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叫号〜Io ripeto un incubo〜
9
:
霧月 蓮_〆
◆REN/KP3zUk
:2012/03/22(木) 01:02:57 HOST:i121-116-249-115.s04.a001.ap.plala.or.jp
湊はゆっくりと目を開いて、辺りを見渡す。見慣れない寮の自分の部屋。気づけば朝になっていたようで、開けっ放しの窓から注ぐ、柔らかな光に顔を顰めた。嫌いなのだ。まるで自分の醜さを明るみに出された気がするから……だから光が嫌い。
……そして陽だまりのように笑って、誰にでも手を差し伸べる光の中にいる人物も……。気がつけば光と決別して対立する派閥に紛れ込んでいたほどだ。全く下らないとは思うけれどもどうしていいのかも分からない。
深く息を吐き出して湊は時計を確認する。時刻はちょうど六時。急に襲ってきた空腹感にため息をついきながら、とりあえず身支度を終わらせることを優先する。どうせ今行っても朝食の用意は出来ていないのだろうと考えながら、クローゼットから真新しいワイシャツを取り出して袖を通す。
ふと自分が持っている最後の制服がぼろぼろになっていたことを思い出して、自らの従者に電話しようと携帯を探す。見当たらない携帯を探しているうちに机の上に、新品の制服がおいてあることに気づいて、湊は頬を緩ませた。気が聞く従者だなぁ、なんて考えながら制服に袖を通す。
「うわぁ、髪の毛ぼさぼさだし……やっぱりシャワー浴びよう……」
髪の毛を整えるため鏡の前に立てば、僅かに埃がついたぼさぼさの髪に、土のようなもののついた顔。そういえばシャワー浴びないまま寝てたんだっけ、とため息。仕方なく一度着た制服を脱いで、シャワーを浴びる。なんで制服を着る前に気づかないかなぁなんて考えて一人、苦笑い。
自分の愛用しているシャンプーの匂いに懐かしさを感じる。自分はどれほど長い間隔離されていたのだろうと、箱の中の生活を思い浮かべるが、日にちの感覚が狂っているのか、記憶力が極端にないのか……自分がどれくらいの間閉じ込められていたのかさえ思い出せない。
丁寧に髪を洗いながら、溜まっている仕事はどれぐらいあれば片付くのだろうかだとか、入学式での恒例儀式はきちんとこなせるだろうかと閉じ込められている間は絶対に考えなかったことを考える。少しは真面目に仕事とをしないと怒られるし……そう考えてため息。
「大分時間を使っちゃったよ……」
欠伸をしながらも青いネクタイを締めて、湊は呟く。しばらく窓の外を眺めていたのも原因なのだがその辺には触れない。どうせ一人なのだからあまりブツブツ言っていても気持ち悪いだけなのだから。……既に大分独り言が多いのは気にしない。
結局朝食をとりに食堂に行くのも面倒になって、従者に命令で部屋まで届けてもらうことにした。ベッドに横になって朝食の到着を待っていると、トレーを持った白鷺が何時の間にかベッドの横に立っていた。まるで人形のように無表情で。
「食事、どうぞ。とりあえず和食、選択。問題でも?」
淡々とそう告げて、テーブルの上にトレーをおく白鷺に礼を言って、朝食をとり始める。その様子を白鷺は黙って眺めていた。普通なら気になって怒鳴るところなのだが、不思議とそんな気が起きないのでとりあえず淡々と食事を取ることだけに専念する。
案外、自分が気づかないだけでダメージを負っているのかもしれない、そう考えて湊はフッと笑う。そんな湊の笑みを見た白鷺は不思議そうに首を傾げながらも何も言わない。ただただ黙って湊が食事を終えるのを待っている。元々、必要最低限のことしか喋らないのではあるが。
途中、ご飯を喉に詰まらせて味噌汁を一気飲みしてその熱さ悶えたりはしたが、それ以外はとりあえず何事もなく食事を終える。白鷺によってタイミングよく出された紅茶を啜りながら入学式の段取りを確認していく。和食の後に紅茶ってどうなんだろう、とも思ったが出してもらって文句は言うわけにいかないと無言。
相変わらず無表情で自分のことを見つめる白鷺に多少不気味さを感じるが、それよりも優先すべきことがあるので放置。段取りの確認を怠って入学式でミスをするだなんて、恥ずかしすぎて生徒会副会長を名乗れないと考えているのだ。
「あー白鷺。いつもの恒例行事あるでしょ? それってちょっと僕好みに弄れない?」
「……出来ないこと、ない。相手、希望、いる?」
湊の言葉を聞いた白鷺はしばらく、何かを考えるような動作をした後、答える。その言葉に湊は小さく頷いて、書類から視線を上げた。その赤い瞳には妖しい光が宿っていて、白鷺は思わず息を呑む。そんな白鷺の様子を見て湊は、口元に手を当てて笑う。
「どうしても跪かせたいやつがいるんだ。……どうしても、ね」
白鷺が了解とだけ答えると、湊は書類に視線を戻した。何もなかったように、瞳に宿っていた妖しい光は消えて、普段の何を考えているか良く分からない表情に戻る。……そんな中、唇だけは弧を描いて……。
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