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赤瞳の不良

19ライナー:2012/01/01(日) 12:28:43 HOST:as01-ppp17.osaka.sannet.ne.jp

「じゃあいいです」
 紅蓮はその言葉に拍子抜けする。
 一体、どこまでが重要でどこまでが重要でないのか、紅蓮にしてみたら白昼夢(ファンタジー)が起こっている時点で油断はならないはず。
 でもしかし、相手に殺意はないようで、それを察して紅蓮は懐から手を出した。
「……で、まず根本的なところから訊くぞ? お前らは何者なんだ?」
 青髪の少女は黙る。
 言ってはいけない事なのだろうが、もう紅蓮にはばれている訳で、殺しもしないなら、喋ってもいいはずだ。
 そして、少女は口を開く。
「それじゃあ、貴方は何者って訊かれたらどうします?」
 最もな意見だった。
 確かに、自分の存在を当たり前と思っている時点でそれは難しい。紅蓮の場合なら普通に人間だ、とでも言った方が良いのだろか。
 紅蓮は考えて、質問の仕方を変える。
「お前らの……あれだ、硬化能力ってのは何なんだ? 一種の魔法みたいなモンなのか?」
「うーんと、魔法ではないですね。いや、ここで言うなら魔法でしょうか?」
 少女は、何やら紅蓮に伝わらない独り言を繰り返している。
「ま、そう思ってもらって結構です」
 これは完全に少女の方が自分で納得しているのではないだろうか、紅蓮はそう思う。
「……で、その魔法ってのはどこで手に入れたんだよ?」
 別に、紅蓮自身、魔法が欲しい訳ではなかったが、少女の住む世界の確認程度に訊いてみた。
「ヘヴンです」
 一言。少女はそう言った。
 紅蓮の知識が間違っていなければ、『天国』と言う意味になるだろう。
「何処の国の町だ?」
 何となく恐怖を感じ、紅蓮は諦め半分で訊いてみた。
 答は勿論―――
「地球には有りませんよ」
 だろうな、と、紅蓮は心中で返す。
 それにしても、紅蓮は意外に自分が冷静さを保っている事に驚いていた。恐らく、いきなり殺しに掛かられていたら、白髪防寒女のように驚く騒ぎの事ではなかっただろう。
「もう、だいぶ喋っちゃいましたけど、これから言うことも黙っていてくださいね?」
 事は真剣に運ばなければいけないのだろうが、少女の目は笑っていた。
 別に怖みが混じっているようなものでは無いのだが、多分、いや、絶対にこの場に適切ではない表情だ。
 紅蓮は幾多の荒い仕事をこなしてきたが、ここまで肝が据わっている(いや、単に無神経なだけな)少女は見たことが無い。
 そして、両者は結局、自分の事は自分で解決したような気になっていた。


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