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白銀月夜の狼
6
:
緋織
:2011/12/18(日) 17:13:57 HOST:121-84-18-13f1.hyg2.eonet.ne.jp
1−4
枯れ果てた木々。辺りを白に染め変える雪。
この余りにも寒々しい森の中に、その少女はいた。
―――顔は人形の如く端整。筋が通っている高い鼻。小さな薄い唇。まさに十全十美という言葉が相応しい。肌は色が無いのかと疑うほど白い。少女が身に着けているのはあまりにも簡素な衣服だ。真っ白なワンピースのようなもので、膝丈ほどしかなく細い腕や脚が晒されている。
髪は真っ直ぐで長く、小柄な少女を覆い隠すほどだ。
すべてが『白銀』で統一されている身体に、唯一の『色』がある。
瞳だ。濃蒼色で、獲物を捜しているかの如く爛々と危険な輝きを放っている。右眼がやけに。それはまるで、―――肉食獣。
普通の生物なら一瞬で凍えてしまいそうなこの雪。しかし少女は無表情で雪の上に座り込んでいる。
少女は、鈴が鳴るような涼やかな声で、
「探し物はこれか……? 朝早くからご苦労なことだな……」
今にも折れてしまいそうな華奢な腕。指に何か光るような物を持って掲げていた。恐らくティファニーのブローチだろう。
カーティスは暫らく言葉を失っていたが、ようやく声を喉から絞り出した。
「……ああ、そう、それだよ。無くして困ってたんだ。ありがとう、助かったよ……」
カーティスは、少女の方へ震えながら手を伸ばした。震えているのは寒さからか、驚きからかは彼には分からなかった。
カーティスと少女の指先が触れる。カーティスはぎょっとして眼を瞠った。
手袋ごしだが、あまりにも冷たいのだ。雪と同等かそれ未満の冷たさ。氷でも触っているかのようだ。
何だこの子は。人間なのか?
カーティスにブローチを手渡すと、少女はもう用は終わったと言わんばかりに踵を返した。更にカーティスはその姿を見て驚いた。
靴を穿いていなかった。裸足だったのだ。直で雪を踏みしめて大丈夫なのかと思ったが、赤くなっているわけでもなく、手足の色と変わらない。
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