなってきちゃった!!」
尾田軍VS勝玲&霙の喧嘩が始まって約5分ほど経つ。だが、その5分間の間に尾田軍の大半は屋上のひんやりとした床にうつ伏せ状態になっていた。
「しかも、何だあのコンビネーション…。まるでシンクロだな」
たった二人VS10人以上の男、だと言うのに勝玲と霙が尾田軍を押している理由は、勝玲と霙の動きが息ピッタリだからだ。背中を合わせ、時には二人同時に振り返り、相手を倒していく。
「おい!雫沢!背中ぶつけんな!うぜぇんだよ!」
前の相手を蹴り倒した勝玲は顔を霙に向けながら怒鳴る。
63
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/13(金) 21:34:59 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「ウッセー!お前だってさっきから私の足、蹴ってんだよ!!」
霙も顔を勝玲に向け、怒鳴り散らす。
「んなこと知るか!文句つけんなら引っ込んでろ!!お前はお呼びじゃなんだよ!!!」
一人の男を蹴り飛ばしたあと、勝玲は霙に叫ぶ。
「お呼びじゃねぇのはお前の方だっ!そこら辺でブルブル震えてやがれ!一匹ネズミ!!」
霙も一人の男を蹴り飛ばして勝玲に叫ぶ。
「あぁ゛!てめぇ喧嘩売ってんのか!!?」
ガッとみぞれの胸ぐらえを掴んで勝玲は怒る。
「売ってるってさっきから言ってんだろうが!!なんならその耳カポッジってもっぺん言おうか!あぁ゛!!」
霙も同じく勝玲の胸ぐらを掴んで怒鳴る。
64
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/13(金) 21:47:46 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「お前等、何勝手にもめてんだ!!」
そんな二人に尾田は金属バットを上げながら襲いかかってきた。
『ウッセーーーー!!!!!!』
声を揃え二人は尾田の顔面に拳を思いっきり投げた。
尾田軍は全滅した。
「ヒュ〜…。手組敗北…っか」
口笛混じりに笑いながら卓麻は呟く。
「まだあいつらの喧嘩は終わってないみたいだけどな…」
65
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/13(金) 21:54:17 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「おら、こいや!雫沢!」
まだ、
「望むところだ!」
この二人の喧嘩は終戦していない。
『おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
第2ラウンドの開幕だ。
66
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/13(金) 22:10:03 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
――――『ドンッ!!!!』
第2ラウンドが始まって20分ほど経ったあと、二人は同時に屋上の地面に倒れ込んだ。
「カハ…ッハ…ヤベェ…チョウイテェー……」
倒れ込んだ霙は苦笑しながら言う。
「ッハ…どう…かん……だ…」
勝玲は顔に汗をびっしょりかきながら呟いた。
「これ…さぁ……私の勝ちな…!」
霙は面白そうに言ったか、言われた方は全く何のことか理解できなかった。
67
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/13(金) 22:29:13 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「っは…?」
なんのことやらという顔で勝玲は起き上がり霙を見た。
「いやだって、剥がしたじゃん?お前の名前…」
ヒュオォォォォォォォ…と風が吹くなか勝玲はポカンと口を開けた。
「お、おい…そりゃ、一体何の冗談だよ…!名前を剥がした?一体いつ?」
冷や汗をかきながら勝玲は聞きたくないことを聞く。
「この意味のわからん奴らと戦ってる時」
はっきり答えた。しかし、一体それが何なのだ。
「よく考えたら、一匹狼って一番簡単に剥がせる名前なんだよな〜。そんなの単純に、一緒に戦っちまえば良いだけじゃん?」
今までに見たこともないような笑みを浮かべて、霙は続ける。
「だが、下準備が面倒だった。一緒に戦うとしたら、いったい誰を相手にする、…とか」
勝玲は驚いたような目で霙を見続ける。
68
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/13(金) 22:46:12 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「お前、なんでそこまで俺の名前にこだわんだよ…そこまで考えられる頭持ってれば、もっと他の考えを思いついただろうが」
身をグッと乗り出し、聞くと、帰ってきた返事に勝玲は言葉をなくした。
「強いて言うなら、お前に惚れたから…」
数秒の間が用いられたあと、勝玲はやっと言葉の意味を考えた。
「おれに…ほれ……た…?」
勝玲の顔が急に赤くなっていく。
「いや、いや、いや…ありえん、ありえん…どーせ、嘘だろ?そんな嘘で俺が動揺するとでも思ってんのかよ」
内心ものすごく動揺していたのだが、ここはひとまず顔には必死に出さなかった。
「嘘だって思うなら別にいいけど…これだけは言っとくよ…」
突然、霙の顔が真面目になる。
69
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/13(金) 22:56:22 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「私たちは人間なんだ。一匹狼なんていう大層なもんでもなければ、一生孤独を背負う宿命を与えられた戦士でもない。それは、お前も同じだ¨勝玲¨」
真面目な顔にうっすらと浮かぶ悲しみ。
「…………」
勝玲は何も言わずにただ黙っていた。
「まぁ、なんだ、私が言いたいのはつまり…」
霙はポリポリと鼻をかく。
「一匹狼なんて捨てちまえよ!」
その言葉は勝玲の心に響いた。
Ⅲ 名前剥がし動く!告白込みの戦い!「一匹狼など捨てろ!!」 end
70
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/13(金) 23:12:44 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
第4話 四天王降臨。No.4は瞬足だ。【前編】
(「強いて言うなら、お前に惚れたから…」)
誰もいないシーンとした1年3組の教室で、東谷 勝玲(あずまや しぐれ)は誰の物かわからい机にベッタリと顔をつけていた。
(いや、いや…ナイ、ナイ、ナイ…絶対死んでもない……そりゃあ、雫沢だってぶさいくって訳じゃねぇし、賢いし、まぁ強いし…いや、だからこそありえん。あんなやつが俺に惚れた?いや断じてない!言葉のアヤかなんかだろ…うん、そうだ、そうに違いない…!!)
