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時と悪魔と契約と
3
:
森間 登助
◆t5lrTPDT2E
:2012/05/26(土) 22:49:38 HOST:222-151-086-004.jp.fiberbit.net
一章
#1
時は流れて昼休み。
朝の一部始終が垂れ流しになった俺のクラスは、もはやそのほとんどが俺の敵と化していた。
授業中も手紙を交換して会話をしている奴とか、隣通しでヒソヒソ話していたりとか……。全く、真面目に授業受けろよ! 俺は真面目に受けたぞ、今日だけ。
ムシャクシャした気持ちで、俺は鞄に入った弁当へ手を伸ばす。弁当だろうと何だろうと、やけ食いしたい気分だ。
「やーやー、時田壱人(ときた いっと)君。元気にしているかね?」
俺が自分の席で弁当を取り出した矢先、ある女子生徒がニヤニヤした笑みを引っ提げながら話し掛けてきた。
彼女は吉野楓(よしの かえで)という俺の幼馴染。髪は茶毛でショートカット。スカートから覗く細く引き締まった足は、彼女が陸上部である証だ。
「いやー、元気元気! 吐血するほど元気で困っちゃうよー!」
俺は、なるべく相手の意表を突くように余裕の笑みを浮かべた。
楓が朝の件について話そうとしているのは分かっている。それなら、こんな風にツッコミを煽ったボケを放ってやるまでだ。そして、相手がツッコミをしたと同時に、話題をドンドン別方向へと持って行く。
我ながら良い作戦だ。そう思った途端、その期待は俺を悉く裏切った。
「……同情するわ。ご愁傷様」
こんな回答。
いや、何か期待していた反応とだいぶ違うんですけども。つーか、さっきのテンション何処に置いてきた!!
心中で驚愕の咆哮を放ったが、決して顔には出さない。出したら最後精神的に殺されてしまうだろう。
「ま、まあ、吐血まではしないがな……」
辛うじて笑顔を絶やさず、余裕を見せる。……何で俺、自分のボケを自分でフォローしてるんだろ。
その時、俺は自分が既に楓の罠に掛かったことを悟った。
「やあ、何やら楽しそうだね。時田君に吉野さん」
いきなり楓ペースになり困惑している中、クラスの人混みの中からまたしても何者かが近付いてくる。
次に現れたのは笹川信次(ささがわ しんじ)。ナイスフェイスで文武両道のモテ男。正直言って、友人関係を結んだ切っ掛けが高校でどちら共が交際していたからである。ちなみに今は彼女は居ない。俺と違って女を突き放す余裕があるらしい。しかし、神様は平等である。何故なら笹川には俺しか男友達が居ないのだ。その事実を知ったときから、俺は心の中で毒突くことが多くなった。
「おー、笹川君じゃん! 今ホットなニュースの話をする所なんだけど、混ざらない?」
楓は手招きをしながら笹川を呼び込む。その動作に周りの女子は、鋭い目で楓を睨み付けた。
……残念ながら、楓本人は気付いていないようだ。
一方笹川は、何だろうと言わんばかりの表情でこちらに近付いてくる。あの噂を知らないという事は、本当に男友達が居ないらしい。きっと女友達にはアプローチばっかりなのだろう。
まるで人事のように言っているが、俺当人にも余裕があるわけでもない。唯一まともに話せる友人が消える瞬間な訳なんだから。
「ホットなニュース。と言うと……?」
「この時期知らないと損だよ損! 実はね、壱人の奴が、ふ、ふ、フッフッフ」
楓は笑いながら俺の机をバシバシと叩き、何かを強調している。
そして、笹川と楓の微笑ましい(?)会話を周りの女子が恨めしそうに見つめている。
「焦れったいからサッサと話せよ」
俺は変な形で視線が集まってくるのを恐れ、楓に言い放った。どうせバレるのも時間の問題だろうし、人間諦めが大切なんて言葉もある。この瞬間、俺は人生のトップスリーに入る勇気を振り絞った気がした。
「え? 良いの!? イイのイイのイイの!!?」
楓は無駄に反感を買うようなテンションで俺に訊く。……お前のテンションの動きは山の天気より激しいよ。
もうアイツの考えに乗ってやろうという大人の振る舞いで、俺は面倒臭さを漂わせて了承を示した。
その時、周りはざわめきに包まれ、楓に対抗しようというのか先程まで関わっていなかった女子生徒も笹川に入れ知恵をしている。ああ、良い感じに話盛られてそう……
そして、周りの注目が逸れている間に、弁当を持って教室を出たのは言うまでもない。
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