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紫の乙女と幸福の歌

165月波煌夜:2012/04/08(日) 17:00:53 HOST:proxy10027.docomo.ne.jp

Ⅲ. 『sweet memory 5』

「いいか、シュオンはこの薄汚れた世界に降臨した神だ女神だ天使だ大天使だ妖精だ精霊だ人類の至宝だッ!だからシュオンに近づくゴミは全て私が一番近くで排除しなくてはならないそのためには私の伴侶となることが必要なんだマルグリットに投資しまくって国王に恩着せて脅して実の親子でも同性でも結婚できるように法を変えさせるんだ、なのにシュオンは六歳の時から『ちちうえはきらい、ヒースとあそんだほうが楽しい』と言うようにィィいイイフオオォアアアあああ゙―――ッ」
血走った目をしてノンストップでエキサイトする公爵に、スパーン、とアゼリアの手刀がまたも華麗に決まった。
「うくっ……どうしたアゼリア、嫉妬か?大丈夫、勿論重婚も認めさせるからな、安心しなさい」
「あなた、いつまでたっても懲りないからシュオンに嫌われるのよ?正直わたくしも気持ち悪いわ」
全くである。
「仕方ないではないか、何しろシュオンは成長するごとに美しくなっていって、初めて正装したときの可愛さといったらもうどうしようかと」「まず貴方の頭をどうにかした方が良いんじゃないかしら」「あら、ソフィアったら素敵な突っ込みね」
―――し、しまった、つい本音が。
しかし興奮した公爵にはソフィアの呟きは聞こえなかったらしい。悲劇の主人公のように両手を広げて天を仰ぎ、
「ああ、何が不満なのだ愛しい息子よ!お前の為だけに研究所や聖堂や教会を作ってシュオンの名を付けたりもしたのに、ちっとも喜んでくれない……!お前はどうしたら喜んでくれるんだ!」

「―――父上が今すぐこの世から消えてくださるなら、僕は心の底から喝采を叫んで見せますけど?」

広い大食堂に一筋の光が差し込んだたかのような幻覚。
サラサラと揺れる眩い蜂蜜色の髪、白磁の肌に奇跡のように完璧な配置で嵌め込まれた澄んだ空色の瞳。
「……シュオン!」
「遅れてごめんね、ソフィア」
にこ、と相好を崩して笑う美貌の青年。
救世主の登場に、ソフィアは涙が出そうなほど安堵した。
目の前には変態、親切そうだが初対面のアゼリア。使用人二人は今回は全く頼りにならなそうだし、物凄く不安だったのだ。
「おおシュオン、私の天使(エンジェル)!会いたかった!」
「そんなに死にたいのなら僕の手で地獄に堕として差し上げますが。……ねえソフィア、折角来たんだけど、アレ見たら食欲失せちゃって。僕の部屋で一緒に食べない?」
若干涙目のソフィアに向けて微笑む。
「くっ……!どうしてパパには笑いかけてくれないんだ、そうだやはり二人きりで丘の上の白い家に住んで愛を育もうそうしよう!」
「おや、父上にしては悪くない提案ですね。父上の血で真っ赤な家に染め上げましょうか」
「そうか、一緒の寝台(ベッド)がいいか!全く、シュオンはいつまでたっても甘えん坊だなあ!」
「そろそろお年で耳が悪くなってきたようですね。もう限界ではないですか?」
「はは、そんなに心配するな。私はお前の笑顔さえあればこの先二億年は健康体で生きていける」
……それは完全に違うビョーキではないだろうか。

「……シュオン、左手怪我してない?大丈夫なの?」
ふと、シュオンの長い指に包帯が巻いてあることに気づき、ソフィアは声を上げた。
「ん、これ?ちょっとアルコールランプで火傷しちゃっただけだよ。ソフィアは優しいね」
「なにィっっっ!?」
公爵はシュオンに駆け寄ろうとしたが、首根っこをしっかりと握ったアゼリアに阻まれる。
「ええい離せ!シュオンの芸術品のような指に傷が付いただと、ささささあシュオンパパに言ってごらん何処の工場だ何処のメーカーだ何処の職人だ一族郎党皆殺しにしてやぅあああああアアア―――ッ」
「落ち着きなさいあなた」
笑顔を保ち続けるアゼリアに鳩尾を直撃され、公爵はうずくまり、脂汗と涙を垂れ流した。
「うぅ、私に優しくしてくれるのはお前だけだよ……愛しているよシュオン。『うん、僕も愛してるよ』」
と思いきや、公爵は何処からか額縁を取り出し、時折裏声を出しながらぶつぶつと何やら呟き始めた。
興味に駆られたソフィアは、シュオンの「だ、駄目だよソフィア、その犯罪者に近付いちゃ!」という制止の声も聞かず、そろそろと公爵の後ろに回り、その絵を覗き込んだ。
三、四ほどの幼い少年が、こちらに向かって微笑みかけている。
肖像画の、天使という表現がぴったりなその美しい子供は、
「か、可愛い……」
「む?」
「こ、これシュオン様ですよね?凄い可愛いっ」
例外なく、女性の心を射止める威力を持っていた。
「ちょ、ちょっとソフィア!?」
「ふむ。ではこれはどう思う?」
「か、可愛いですっ」
「こっちは?」
「わ、わ、可愛いいい」
次々に出てくる幼げなシュオンの肖像画に、ソフィアは目を輝かせる。


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