一人心の中で納得する勝玲。
つい先日まで敵対心しか抱いていなかった雫沢 霙(しずくさわ みぞれ)が、自分に恋愛感情を抱いている…そう考えただけで顔が赤くなる。
(あぁぁぁぁ〜…一体何なんだよ、あの野郎は…)
額を机にこすりつけ、考える。
71
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 08:43:12 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「は〜…。頭痛い……」
「金くれたら頭痛薬買ってきてやるけど」
バッと勝玲は体を起き上がらせる。
「何だよ、そんなに驚くなよ」
勝玲が起き上がらるとそこには、霙が居た。
「お、おま、お前!!何でここに!!?」
顔を赤くしながら勝玲は霙に聞く。
「学校に来るのは学生の義務だろ。まっ、こんな暴力学校では、こない奴の方が多いだろうけどな」
霙は手を肩まで上げ、誰の物かわからい椅子に腰掛ける。
72
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 09:43:45 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「にしても、お前熱なんじゃねぇの?顔真っ赤だぞ?」
霙はそう言いながら勝玲の顔に自分の顔を近づける。
「誰のせいだと思ってんだ…」
顔を赤くしながらも額にイカリマークをいくつも浮かべ言った。
「私のせいだとでも?」
キョトンとした顔で霙は聞き返す。
「ったり前だろ!お前はこの前俺に意味のわからん告白をしたから…」
勝玲は目をそらす。
「意味ワカランもなにも、あれは大きな意味大有りだぞ」
またもキョトンとした顔で霙は普通に答える。
「どんな意味だよ。俺には全く思い当たることがないぞ…」
ギロっとした目つきで勝玲は聞く。
73
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 10:15:32 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「…¨弱肉強食の反乱¨って知ってるか?」
突然話が変わった。
「じゃく…にく、きょうしょくの…反乱…?」
勝玲は霙に聞く。
「あぁ、弱者は強者に逆らえない。たとえ弱者が集まっても、天を見れる強者には力が届かない…」
霙は暗い顔になる。
「だが、弱者が何百体も集めれば一匹の強者ぐらい簡単に押し倒せる。それが¨弱肉強食の反乱¨…私はお前が弱者に倒される強者に見えたから支えようとしただけだ…」
何かの電気だろうかと思いながら聞いていた勝玲だった。
「って、ちょいタンマ。それ答えになってねーよな?俺は何でお前が俺に告ったのか聞いてんだけど?」
片方の口角を上げながら勝玲は主張する。
74
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 12:13:14 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「まぁ、いいんだよ。男が細かいことに口挟むな」
ニッと笑いながら霙は、話を終えた。
「あ、そう…」
呆れた目つきで勝玲も話を終える。
「ってか、お前これからどうするんだよ?私に名前剥がされて、他の奴からマークされてんでろ?」
確かに前日の霙との戦いで勝玲は「一匹狼」と言う二つ名を剥がされた。
「さぁな。まだ考えてねぇ…。二つ名を改良するか、もっぺん考え直すか…、選択肢はこれぐらいしかねぇよ」
俯きながら勝玲は考える。
75
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 12:53:05 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「目の前にある選択肢は…な」
霙は全てを見透かしたかのように鼻で笑い、目を閉じた。
「あぁ゛…?」
勝玲は低い声で聞き返す。
「っま、精々その使えない頭で考えな!頼み込むんなら相談に乗ってやるからよ〜」
手をヒラヒラと横に動かしながら霙は教室を出ていった。
「ったく、ホンとに何なんだよ、あの疫病神…」
勝玲はイラつきを感じながら窓を見る。
(まぁ、いいケジメだったかもな…)
勝玲は目を細める。
「これからどうしようかな〜…」
自信無さ気に呟き、もう一度これからのことを考え出した。
76
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 13:35:30 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
――場所と時間は少し変わり、泉河第1男子高校のとある教室。
「一匹狼ガ名前剥ガシ二負ケマシタ」
暗い教室の中で一人の男が膝まづきながら報告する。その報告を聞いていた4人の男は眉間にしわを寄せ、キツい目つきなる。
「どうするんですか?一番。名前剥がしをこのまま泳がせるんですか?それとも潰すんせすか?」
一人の男が、学校の校長が座るような椅子に座っている白髪の男に話しかけた。
「No.4、速見 蓮(はやみ れん)。お前に雫沢 霙…そして…」
白髪の男は立ち上がる。
「東谷 勝玲の二人の完全戦滅を言い渡す」
ギラリと光るその赤い瞳に写った男は手を額に当て「承諾します」と言いながらニタァと笑った。
77
:
名無しさん
:2012/07/14(土) 14:08:22 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
時間は経ち午後5:40。勝玲は宮瀬 卓麻(みやせ たくま)、津田 俊介(つだ しゅんすけ)、与島 葉桐(よじま はぎり)と肩を並べて帰っていた。
「カエルとかヤモリってよく家の窓とかに張り付いてるじゃん?」
俊介はいきなり話し始めた。
「あぁ。よく引っ付いてるからナカナカ窓開けられないんだよな」
卓麻も話を合わせる。
「うん。っで、この前部屋にいたら行き成りカエルが窓にひっついきたんだ〜。そしたら近付いてきたガを一口で飲み込んじゃって…。あれはちょっと気持ち悪かったよ…」
苦笑しながら俊介は苦経験を語る。
78
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 14:31:05 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
しかし、勝玲は黙ったままだ。この楽し気な語り合いの中で自分のことが出ないだけ幸いだった。
「ども〜…」
そんな勝玲に聞き覚えのない男の声が聞こえた。
『ん?』
全員声を合わせ、声をした方を見る。
「初めまして〜。泉河第1男子高校四天王No.4の速見 蓮でーす。地獄の切符お届けに来ました」
ニコッと笑いながら蓮は自己紹介をした。
「速見?四天王?…まさかお前『瞬足』の速見か!!?」
葉桐は驚きの顔になりながら叫んだ。
79
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 14:53:14 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「おっ!案外俺有名じゃん!」
蓮はケラケラと笑いながら勝玲に近付いて行く。
「つか、四天王ってなんだ?噂では聞いてたけど、本当に居たのか?」
