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時と悪魔と契約と

2森間 登助 ◆3hQDZE7IQM:2012/05/15(火) 18:56:13 HOST:222-151-086-004.jp.fiberbit.net

 プロローグ

「ごめんなさい。時田君とはもう、やっていけない……
 体育館裏。
 高校に登校したすぐ後。俺は朝から早々に付き合っている彼女に呼び出され、心に矢を射られた。
 弓道だったら世界に君臨できるよ。矢が心の的を粉砕しているよ。
 勿論、フォーリンラブって訳ではない。既に付き合っている相手に恋をするなんて変な話だ。
「な、何でだよ……!」
 俺は目の前の自体が信じられず、体育館側に視線を逸らした彼女に言った。
 そうだ、何でだよ! 半年も付き合ってきたのに。せめて理由を訊かないと、俺も諦めきれない!!
 どんな時も尽くしてきたじゃないか! ジュース買ってきてあげたり、昼飯奢ってあげたり、ジュース買ってきてあげたり、服選んでプレゼントしてあげたり、ジュース買ってきてあげたりしたじゃないか!!
 それなのに何で―――
「他に、好きな人が出来たの……」
 彼女の口からポツリ。
 粉砕した俺の心の的が、灰のようにさらに細かく砕け散った。
 マジか、マジですか。
 俺の初めての彼女……いや、今となっては元カノか……
 俺はあまりの絶望に、校舎に囲まれ枠取りされた四角い空を見上げる。
 中三になってやっと恋が実り、リア充の仲間入りだなんだとか、はしゃいでいたらこの有様か。
 まあ確かに、恋愛を甘く見ていたのは認めよう。どう転がしたって、俺の魅力が足りなかったって事なんだろうから。
 しかし、いくら自分の心を落ち着けようとしても、心の的が元通りに直るはずもない。
 空しく散った心の的が、今なら映像の如く鮮明に思い浮かべることが出来る。そんなことを思った。
「ごめんね……」
 彼女は俯き加減で、俺に謝罪する。
 何て言うか、こんな別れ話に謝罪なんて必要ないんだと思う。むしろ、思いっきり「アンタなんて大っ嫌い!」とか言って頬をビンタされた方が精神的に清々しいんだよな。こんなんじゃ、諦めようにも諦め切れないじゃないか。
 顔の遣り場に困り、俺は正面へと顔を戻し、少しだけ視線を校庭側に向ける。
 校庭では、運動部系の連中が朝練に勤しんでいた。
 ちなみにここは校庭側からも校舎側からも死角が多く、余程のことがなければ通ることはない。だから話にこの場所が採用されたのだろう。
 しかし、俺はこんな閉鎖されたところや、別れ話なんてものは苦手だ。
 一秒一秒この瞬間が、苦痛でしかない。
 どうやら俺は感情が顔に出てしまうらしく、顔色を伺った彼女が薄く苦笑いを浮かべる。
 きっと必死に笑顔を作ろうとしてくれているんだと思う。だけど、それが刃物になって、さらに俺の心に食い込んでくる。
 いや、厳密には心の的が粉砕されているから、ガソリン撒いて着火したって言った方が良いのかもしれないな。……だいぶ自虐的だけど。
 そんなことを思っていると、俺の元カノは逃げるように去っていった。というか、全力疾走してるんですが…… もう完全に断ち切られちゃったって事か。
 背中で彼女の足音を聞きながら、俺は校庭の朝練組を眺める。
 無意識に女子テニスの朝練を見ていたのは、きっと俺の気の迷いさ。
「絶対俺より凄い奴なんだろうなー、ソイツ。いや、凄くなければ納得いかないだろ」
 体育館裏に残された俺は、朝練とは別の朝の静けさに耳を傾ける。
 小鳥のさえずり、緩やかな風の音、まだ寒い春の空気―――
 ―――って、いかんいかん! 段々空しい方向へゴーイングしているから、俺!
 なんとか自分を誤魔化そうとするが、やはり―――

「―――諦め切れねえ……」

 そして呟く。
「もしも時間を戻せたら……」
 分かってますとも、そんなのが無理だと言うことはとっくに。
 でも、もし時間を戻せたなら、高校にいるヤンチャな奴なんかに振り向かせたりしないのに……

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 何か初の恋愛物(?)
 とにかく後々ファンタジー要素入ります。


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