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紫の乙女と幸福の歌
96
:
月波煌夜
:2012/03/26(月) 09:53:26 HOST:proxyag117.docomo.ne.jp
Ⅱ. 『願いのカタチ 8』
シュオンは、自分がこのちいさな少女に惹かれていくのを、確かに感じた。
他愛のない話を少ししたあと。
「君の名前は?」
こう訊くと、少女はきょとんとして、それからしばらく、うーんと考え込み、
「………………………ソフィア」
「ソフィア、ソフィアか。僕は―――」
「《紫水晶》!」
会話に乱入してきた男の声が大音量で響き、二人はそろってびくりと震えた。
「どこに行ったかと思えば……!今から伯爵とお会いするというのに、折角の土産が消えたらと思うとぞっとしたぞ」
男はずかずかとソフィアに近づき、今にも折れそうなほどか細い手首を掴んで、引っ張った。
その痛みに、ソフィアの美しい瞳から、一雫の涙が零れる。
「ソフィアに何するんだ!」
シュオンは立ち上がり、男に向けて怒鳴った。
「こ、これはこれはエインズワーズの……」
男はへりくだった下品な笑みを浮かべ、
「はは。大丈夫です、コレを悪いようには致しません。大事な《紫水晶》ですからね」
―――そうじゃない!
シュオンは再び叫ぼうとしたが、
「…………………」
ソフィアが眉を下げ、『もういい』とばかりに首を横に振るので、ぐっと口を結んだ。
「それでは、失礼致します」
男は、無抵抗のソフィアをずるずると広間に引きずって行く。
ソフィアが引っ張られながらも、こちらを向いた。
『……さよなら』
その形に、唇が動く。
シュオンは二人が消えた方を見つめたまま、しばらく突っ立っていた。
ソフィアが見つめていた小さな花が、もの言いたげに、揺れた。
「―――と、いう訳なんだよ」
19歳になったシュオンは、話の終わりを結んだ。
「彼女の瞳と笑顔が、忘れられなかった。彼女を、しあわせにしてあげたいと思った……その為に、噂を嗅ぎつけてカークランド伯爵とも仲良くしておいたんだしね」
ほんとに僕らしくないでしょう?と、シュオンは壁に寄りかかった悪友に笑いかける。
「それに、火薬とかの発明にハマりだしたのも、ソフィアのことを忘れられるかもって思ったからなんだ……結局忘れられなかったけど」
「……じゃあ、お前が御嬢様と会ったときに庭園に誘ったのは」
「僕のこと、思い出してくれるかなーとちょっとだけ思ったんだよ」
シュオンは寂しそうに笑った。
「まーったく知らんかった……何でずっと相談しなかったんだよ?」
「え、ヒースごときに相談なんかして意味あるの?」
「うぐぐぐぐぐぐぐ!?」
獣のように唸るヒース。
「ま、そういうことで僕の話はおしまい」
「じゃあ……御嬢様のことはこれからどうするんだよ?」
「んー……彼女、変わっちゃったからねえ……。少しずつ、心を溶かしていってあげたいなーとは思ってるんだけど」
「そーいうの得意じゃねえのか?」
「お世辞とかなら得意だけど意味ないもん」
二人は黙って考えていたが、突然ヒースが膝を叩いた。
「そうだよ!人の気持ちを和ませる特技、お前にもあるじゃねーか!見せて差し上げれば良いんじゃねーの?」
「……どの特技?」
「嫌みかッ!あれだよあれ―――」
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