卓麻は葉桐に聞く。
「あぁ…。俺も詳しくは知らんが、泉河校の最も最強がかき集められたのが四天王っつーらしい」
苦い顔をしながら葉桐は言う。
「なんかそんなすごい人が俺らに何の用ですか?」
苦笑しながら勝玲は蓮に聞く。
80
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 15:09:23 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「理由は簡単。我らが神、王(キング)の願望でだ」
蓮は二ヒヒと笑い教えた。
「願望?」
勝玲はそう呟く。
「あぁ。雫沢 霙と…」
蓮はまたニタァと笑う。
「元一匹狼という二つ名を分け与えられた東谷 勝玲の完全戦滅」
蓮はパッと手を広げそう言い張った。
81
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 16:07:46 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
――「…………」
勝玲は黙ったまま10階建のマンションの609号室の中に入った。
『今日から3日後。お前と雫沢の二人を戦滅しに行く』
今から約30分ほど前に会った四天王と名乗る男、速見 蓮はそれだけ言ってどこかに去っていった。
「雫沢は有り得る。噂だけでも5人以上の名前を剥がしたって言ってたし…だが、俺はなんでだ?一匹狼は昔の名前だぞ…」
勝玲は頭が痛くなってきた。
「…そうだ、雫沢に連絡…確か津田が雫沢に土下座して電話番号聞いたとか言ってたな…」
そう思った時、勝玲は持っていたバッグから黒いスライド式の携帯を取り出す。
ピコピコと携帯のキーを押していき俊介の携帯にかける。
82
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 16:23:36 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
〜『もしもし?』
電話をかけて10秒ほど経つと俊介は陽気に出た。
「おう、津田か。ワリィが雫沢の携帯番号教えてくんねぇか?」
家の玄関で靴を片歩づつ剥いでいく。
『告白のお返事でもするの?』
「するかボケェ!!!!!!」
電話越しに勝玲は怒鳴る。
「さっきの四天王とか言う奴のことでだ!教えといたほうがいいだろ!!?」
頭をかきむしりながら言う。
83
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 17:07:02 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
『あぁ〜、それでー。ならいいよ。え〜とね…090…」
「………おう、わかった。ありがとな」
電話番号を聴き終えたあと勝玲はすぐに電話を切り、聞かされた番号にかける。
「090、4393、0330…と、ってこの番号まんま「雫沢 霙」って言ってるじゃん」
押したあとに勝玲はそう思った。
『はい?』
これも数秒経ったあとに出た。
「あぁ、雫沢か…。俺だ‥東谷だ」
上目遣いになりながら勝玲は言う。
84
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 17:40:35 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
『あぁ、勝玲か…って、私あんたに番号教えたっけ?土下座&1週間のパシリっていう条件で私は俊介に教えたんだけど?』
電話向こうの霙は疑問の言葉を投げる。
(あいつ、土下座だけじゃなかったのか…)
「ん、まぁ、その話は置いといて…お前無事か?今どこにいる?」
ガチャっとリビングの戸を開けながら勝玲は聞いた。
『スポーツジム。お前も来るか?』
全く蓮に何かされたわけではないらしい。
「…じゃあ、そっちに速見って言う男来たか?」
今度は真剣な顔つきで聞く。
『速見?そんな奴来てないぞ。一体誰だ?」
会ってもいなかったらしい。
85
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 18:04:51 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「…じゃあ、いい。いきなり電話して悪かったな…」
そう言い残し、勝玲は電話を切った。
「あの野郎、俺にだけ顔出しといて雫沢には顔出してねぇのかよ」
頭を押さえながら愚痴を放った。すると、前を見ると電話の留守番対応のボタンが赤く点滅していた。勝玲は点滅しているボタンを押した。
『着信が一件です…ピィーーー…』
そんな音がしたあと、一人の若い女性の声が聞こえた。
『勝玲?居ないんなら、折り行って電話するんだけど…。そんなことより、早く帰ってきなさいよ!母さんも父さんも心配してるんだから!まだ世間も知らないドッちゃん坊やがいつまでも反抗期送ってんじゃないわよ』
長々とされていた留守番メッセージは、勝玲の姉の東谷 海水(あずまや うみ)だった。今の高校に入る時、勝玲は家族とは別に一人暮らしを始めている。その方が何かと楽だったし、安心だったからだ。
「はぁ〜…」
ため息をつきながら勝玲はリビングのソファーに腰掛けた。
86
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 18:42:38 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「さて、これからどうするか…。『瞬足』なんていう二つ名を持ってるってことは、これは本命の『足自慢』だな…」
勝玲はそんなに足には自信がない。中学の時に測った100m走のタイムは13秒ほどだったが、今は全く走ってもいなければ、特に運動もしていない。
(絶対落ちてる…!!)
確信したくなかったが、確信してしまった。毎日喧嘩に明け暮れている暴力生徒が今からどんな方法で足を速くすればいいのだ。
「雫沢ならなんか思いつくかな…」
咄嗟にそう呟いてしまった勝玲。そして、そう呟いたあとに急激に顔と体が熱くなってきた。
「やっぱりダメ……」
そして顔を両手で覆い、女のように嘆き出した。
「大体なんで俺があんな奴に告られないといけないんだよ…!意味わかんねぇ…!つかなんで名前を剥がされた俺が四天王なんツー意味不明な奴にマークされねぇといけねぇんだよ!!」
ソファー全体に寝っ転がりうつ伏せになる。
87
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 18:53:54 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
『電話だぜ!電話だぜ!…』
突然勝玲の携帯の着信音が鳴った。勝玲は少し飛び上がると、ケータイに手を伸ばす。電話を開き着信者を見ると「非通知」という文字が横に流れていた。
「…ハイ、東谷です…」
疑惑を胸に勝玲は携帯に耳を当てる。
『人の話を遮って勝手に電話を切るな。私は電池切れかなんかかと思ったぞ」
相手はどうやら霙みたいだ。
「お前もお前で、なんで俺の番号知ってんだ…」
勝玲は頭が痛いのをこらえて問う。
『俊介に聞いた。『第2回目告白?』なんて聞かれたから、明日一発ぶん殴るって言っといた」
聴く人も言われることもまるで同じの二人は一体何で繋がっているんだろうか?
88
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 19:15:16 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「っで、なんか用か?」
目をつむりながら聞くと思いがけない言葉が帰ってきた。
『四天王とかいう意味不組織に悩んでんなら、スポーツジム来い』
勝玲はバッと起き上がり真剣に霙の話に耳を傾ける。
「おま…なんでそれを…」
『俊介に言われたんだ。勝玲が四天王に怖がって私に電話かけてきただろうって、さっき電話した時に…』
「あのクソ殺す…」
勝玲は怒りを込めながら超低音で言い張った。
『四天王のことも聞いたし、二つ名のことも聞いた。っで、今思いついたんだ。たった一つの必勝法を…!!』
勝玲はこの言葉を聞いて考える。乗るか、乗らないか…。しかし、何秒もかけて考えるほど余裕は無い。
「どこのスポーツジムだ」
Ⅳ 四天王降臨。No.4は瞬足だ。【前編】 end
89
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 20:11:36 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
第5話 瞬足、蓮とのケジメ。勝玲と霙の二つ名決定。
「今日で3日やな〜。ホンマ潰しに行くん?剥がされた言うたかて東谷君は元一匹狼やで〜。そう簡単に行くとは思わへんけどな〜」
泉河第1男子高校の屋上で座っている黒髪の少年は蓮に言う。
「当然だろ。弱肉強食のこの世の中で弱い奴が生き残るなんて事を俺は許さねぇ。だから、潰す…!」
蓮はそう言うと屋上から出て行った。
「…あかんでぇレン君。ボクらは強者やとでも思っとるんか…」
少年は不気味に笑う。
「ボクらは、地面に落ちてもろた、ただの弱者や…」
少年は青い空を見ながら目を細める。
90
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 20:23:34 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
そして、場所は変わり1年3組の教室。そこには、東谷 勝玲(あずまや しぐれ)、雫沢 霙(しずくさわ みぞれ)の二人が居た。
「っで、大丈夫なのか?」
壁に凭れる霙は腕組をしながら勝玲に聞く。
「あぁ、多分…」
そう言う勝玲だったが足が少し震えていた。
「やっぱ少し無理があったんじゃ…」
「問題ねぇ…!!」
怒鳴りながら勝玲は霙を見る。
91
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 20:49:52 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
しかし、ガタガタと勝玲の足は震えていた。
「……そんな震えてんのに問題無いか…」
そして教室の外から速見 蓮(はやみ れん)は勝玲に言った。
『ドォォン!!!!』
物凄い音を立てて教室のドアが前に倒れる。
「どうも〜。地獄の列車を開けに参りました〜」
ニタァと笑う蓮の顔は不気味さを一層強める。
92
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 20:59:15 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「さて、最初に戦うのはどっちなんだ?」
ズボンのポケットに手を突っ込んで蓮は聞く。
「女と戦いたいとは思わないだろうけど、まずは私から行かせてもらう!!」
霙は笑いながら勝玲の前に出る。
「ふざけんな!俺が先にやる!!」
勝玲は霙の方を掴む。
「その足でか?逆に迷惑だ。お前はそこで足の震えを止めろ!」
顔を半分勝玲に向けながら霙は真剣に叫ぶ。
「…………」
勝玲は言葉をなくし後ろに下がる。
93
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 21:29:10 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「なっさけねぇ!!女なんかに押されやがって!!元一匹狼だとは思えねぇな!!?」
蓮は大きく口を開け、笑う。
「悪いがそろそろ、その口閉じろ」
霙は着ていたトレーナーを投げ捨て、袖なしの服になると両手を拳に変えた。
94
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 21:42:44 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「行くぜ…!」
そう言い蓮は霙に向かって走っていった。
(確かに早い…だが、目で追えないほどじゃない!)
霙は拳を向かってくる蓮の額になげる。
「ニタァァァ…!」
あと、1秒もすれば霙の拳が蓮の額に当たるという時、蓮は顔に不気味な笑みを浮かべた。
驚いた霙は少しだけ拳の力を抜いたがすぐに力を入れ直した。だが、それよりも早く蓮は霙の前から消えた。いや、霙の前から一瞬にして霙の横に動いたのだ。
「ハヤッ…!!?」
そう言った時にはもう、霙の横腹は蓮に一殴りされていた。
95
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 22:37:25 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「ッ―――…なめんなっ!!」
痛みをこらえながらも霙は蓮に一蹴り入れる。しかし蹴る前に蓮は後ろに数秒で下がった。
「やっぱ、はえーや…伊達に瞬足っていう二つ名拵えてないって今分かった…」
横腹を抑えながら霙は蓮に言う。
「そりゃ、どうも。だが、お前のケリはかすってもないな」
ニヤッと不敵に笑いながら蓮は言った。すると、霙も薄く笑った。
「カスってもいない…?それは面白い冗談だな」
これもまた不敵に笑いながら霙は言い張った。
「なに…?」
「服の横を見ろ…。それでもカスってもいないというなら、お前は大馬鹿者だ」
蓮は言われた通り服の横腹部分を見る。 少しだけ破れていた。
96
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 22:47:20 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「なっ…!!?」
「足の早さに自信はないが、足の蹴る力には十分自信があるんだ!私!」
驚く蓮を他所に霙は笑いながら自己自慢を並べる。
「…女が舐め腐れやがって……」
ギロッとした目つきで蓮は霙を見直す。
「なんだ、お前でもそんな目できるじゃん。よかった、ガッカリしなくてすみそうで」
目はきついが、笑みを浮かべている顔で霙も蓮を見直した。
97
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 23:01:15 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
――先ほどからどれぐらい経っただろうか?蓮と霙の喧嘩は場所が変わり校庭でしていた。しかし、霙の方が押されていた。
『ボゴン!!!』
低い音がしたかと思うと霙は蓮に蹴り飛ばされた。
「ガハッ!!」
生々しい声を吐く霙。
「ッハ…ッ――…カハ…」
霙は口に手を当てる。
「おいおい、さっきまでの異性はどこいったんだよ!」
蓮は悪人が言うような言葉を言って霙に蹴りを入れようとした。だが、その前に蓮の腹に霙の蹴りが飛んだ。
「なめんな!!」
そう言いながら今度は蓮が蹴り飛ばされた。
98
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 23:09:39 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
(これで一発食らわせれば、私の…)
ドンと物凄い音を立て霙は足を地面に叩きつける。
「勝ちだ…!」
ギュンという音を立てて霙は拳を蓮の顔面に向ける。
「…甘いんだよ……」
蓮は自分に向けられた拳をいとも簡単に避ける。そして、今度は蓮が拳を構え霙に向ける。
(ヤバ……)
霙はそう思い、それ以後の行動にまで精神がついて行かなかった。
99
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 23:10:53 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
『ボゴォン!!!!!!!』
100
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/14(土) 23:19:05 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
もの凄い音が学校中に響き渡る。
霙は目を閉じていたが、音が自分の目の前で響いたことは分かっていた。
霙はうっすらと目を開け目の前を見る。
そして、目の前の光景を見た瞬間広角をニッとあげた。
「おっそくなーい?勝玲」
目の前にあった光景。それは、蓮が霙に向けた拳を勝玲が片手で掴んでいるところだった。
「悪い。足が言うこと聞かなくてよ」
勝玲も不敵に笑いながら言い訳のような言葉を発する。
101
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 08:05:35 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
『ズズズズズズズッ…!!!』
二人は足を地面にこすりつけながら後ろに下がる。
「雫沢!怪我は!!?」
目だけを後ろにやり、勝玲は霙に聞く。
「問題無し!それよりもお前の手が一番心配だ」
霙は汗を拭いながら言う。
「ッハ!今の今まで足が震え上がってた奴が何カッコつけてんだ!!」
蓮は笑いながら叫ぶ。
「別に震えてたわけじゃねぇよ」
やっくりと蓮に近づきながら勝玲は呟く。
「残しときゃないけないだろ?最強の切り札って奴!」
そう言った瞬間勝玲はそこから蓮のところまで走っていった。
102
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 08:46:37 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
(そんなんで、俺に勝てるとでも思ってんのか!雑魚が!)
蓮も勝玲の方に走っていく。
二人は同時に拳を構え、相手の顔面に向ける。どちらかと言うと蓮の方が早かった。
(喰らいやがれ…ざ…)
蓮はそう思っていたが途中で思いを止めた。勝玲は一瞬だが笑ったからだ。
蓮は拳の力を弱めかけたがすぐに力を強め、拳の速さも加える。
「甘いのはお前の方だよ…」
勝玲はそう言った瞬間、蓮の前から姿を消した。いや、正確には先ほどの蓮のように、他の場所に体を移動させた。他の場所というと、蓮同様、相手の体の横に。
「っな…!!」
蓮は驚きの言葉を発した瞬間、勝玲のドギツイ一撃を喰らった。
103
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 08:59:39 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
『ドゴンッ!!!』
勝玲は蓮の横腹に一発キツい拳を食らわせた。
「ガハ…!!」
蓮は横腹を掴みながらヨロヨロと後ろに下がる。
「てめぇ…なん……で…」
「お前、何か勘違いしてるだろ?俺が足震えてたのは…」
蓮はその後の言葉に唖然とする。
「¨筋肉痛¨だからだ」
シーンとした空気の中で唯一勝玲の声が響いた。
「筋肉痛…?」
蓮は苦笑しながらつぶやいた。
104
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 09:26:47 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「あぁ、それは私が説明しよう!」
霙は自分から名乗り出るかのように言った。
「いや、そいつね。3日前に私が提案したお前に勝つ方法をガチやったんだよ。っで、筋肉痛」
蓮は唖然とした目になりながら勝玲と霙を見比べる。
「んで、それは何かというと。ルームランナーの超最高速を5時間ぶっ続けで走ること」
これこそ一番唖然とした。
「雫沢!お前そんな気楽いに言うけどマジキツいんだぞ!超高速ってただでさえ足いためんのに5時間もやらされた俺の身にもなりやがれ!!」
怒りながら勝玲は叫ぶ。
「悪い、悪い。今度飯おごっから」
手を合わせながら霙は謝る。
「あ、言っとくけど。今の勝玲の100m走の速さを計算すると…」
霙は首を傾けニコッと微笑む。
「9秒から10秒の間」
蓮の頬に冷や汗が伝った。
「だからダメなんだよ。才能を持ったまま向上させ奴ってのわよ」
勝玲は目をキツくしながらもう一度拳を構えた。
105
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 10:12:39 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
――蓮が目を開けると綺麗な夜空が見えた。
(…どこだ、ここ?…)
そう思いながら横を見る。すると、自分の横に勝玲が寝っ転がっていることに気付いた。
「ッ――…!!!」
驚いて起き上がろうとした蓮の横腹に激痛が走った。すると、何か横腹に巻かれている事に気付いた。
「…包帯……?」
確かに包帯が巻かれていた。腕や顔にも包帯や絆創膏等がまかれていた。
「気が付いたか?」
驚きの顔をしている蓮に霙の声がかかった。どうやら霙は蓮の横でずっと座っていたらしい。
「雫沢…。お前…」
蓮は霙の顔を見るなり小さく呟いた。
「安心しろ…。取って食おう等と考えていない」
霙は蓮に目をくれずに言う。
106
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 10:43:24 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「まさか、お前が治療したのか?」
手を冷たい地面につけながら蓮は聞く。
「…出来る限りのことはした。まだ痛みがあるなら病院行け」
ぼんやりと言う霙。その顔はいつもの霙ではなかった。冷静で強さを表すような顔。
「…俺、負けたのか……」
蓮は悔しそうな顔になる。
「あぁ…。確かにお前の名前は、剥がした。瞬足の名は終わった…」
霙は軽く拳を作る。
「…名前剥がしは、どんな方法を使っても剥がすんだな」
蓮は薄く笑いながら霙に言った。
「その話なんだが…」
霙は何かを思い出したような顔になる。
107
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 11:08:50 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「――ハァァ!!お前と東谷がコンビ組むぅ!!!?」
蓮は霙に向かって問うかのように叫んだ。
「あぁ。こいつは二つ名剥がされて、使えない頭で考えてたから、四天王全滅させるために協力しようってことにした」
キョトーンとした顔で霙は普通に答える。
「意味わかんねー…。つか、四天王全滅?!ホント意味わかんねー。お前ら一体何考えてんだよ!!?」
蓮は呆れながら聞く。
「考えたのは、私じゃなくて勝玲だよ。お前に勝つ必勝法を実践してる時あいつ言ったんだよ…
『どうせなら、四天王全員ぶっ潰して最強の名前剥ぎ取ってやろうぜ!!!!』
ってさ…。まったく、馬鹿だよこのアホは…」
霙は小さく笑いながら勝玲の顔を見る。
108
:
ピーチ
:2012/07/15(日) 11:17:04 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ネコ>>
おっ!100レスおめ!
…四天王をぶっ潰す?
なーんか、とんでもないことを突拍子に言うんだね、勝玲君…
109
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 11:39:00 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「…じゃあ、二つ名はどうすんだよ?」
乗り気ではなかったが聞いてみた。
「勝玲が¨阿吽の呼吸¨で良くないかと言われたから決定した」
これもまたキョトンとした顔で霙は答える。
「ネーミングはイイんだかって感じだな…」
グッスリ寝ている勝玲を見て蓮は思う。
「……だが、四天王を本気で潰すってんなら生半可な気持ちでやんじゃねぇぞ!」
蓮はキリッとした目で霙に忠告をする。
「それは私に言わないで勝玲に言え…。私はただこいつに上手く四天王を全滅させるだけだ」
シラッとした顔で霙は言った。
「お前、一体何考えてんだ…」
蓮が聞くと霙は立ち上がり 「ただ、強者を殴り倒そうとしているだけだ…」 と言い残し屋上から出て行った。
Ⅴ 瞬足、蓮とのケジメ。勝玲と霙の二つ名決定。 end
110
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 11:45:27 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチへ
こっちも時々何言ってんだろこの子って考えるときあるんだよね…(ヤバ…
でも、人の名言考えるのは大好きだからいろいろ楽しみ〜
それに、これからはほとんど四天王とのガチ戦になると思うからそっち見も楽しみ(笑
111
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 12:32:44 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
第6話 明るき闇。四天王No.3は関西人。
「四天王No.3速見 蓮(はやみ れん)ガ東谷 勝玲(あずまや しぐれ)及ビ雫沢 霙(しずくさわ みぞれ)ノ二名ニ敗レマシタ」
一人の少年が3人の男を前に今の報告をする。
しかし、この報告を聞いて男達は皆眉間にしわを寄せている。
「どないしはります?レン君の処分は1番がするとして東谷君達はどないしはるんですか?案外と手ごわいと思いますけど?」
関西弁の少年は白髪の男に話しかける。
「……No.3早乙女 輝(さおとめ あきら)お前はこの二人の戦滅を命じられたら、どんな結果を出す…」
白髪の男は関西弁の少年に聞く。
「1番が願う最もな結果…って、いうたら僕にこの件くれるん?」
少年はニコッと笑い、男に聞いた。
「…No.3早乙女 輝お前にこの戦滅を言い渡す」
男は少し考えたあとこの命令を言い渡した。
112
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ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 13:00:03 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「ファァァー…」
朝7:10。泉河第1男子高校1年生の東谷 勝玲(あずまや しぐれ)は大きなアクビをしながら学校に向かっていた。
『メ〜〜ルだよ!メ〜〜ルだよ!…』
するとズボンのポケットに入った携帯が鳴る。
「なんだぁー…」
スライド式の携帯を開き送られてきたメールを開く。
『起きてるかー?』と言う題で雫沢 霙(しずくさわ みぞれ)からのものだった。
「なんだよ、みぞ…雫沢からかよ…」
途中で言葉を抑えながら勝玲は文章を読んだ。
『こんな時間に悪いな。今学校に蓮(れん)と一緒にいるんだけど、蓮がお前とリレーしたいってほざいてるから早く来てくれないか?』
よく分からない絵文字込で今のメールが届いたが、その前に一つ勝玲は疑問を浮かべた。
(なんでこいつ俺のメアド知ってんの?)
変な思いを募らせて勝玲は学校に向かった。
113
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ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 13:45:53 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「ヨシっと…こんなもんでいいだろ」
泉河第1男子高校の3階にある理科室の机に腰掛けながら雫沢 霙は白い携帯を閉じた。
「…雫沢。貴様一体何をしにこの学校に来んだ…」
霙にあの白髪男が話しかける。
「…お前との時間をリセットしに来た…、とでも言えば納得するか?将貴(まさき)」
霙は今までにしたこともないような悲しい顔になり白髪の男を見る。
「四天王を本当に潰せるとでも思っているのか?お前だって気付いているだろう速見に勝ったふぜいで俺には行き着かないことぐらい」
男は悠々とした顔で霙に言う。
「私ならお前に行き着かなくても、勝玲なら行き着ける、いや超える。たとえお前が何人の強者をかき集めいようと必ず潰す。何年かかろうと、絶対2年前のあの時に戻ってみせる!」
霙はムキになりながら叫ぶ。
男は「好きにしろ…」とだけ言い残してその場を去っていった。
114
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ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 14:47:57 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
――「おい、どういうことだよ!蓮まだ来ねぇじゃねぇか!」
勝玲は学校に着き、霙を教室で見つけるなり怒鳴り散らした。
「あ〜…、悪いその話無かったってことで」
霙は顔一つ揺るがせないで謝った。まるで、他のことを考えているかのように。
「お前な〜…!!」
「って、その前に蓮がまだ来てない?なんでだ?」
やっと我に返ったような顔になって霙は聞いた。
「知らねーよ、あいつ2年だから2階中探したけど今日まだ来ないみたいなんだよ」
腰に手を当てながら勝玲は説明する。
(蓮…将貴に潰されてんじゃ…)
霙は不安を募らせる。
115
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 15:02:36 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「どうしたんだよ、みぞ…雫沢」
勝玲は途中の言葉を遮って霙の名前を呼ぶ。
「別に…。ツーか、そろそろ、名前で呼べよ。みぞ、まで言って苗字で呼ばれちゃ変な感じがする」
霙は最もな訴えをする。
「べ、別に、おかしくねぇだろ!」
勝玲はムキになって叫ぶ。
「…まぁあいつと同じ呼び方じゃないだけいいけど……」
霙はまた悲しそうな顔になりながらそう呟いた。
116
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 15:29:16 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
――結局今日一日、蓮は現れなかった。霙自信心に疑問を抱いて一日を過ごしていた。
勝玲、宮瀬 卓麻(みやせ たくま)、津田 俊介(つだ しゅんすけ)、与島 葉桐(よじま はぎり)の毎日コンビで帰り道を歩いていた。
「にしても親ってやっぱりうるさいよな。人が寝てるってのに叩き起こして勉強しろとか言いやがる。そんなんもう遅いって話だってんだよ」
卓麻はお手上げポーズをしていつもの世間話をする。
「つったら東谷は楽だよな。親とは別々に暮らしてるんだろ?」
葉桐は服のポケットに手を入れながら勝玲に言った。
「だけど、親からの電話はショッチュウあっから逆に迷惑だよ。姉貴から早く帰ってこいとか言われてよ、あっちが俺をここにヤった様なもんなのにさぁ」
勝玲もお手上げポーズを取りながら嘆く。
117
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 15:49:32 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
――今日も一日終了。勝玲は家に入るといつもそう思う。
「ツッかレターー!!」
勝玲はリビングには言った瞬間そう叫びながらソファーに飛び込んだ。
「…っあ!そういや今日の飯の材料無いじゃん!!?今日買って帰ろうとしてたの忘れてたー…」
あぁぁぁ〜…と嘆きながらも勝玲は起き上がり私服に着替え直した。
118
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 17:20:51 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
――「昨日はチャーハンだったから今日は野菜いためでも作るか…」
勝玲はそんなことをぼやきながら「泉河スーパー」に入っていく。
「にんじんにピーマン…玉ねぎにぃ、肉っと。水も切れてたからついでに買って…そういや今日卵の特売日じゃん!?買いに行こ!!」
まるで主婦のような言葉をなら出て勝玲は、走って行く。
しかし卵が売っているところに着くと当然の如く一パックもなかった。
「そうだよな、あるわけないよな、もう七時だもんな…」
ハハ…と苦笑しながら回れ右をしてレジに行こうとした。すると、いきなり勝玲の目の前に卵のパックが一つ現れた。
「あぁ゛?」
「2パック買っちまったから一つやるよ」
その声は霙のものだった。
「雫沢?!」
勝玲は驚きの声を上げる。
119
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 17:31:38 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「お前も晩御飯の買出しか?」
口角をそっと上げながら霙は勝玲に聞いた。
「あ、あぁ…。お前もか?」
勝玲も同じことを聞く。
「あぁ。一人暮らしはこれだから嫌だよ」
霙は両手を挙げながら言った。
「へ〜。お前も一人暮らしなのか。だったら、親とか兄弟とかなんか言わねぇか?タダでさえ男子校に転校してきたってのに」
勝玲は笑いながらもう一度聞いた。
「…私には母も父もいないんだ」
意外な答えが返ってきた。
「兄はいるんだが気が合わなくて別々に暮らしているんだ」
作り笑いをしながら霙は説明する。
120
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 17:47:49 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「…その、なんか…すまん…」
こう話しの場合は大概の人が謝る。なので勝玲も謝った。
「ベッツニィ〜。そういえばさ〜、よくこういう話になると皆謝るのって何でかな?特に嫌なこと言われたわけじゃないのによ〜」
探偵が考えるときなんかにする、顎に手を当てる動作をして霙は考える。
「…さぁな…。ノリですんだろ?俺もよく分からん」
勝玲は笑いながら答える。
「じゃあ、私はもうレジ行くけど、お前はどうするんだ?」
霙がそう言うと「俺も、もう行くぜ」と言いながら一緒にレジの方に歩いて行った。
121
:
ピーチ
:2012/07/15(日) 18:25:49 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ネコ>>
み、霙ちゃんが探偵ポーズとったらまんま探偵になりそー…←探偵ポーズって何だw
勝玲君…ほんとに主婦の言葉しか使ってない…!
ほんとに元一匹狼かぁ!!←ごめんね、何か…
122
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 18:59:16 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチへ
あっ!その手があったか!
今なんとなくピーチからのコメント読んでたら思いついたんだけど、次の話は霙探偵にしてみようかな〜。
「泉河第1男子高校で起こる難事件をズバズバっと解決する霙」…よし決定つぎの話でやってみよー!!
ピーチ、偶然かもしれないけどいいコメントくれてマジサンキュー!!
123
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 19:14:07 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「っで、雫さわは、今夜どんな飯なんだ?」
スーパーから出て近くの公園のベンチに腰掛けながら勝玲は霙に聞く。
「お前みたいに大層なものは作らないよ。ただ単にレトルトのカレーだけだ。買った卵はゆで卵にしく食べるし」
霙もベンチに腰掛けながら答える。
「お前…いつもそんな飯食ってんのか?」
嘘だろというような顔付きで勝玲が聞くと
「あぁ」
とシンプルな答えが返ってきた。
「そんなもんばっかり食ってると栄養片寄るぞ。なんなら俺が作りに行ってやろうか?」
呆れた顔つきで勝玲は言い、それを聞いていた霙はニパーと笑いながら
「ホントか!?ならいつでもいいから作りに来てくれないか!もちろん作るものによって材料は準備する!約束だぞ!絶対来いよ!」
これまでに見たこともないような笑顔を見せて霙は勝玲に言う。「お、おぅ」とちょっと独特な返事を返されると先ほどよりもっと口を開け笑った。
124
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 19:27:02 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
『仲エエな〜。お二人さん…』
そんな二人に少年の声が聞こえた。
二人は声がどこから聞こえてくるのか捜索する。
『そない探さへんでもエエって…』
どこから聞こえてくるかもわからない声はクスクスと笑っている。
「どこに居んだ…」
バッと立ち上がり勝玲は顔をキョロキョロ動かす。
「ここにオルで…」
タッという音が立ったかと思うと勝玲の目の前に黒く丈の長いトレーナーを着たく黒髪の少年が舞い降りるかのように現れた。
『!!!!?』
驚いた二人は少年から距離を取る。
125
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 19:30:36 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
123>>
勝玲の一行目の台詞は
「雫沢」○
「雫さわ」×
です。他にも間違いがあるかもしれませんが、そこらへんは皆さんのお優しい眼差しで見過ごしてください。
126
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 20:10:02 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「そない距離とらんでもええやん。あくまでも二人は僕ら四天王に目ぇ付けられた標的(ターゲット)なんやで?」
少年はニコッと笑う。
「四天王?…お前四天王の一人か?!!」
霙は先ほどとは、打って変わり険しい顔になり少年を見る。
「四天王No.3早乙女 輝。よろしゅうな〜」
輝は全く笑顔を崩さないで自己紹介をした。
「言っとくけど、レン君なんかと一緒にはセーへんといてね。僕はあんな子とは違て君らのこと見下してないさかい、油断したら一発でやられるでぇ」
輝は笑ったままだ。
「雫沢…どうする…」
勝玲は霙に聞く。
127
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/15(日) 21:22:44 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「……勝玲、今私に言えることは一つだ…」
霙は少しもったいぶった後にこう言った。
「打つ手がない…!」
今回の出来事、前もって宣戦布告も輝の重大な情報もない。今の、この状況ではいくら霙でも良い作戦など思いつかない。
「ッハ…?!」
「打つ手がないから逃げるしかない…って、言いたい。ツーことで…」
霙は片手にスーパーの袋を持ち回れ右をして、
「逃げるそ!!!!!!」
超高速で走って逃げた。それにつられて筋肉痛になりながらも習得した100m9〜10秒で走れる足を使ってその場から逃げた。
「なんで逃げんだよ!打つ手がないなら蓮の時みたいに考えればいいだろ!」
走りながら勝玲は叫ぶ。
128
:
ピーチ
:2012/07/15(日) 23:21:59 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ネコ>>
おわっ!霙ちゃん凄い!切り替え早っ!?
あ、マジー?楽しみにしてるぞ!霙探偵!
部下って言ったらやっぱり勝玲君だよね〜w←なぜ!?
129
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/16(月) 08:20:37 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチへ
うん、うん!
「なんで俺が部下なんだよ!?」ってキレながら霙に協力するみたいなのが良い!
そんで、卓麻たちが面白がりながら協力するというものを作りたい!!
130
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/16(月) 11:22:38 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「考える時間も、考える要素もないわっ!!!!」
霙は怒りながら叫ぶ。
「言っておくが私達に今あいつの情報はおろか二つ名さえも視野に入れていないんだ!喧嘩は相手の手段、思考回路、性格で大体の勝敗が決まる!あちらにはこちらの情報がリークされているのにこちらには全くあちらの情報ない!勝敗なんて後先考えることなんか無駄に過ぎないんだ!!」
霙は必死に思考回路を練る。
「じゃあ、どうすればいいんだよ!なんか戦う手立てはねぇのかよ!!?」
勝玲は霙の横について聞く。
「………蓮…!そうだ、蓮ならあいつの二つ名を知っているかもしれない!確かアイツの電話番号は…って私今携帯持ってねー!!」
一人で何かを考えて、一人で嘆く霙。
131
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/16(月) 11:37:28 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「そない逃げへんでもエエのに」
逃げる二人の目の前にまたも輝が現れた。
『!!!!!!??』
二人はその場で止まり目の前に現れた輝を見る。
「一様言っとくけど、レン君に今電話しても出えへんと思うで?」
輝は霙の話を聞いていたようだ。
「あぁ゛?蓮が電話に出ないってなんで…」
嫌な予感がした勝玲は輝に聞く。
「なんでって、今頃潰されとる頃合いやからや」
まるで面白がっているかのように輝は口角を上げる。
「…貴にか……」
霙は小さく聞く。
「なんて言ったん?良う聞こえんかったんやけど」
「お前らの王(キング)とか言う奴に潰されたってことかって聞いてんだよ!!?」
霙はものすごい剣幕で聞く。
132
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/16(月) 14:18:02 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「そない逃げへんトイテーな」
ガシッという音と共に二人は輝に頭をつかまれた。
『っな…!!?』
『ズガゴンッ!!!!』
二人は地面に顔面を激突させられた。
「ガハッ…!!」
「ツァ…!!」
二人はそれぞれ痛みの声を上げる。
「まぁ、逃げてもすぐ捕まってまうんやけどな。にしてもお二人さん仲ええな〜。もしかしてカレカノさんなん?」
倒れ込んだ二人の背中を輝は踏みつける。
「てめぇ…俺らに一体…なんの恨みが……あるってんだ…」
勝玲は冷たい地面に爪を立てながら輝に言う。
133
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/16(月) 14:44:03 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「恨みなんてあらへんよ。ただ僕は、一番に結果だセー言われたからだしにきただけやで」
輝はそう言うがやり方が普通じゃない。人の顔面地面に叩きつけたり、何処からともなく現れてみたり。
「一番?…お前さっきから誰のこと言って…」
「四天王No.1。その力は絶在で最強。四天王No.4、3、2の力が集結してもたどり着かない存在。そないもんに君らは挑もうとしとんやで?事の重大さわかっとる?」
輝は勝玲の質問に答える。
「わかっている…」
その言葉に反発したのは霙だった。
「たとえ何十年かかっても越えられないことはさも承知だ。だが、越えられないと確信して超えることを辞めるのは死んでもお断りだ」
霙はそう言いながらゆっくりと起き上がる。
134
:
ネコ・ヌコタン(=‘x‘=)
:2012/07/16(月) 15:22:38 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「同感だ…!!ツーか人の夢ぶっ壊してヘラヘラ笑ってんじゃねぇよ、関西人!言っとくが俺たちはそんぐらいじゃへこたれねえんだよ!!!!」
勝玲もニッと笑いながら体を起き上がらせる。
(甘く見とったわ…)
輝は後ろに下がりながら思う。
(最初から何かあると思っとったんや、この二人…)
輝は笑いもしないで二人を見る。
(この二人なら、超えるんちゃうかな…)
勝玲と霙は目をきつくし、輝を見る。
「……っま、そない事あらへんやろうけどな…」
目をつぶりながら輝は呟いた。
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